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生配信3 ワンダウン
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「はい、どうも。今日もゲーム配信! 配信者はお馴染みTakiチャンネルの滝です。早速ですが、今日プレイして行くゲームを紹介していこうと思います」
いつも通り、23時配信を自宅から開始する。
一昨日ぶりの機材たち。調子は絶好調のようで、リスナーさん達からの苦情は今のところ届いてない。
「ええ、今日のゲームは『レインボーシックス シージ』です。シージは久々の配信になるのかな?」
『1週間前』
『1週間前』
『1週間前だった気が』
「1週間前か。ちょっと鈍ってるかもしれないな」
FPSはプレイしていないと腕が鈍る。これは自論だ。
上手い人はそうでもないかもしれないが、俺は結構鈍る。2日プレイしなければ人の気配が読めなくなり、4日なら照準がブレる。1週間なら照準が定まらず、敵を倒すことができない。
分かっていたのにFPSをやらなかったのは、俺の怠慢だ。
「最近、色々なゲームに手をつけ過ぎて、やる機会がなかったからな。もしかしたら、下手になってるかも」
『大丈夫大丈夫』
『1週間は長いね』
『試合勘を取り戻そう』
コメント欄には励ましの言葉と応援の言葉が、ずらっと流れる。
中には『やってみないと分からない』といった意見もあり、確かにそうだ、と少し勇気を貰う。
プレイしてみて悪ければ、素直にリスナーに謝ろう。
そう思いながら、試合を始める。
シージはオンラインで人を集め、10人集まったら試合が開始される。マッチングするまで、少し時間があるので、リスナーさん達とお喋り。
「聞いてくださいよ、皆さん。昨日のコラボ配信の後、聡太さんとマリオ続けてたら、結構良いところまで進んじゃって。どこまで進んじゃったかというと、後5ステージぐらいで、全クリ」
『結構やったね』
『あれからどれくらいやったの?』
『ルイージ、倒した?』
「あれから2時間ぐらいかな? なんか、マリオ楽しくなっちゃって」
『最後の方、マリオの残機0になってたな』
『聡太さんの亀、強い』
『ルイージ強かった』
リスナーさん達とお喋りしていると、マッチングが終わる。
シージにはキャラクターがいて、そのキャラクターを操作して戦う。
攻撃側、防衛側で使えるキャラが違い、自分の好みに合ったキャラを選ぶ。
もちろん、俺にもお気に入りのキャラクターがいる。攻撃側はハンマーを持ったやつ。防衛側は毒ガスを使うやつだ。
俺はリスナーさん達と話しながら、攻撃側のキャラクターを選ぶ。
「それで、マリオなんだけど。次、もしも聡太さんとコラボがあっても、マリオはやりません。こっちの勝手なんですけど、先を知ってるマリオやっても、すぐにクリアできちゃうので。すみませんが、よろしくお願いします」
『了解』
『把握』
『仕方ない』
優しいリスナーさん達でよかった。と内心、ほっとする。
攻撃側、俺を含めた5人がキャラ選択を終え、やっとシージができる。
ちなみに、俺のキャラはお気にのキャラだ。
「よおし、頑張るかな」
まずは、索敵。ドローンを使って建物に潜んでる敵を探し出す。
「ここの建物は、確か」
頭の中にある地図を広げ、ドローンを建物に潜入させる。
「案外、この建物の見取り図は覚えて『パン!』え?」
銃声が聞こえた。
ドローンを潜入させて、5秒も満たないうちに壊される。
「え? え?」
『草』
『壊されたw』
『wwwww』
一瞬の出来事すぎて、理解に時間がかかる。もう壊されたの!
「マジかよ! 人いた?」
『わからない』
『一瞬過ぎてわからんw』
『どこから撃たれた?w』
「本当どこから? 上? 横? マジで、分からん」
ドローンの索敵時間が終わり、動き始める。
「俺のドローン壊したやつには、報いを受けさせてやる。誰じゃ、出てこい!」
走り出し、板で補強された窓をハンマーで壊す。
よし、開いたぁ!
大胆かつ堂々と潜入する。5人全員が建物の中に入ったのを確認し、仲間の2人がドローンを操作。敵を見つけに行く。
俺を含めた3人は周囲を警戒。そして敵が潜んでないか確認する。
「ふう、久々だから緊張してきた。でも、仲間がいいね。すごく動きやすい。足引っ張んないように気をつけないと」
俺ともう1人が一緒に行動し、隣にある部屋を見に行く。もう1人は待機で、ドローン操作している奴らを守ってもらう。
仲間が先行し、俺が周りを見る。
ドローン組はまだ敵を見つけることができていないらしい。
もしかしたら、1階ではなく、2階にいるのでは?
そう思ったのは俺だけでなく、一緒にいる仲間も。
仲間はすぐさま行動に移った。天井に粘着爆弾を貼り付け、爆発範囲外まで離れると、
ボン!
音が鳴り、天井に穴が開く。
開いた天井の穴から見えたものは、1人の敵。俺たちが気づいた事に敵も気付く。
逃げようとする敵に、俺たち2人は発砲する。フルオート(弾倉にある弾を連続で打つことができる)の銃で、しかも2丁で撃てば、弾数は半端なく多い。
敵の1人が俺の銃弾に当たり、ダウン。キルログに名前が載る。
「おっしゃ! ワンダウン、ワンダウン」
『ワンダウン』
『倒したぁあ』
『ワンダウン』
『ワンダウン』
喜んでるのも束の間、天井から弾丸の雨が降ってくる。弾数は俺たちが撃ったよりも多く、多分3、4人で俺たちを撃っている。
相手もおそらくフルオート。そのフルオートで撃って、しかも俺たちのいるところがバレているのなら、生き残れる確率は少ない。いや、0だ。
急いで逃げようとするも、弾丸が俺の脳天を直撃。もう1人も銃弾を浴びて、俺同様退場する。
退場したプレイヤーは仲間の行動を見ることができ、どうやら、ドローン組は俺たちが撃たれている間に2階に上がったようだ。
残った3人が敵を1人、また1人と始末していく。
「おお、これ勝てるんじゃない?」
相手2人に、こちら側3人。数的には優勢だ。
『分からないよ』
『まだ2人残ってる』
『数は優勢かもな』
コメントを読み、「そうだよな」と呟く。
「数は優勢。でも、相手の方が上手ければ、すぐ形成逆転。もしくは負け、だもんな」
FPSでは、相手が1人になったとしても油断は禁物。1人で相手5人を倒すプレイヤーがこの世の中にいるのだ。
最後の1人まで油断してはいけない。
最初から最後まで、全力でやらなければすぐ撃たれてしまう。
俺の言葉が原因なのか、フラグを立ててしまったからなのか、敵の逆襲が始まる。
曲がり角で待ち伏せする敵に気付かず進み、撃たれ、1人退場。
逃げた敵を追い、部屋に入る。入る際、足元を確認しなかったのか爆弾でボン、とまた1人敗退。
最後の1人は敵2人に撃たれ、呆気なく終わった。
『フラグ回収』
『フラグ折ったな』
『回収おつかれ』
「もしかして、俺がフラグ立てたから負けたのか?」
『そう』
『草』『草』『草』
『違うよー』
「そうだよね、違うよね。……今、『そう』って言った奴覚えたからな。メモしたからな」
冗談を言いながら、次の試合に行く。今度も攻撃側。
「今度は死なないように頑張るぞ!」
ドローンを操作して建物の中を見る。目指すは、2階の角部屋。
ドローンが出せる全速力で階段を駆け上がり、そして角部屋まで行き、敵を見つける。あとは、ドローンを見つからないように物陰に隠せば、オーケイ。
逃げるようにドローンは動き出す。敵の1人がようやく気づいたようで撃ってくるも、ドローンは素早く動き出し、逃げ、隠れる。
ドローンの操作時間は終わり、動き始める。
「よっしゃ、行く『パン!』ぜ?」
後ろから撃たれ、開始早々退場。
「はあ?」
そう、このシージというゲームは、FFことフレンドリーファイアができるのだ。つまり、仲間を撃って倒すことができる。
今、そのFFをやられたところだ。
『裏切り者がいた』
『仲間に殺されるとか』
『wwwww』
ゲームの右下には、チーム内でコミュニケーションが取れるように、コメントを書き込む場所がある。そこを見ると、仲間の1人が、
「gomen gosha !(ごめん、誤射!)」
と、すぐさま書き込んできた。
俺を撃った人物は先程一緒に倒された奴。
「嘘だろろろろ! 誤射とか………まあ仕方ない。仕方ないけど」
『即退場』
『返信返してやれ』
『返信。返信』
「はあ、気をつけろっと」
ローマ字で打ち込む。
誤射なら仕方ない。葛藤はあるものの、責められない。
仲間も書き込みを読み、試合が始まる。
「退場して何もすることがないので、リスナーさん話しましょう」
やることがないので、リスナーさんのコメントを読んでいく。
『指示出さなくていいの』
『やり返す?』
『撃ち抜かれたね』
「指示出しはしません。書き込んだとしても、読めるか分からないしね。復讐は………しません。やったらヤバイでしょ。配信中に」
『確かに』
『炎上しそう』
『やったら、叩かれそう』
やったら、確実に叩かれる。炎上して、登録者数減る。
絶対やりません。
「それにしても、最後の2人強かったね。角待ちに爆弾配置。あと追い込み! あの2人が鬼門だな」
『他は雑魚と』
『他の人は強くないと』
『2人以外は弱者だと』
「違う違う! 言い方、気をつけて! あの2人の活躍しか見てないから、2人を褒めたのであって、他の人を貶したわけではないから」
だって、あの2人が仲間3人を倒したのは事実だし、他の2人は仲間3人に倒されてたし。
いいところなしなのは事実。評価はできない。
仲間の評価はできるが。
「それにしても、仲間の連携上手いな」
2手に分かれて行動している。お互いが背中を守るように。
だが、防衛側の双璧が攻撃側を奇襲する。
天井の爆破からの銃撃。壁の爆破からの銃撃。
この2人だけで仲間の進行を妨害する。足が止まった瞬間に、他の3人が迎え撃つ。
あっという間に4人を倒してしまう。
「わぁお! 強いな。この5人繋がってるんじゃない?」
繋がっているとは、まあ連絡取りながらプレイしている、という意味だ。
「こんだけ上手い連携は絶対繋がってるでしょ」
『多分ね』
『うん』
『繋がってそう』
リスナーさん達もそう睨んでいる。
5人が繋がってるなら、こちらの勝ち目は薄い。だが、穴はある。
あの双璧があちらのチームの穴だ。俺はそこをつく。
今度はこちらが防衛。
防衛側は爆弾を守りきらなくてはならない。守るために壁や窓の補強、罠やカメラの設置をする。あとは自分達が配置について終わり。
今回も俺はお気に入りのキャラを操作していく。
試合が開始し、2階にリスポーン。近くの壁と窓を補強する。補強していると、俺の横の壁を誰かが補強し始める。
別にそこは補強しなくてもいいんじゃね?
なんて思いながら、次の補強場所を探す。
「補強入りまーす!」
『入りまーす』
『入りまーすw』
『入りました!』
今度もまた俺の横を、そいつは補強し始めた。
こいつ、もしかして、
「誤射した奴か?」
書き込みの名前と表示されている名前を見比べると、まったく同じ。
俺が行くとこ行くとこ、こいつはついてくる。
「こいつ、本当にどこまでもついてくるつもりか?」
ちょっと確かめてみる。
この建物の1階におり、敵のドローンを見つけに行く。見つけに行くということは、こちらも見つかる可能性があるということ。
あっ、みっけ!
「死ねやぁぁぁぁ!」
『ドローンの恨み』
『ドローンの復讐』
弾3発でドローンを破壊。ついてきた仲間も1機破壊する。
よくやった、倍返しだ。………ん?
今、ついてきた仲間を見て思い出す。こいつ、トラバサミ持ってね?
ならば、作戦の幅は広がる。
俺はすぐさまトラバサミ君を連れて、補強されてない窓へ行く。
銃口を向けて指示。ここに置けと。
置かれたトラバサミの近くに、毒ガスを設置し、近場に潜伏する。
待つこと数十秒。バチン、と何かが引っ掛かった音がして、俺は毒ガスのスイッチを押す。
キルログに俺の名前と敵の名前が載る。
「ワンダウン」
『きちゃあああ』
『ワンダウン』
『ワンダウン』
同じ場所にいても無意味なので、敵が隠れていそうな場所又入ってきそうな場所に向かう。
「ん、足音が聞こえるな」
少し走った先で俺たちとは違う足音が聞こえる。
俺たちは中腰になり、隠れそうな場所に隠れる。
「まだ足音聞こえるな、近付いてない?」
ドローンを使い、周囲の安全を確認しに行く。
「んーん、こっち側にいないのなら、ん? ああ、あれか」
ドローンを物陰に置き、操作をやめる。
「じゃあ、殲滅しに行きますか! 上手い敵さんを」
ドローンのカメラで確認した敵数は2人。そのうちの1人が双璧の片方。
あいつから仕留めてやる。
まずは先制攻撃。
スコープを覗き、相手の身体を撃ち抜く。
相手がこちらを向く前に、トラバサミ君と位置を交換する。これで相手は、勘違い。トラバサミ君が撃ったように見えるだろう。名付けて、
「食らえ、身代わり作戦」
トラバサミ君はその場で敵さんと応戦。その頃俺は、確実に撃ち殺せるように位置取りをする。
敵さんは勘違いで、トラバサミ君1人だと思っている。だからか、物陰に隠れながらジリジリと距離を詰めてくる。
さあ、さあ、さあ、
「こいこいこいこいこい」
今いる場所から敵は見えないが、ドローンの位置からなら見える。
あと数歩。あと数歩で。
ドローンのカメラから自分の視点に戻し、
バン!
「ツーダウン」
相手の頭が見え、撃ち抜く。キルログにまた俺の名前が載る。
双璧の片方敗れたり。
敵さんもう1人は、トラバサミ君が処理する。
「あと2人、あと2人、あと2人」
『あと2人』
『あと2人』
『あと2人』
その2人は上でドンパチしてる。あ、仲間の1人が死んだ。
「こちらは俺含め4人、相手は2人。うん、いけるわ」
試合中はコメントを見ないのだが、この時少しだけ見てしまう。
『試合勘、戻った?』
ふっ、と鼻で笑ってしまう。多分、マイクが拾っているだろう。
「試合勘戻った? 当たり前のこと言わないでくださいよ。もうバッチリ、戻った」
俺とトラバサミ君は2階に上がり、挟み撃ちする。
1人がこちらに銃口を向ける前に、撃ち抜く。
「スリーダウン」
あとは全員で弾がなくなるまで、撃つだけ。あっ、誰かが双璧の1人を倒した。
まあ、これでこちらが1勝。あと3勝ぐらいすれば勝ちかな。
コメント欄では『スリーダウン』『スリーダウン』と盛り上がっている。
試合勘が戻った俺は、今度の攻撃側でも2人を倒す。もちろん、その2人は双璧さんだ。
双璧さんがいなければ、こちらは確実に勝てる。
勘を取り戻してから順調に勝ち星を積んでいき、4勝2敗の成績で1試合目を終えた。
2試合目、3試合目と続けて勝つことができたが、4試合目以降は集中が切れてしまったためだろう、なかなか敵を倒すことができなくなり、仲間頼みの試合になってしまう。
勝率は5割と、まあまあな結果だろう。
配信を2時間半行い、いつもより早くゲームを切り上げる。
もちろん、その訳を話す。
「今日は皆さんに報告があります。そのため少しだけ早く切り上げました」
コメント欄がざわつく。
『引退?』
『マジ』
『いや結婚かも』
いろいろな推測が飛び交う。
「引退ではありませんし、結婚でもありません」
『まあ、結婚はありえないな』
『無理だな』
「結婚はありえない、無理だな、だと⁉︎ はっ! 俺彼女『嘘つくな』って早い早い早い。否定が早いよ! で、報告が続けていい?」
まあ彼女は嘘だが、結婚はわからない。ありえないはひどいな。
「ええ、リスナーさんの皆さんには2つ報告があって、1つは配信数を増やします。昼配信を13時ごろ、夜配信はいつも通り23時からやっていきます」
『13時は見れないかも』
『アーカイブは?』
『配信時間は?』
来る質問に答えていく。
「13時配信見れない方は多くいると思います。学生の皆さん、会社勤めのリスナーさん。配信した動画は、編集せずに、そのままアーカイブに残しておくので、いつでも見てください。配信時間はあまり決めてません。でもかなり短くなるとかはないです」
『アーカイブ残るのは嬉しい』
『配信数増えるの嬉しい』
『倒れないでくださいね』
『頑張ってください』
「応援ありがとうございます。で、2つ目の報告は」
明日の昼配信に、と続けて言おうとした時、コメント欄に来るはずもない人が『頑張りましょう!』と激励を送ってくる。
もちろん、リスナーさん達も気付き、コメント欄が荒れる。
『サキサキさん!』
『サキサキさん⁉︎』
『サキサキさんが来てるよ』
「ええ、サキサキさん激励をありがとうございます。で、2つ目の報告は」
『サキサキチャンネル : いえいえ、そんな(照)』
『サキサキさん可愛い』
『配信見てたの?』
『滝さんと友達?』
リスナーさんの興味は俺からコメント欄のサキサキさんへと移る。
『サキサキチャンネル : いえいえ、リスナーの皆さんの方が私より可愛いですよ』
『サキサキチャンネル : 配信は途中からです。滝さんとは親友ですね(照)』
『サキサキチャンネル : まあ、滝さんがどう思っているかは分かりませんが………チラッ、チラッ』
「人の配信でリスナーさんと会話するのやめてもらっていいですかね。あとコメント欄荒らすのやめてもらってもいいですか?」
この人、人気あるんだからさ。言動には気をつけてもらいたい。
『サキサキチャンネル : チラッ、チラッ』
『見てるぞ』
『サキサキさん、見てるぞ』
『答えなかったら炎上だぞ!』
「脅すのやめてもらってもいいですかね! あとチラチラ見んな! そうですね、親友ですね」
今日あったばっかの人を親友っていうのか? まさか、配信を盛り上げてくれるために?
今日のあの人の会話を思い出す。
いや、ないな。あの人の素だとおバカさんだもん。
『サキサキチャンネル : 照れ』
「照れんな、照れんな! もういいです、報告を続けます」
サキサキさんを無視して報告をする。
「明日から昼の配信をしていくつもりです。昼の配信第1回目はコラボ配信の予定で、コラボ相手はなんとサキサキさんです」
『888888』
『パチパチパチ』
『サキサキチャンネル : 88888888888888888888』
「リスナーさん、サキサキさん、拍手ありがとうございます」
何拍手しとんねん! ってツッコミたい。
「ええ、長くなりましたが、これにて今日の配信を終わりにします。長い間ご視聴ありがとうございました。明日の昼配信並びに夜配信の内容はTwitterにて公開しますので、よろしくお願いします。ああ! あとサキサキさん、後で連絡しますね。説教します。ではおやすみなさい」
配信後、コメント欄が少し荒れるが俺は知らない。
タバコを1本取り出して、火をつける。そして、
「もしもし、佐々木さんですか?」
これから長い夜が始まる。
いつも通り、23時配信を自宅から開始する。
一昨日ぶりの機材たち。調子は絶好調のようで、リスナーさん達からの苦情は今のところ届いてない。
「ええ、今日のゲームは『レインボーシックス シージ』です。シージは久々の配信になるのかな?」
『1週間前』
『1週間前』
『1週間前だった気が』
「1週間前か。ちょっと鈍ってるかもしれないな」
FPSはプレイしていないと腕が鈍る。これは自論だ。
上手い人はそうでもないかもしれないが、俺は結構鈍る。2日プレイしなければ人の気配が読めなくなり、4日なら照準がブレる。1週間なら照準が定まらず、敵を倒すことができない。
分かっていたのにFPSをやらなかったのは、俺の怠慢だ。
「最近、色々なゲームに手をつけ過ぎて、やる機会がなかったからな。もしかしたら、下手になってるかも」
『大丈夫大丈夫』
『1週間は長いね』
『試合勘を取り戻そう』
コメント欄には励ましの言葉と応援の言葉が、ずらっと流れる。
中には『やってみないと分からない』といった意見もあり、確かにそうだ、と少し勇気を貰う。
プレイしてみて悪ければ、素直にリスナーに謝ろう。
そう思いながら、試合を始める。
シージはオンラインで人を集め、10人集まったら試合が開始される。マッチングするまで、少し時間があるので、リスナーさん達とお喋り。
「聞いてくださいよ、皆さん。昨日のコラボ配信の後、聡太さんとマリオ続けてたら、結構良いところまで進んじゃって。どこまで進んじゃったかというと、後5ステージぐらいで、全クリ」
『結構やったね』
『あれからどれくらいやったの?』
『ルイージ、倒した?』
「あれから2時間ぐらいかな? なんか、マリオ楽しくなっちゃって」
『最後の方、マリオの残機0になってたな』
『聡太さんの亀、強い』
『ルイージ強かった』
リスナーさん達とお喋りしていると、マッチングが終わる。
シージにはキャラクターがいて、そのキャラクターを操作して戦う。
攻撃側、防衛側で使えるキャラが違い、自分の好みに合ったキャラを選ぶ。
もちろん、俺にもお気に入りのキャラクターがいる。攻撃側はハンマーを持ったやつ。防衛側は毒ガスを使うやつだ。
俺はリスナーさん達と話しながら、攻撃側のキャラクターを選ぶ。
「それで、マリオなんだけど。次、もしも聡太さんとコラボがあっても、マリオはやりません。こっちの勝手なんですけど、先を知ってるマリオやっても、すぐにクリアできちゃうので。すみませんが、よろしくお願いします」
『了解』
『把握』
『仕方ない』
優しいリスナーさん達でよかった。と内心、ほっとする。
攻撃側、俺を含めた5人がキャラ選択を終え、やっとシージができる。
ちなみに、俺のキャラはお気にのキャラだ。
「よおし、頑張るかな」
まずは、索敵。ドローンを使って建物に潜んでる敵を探し出す。
「ここの建物は、確か」
頭の中にある地図を広げ、ドローンを建物に潜入させる。
「案外、この建物の見取り図は覚えて『パン!』え?」
銃声が聞こえた。
ドローンを潜入させて、5秒も満たないうちに壊される。
「え? え?」
『草』
『壊されたw』
『wwwww』
一瞬の出来事すぎて、理解に時間がかかる。もう壊されたの!
「マジかよ! 人いた?」
『わからない』
『一瞬過ぎてわからんw』
『どこから撃たれた?w』
「本当どこから? 上? 横? マジで、分からん」
ドローンの索敵時間が終わり、動き始める。
「俺のドローン壊したやつには、報いを受けさせてやる。誰じゃ、出てこい!」
走り出し、板で補強された窓をハンマーで壊す。
よし、開いたぁ!
大胆かつ堂々と潜入する。5人全員が建物の中に入ったのを確認し、仲間の2人がドローンを操作。敵を見つけに行く。
俺を含めた3人は周囲を警戒。そして敵が潜んでないか確認する。
「ふう、久々だから緊張してきた。でも、仲間がいいね。すごく動きやすい。足引っ張んないように気をつけないと」
俺ともう1人が一緒に行動し、隣にある部屋を見に行く。もう1人は待機で、ドローン操作している奴らを守ってもらう。
仲間が先行し、俺が周りを見る。
ドローン組はまだ敵を見つけることができていないらしい。
もしかしたら、1階ではなく、2階にいるのでは?
そう思ったのは俺だけでなく、一緒にいる仲間も。
仲間はすぐさま行動に移った。天井に粘着爆弾を貼り付け、爆発範囲外まで離れると、
ボン!
音が鳴り、天井に穴が開く。
開いた天井の穴から見えたものは、1人の敵。俺たちが気づいた事に敵も気付く。
逃げようとする敵に、俺たち2人は発砲する。フルオート(弾倉にある弾を連続で打つことができる)の銃で、しかも2丁で撃てば、弾数は半端なく多い。
敵の1人が俺の銃弾に当たり、ダウン。キルログに名前が載る。
「おっしゃ! ワンダウン、ワンダウン」
『ワンダウン』
『倒したぁあ』
『ワンダウン』
『ワンダウン』
喜んでるのも束の間、天井から弾丸の雨が降ってくる。弾数は俺たちが撃ったよりも多く、多分3、4人で俺たちを撃っている。
相手もおそらくフルオート。そのフルオートで撃って、しかも俺たちのいるところがバレているのなら、生き残れる確率は少ない。いや、0だ。
急いで逃げようとするも、弾丸が俺の脳天を直撃。もう1人も銃弾を浴びて、俺同様退場する。
退場したプレイヤーは仲間の行動を見ることができ、どうやら、ドローン組は俺たちが撃たれている間に2階に上がったようだ。
残った3人が敵を1人、また1人と始末していく。
「おお、これ勝てるんじゃない?」
相手2人に、こちら側3人。数的には優勢だ。
『分からないよ』
『まだ2人残ってる』
『数は優勢かもな』
コメントを読み、「そうだよな」と呟く。
「数は優勢。でも、相手の方が上手ければ、すぐ形成逆転。もしくは負け、だもんな」
FPSでは、相手が1人になったとしても油断は禁物。1人で相手5人を倒すプレイヤーがこの世の中にいるのだ。
最後の1人まで油断してはいけない。
最初から最後まで、全力でやらなければすぐ撃たれてしまう。
俺の言葉が原因なのか、フラグを立ててしまったからなのか、敵の逆襲が始まる。
曲がり角で待ち伏せする敵に気付かず進み、撃たれ、1人退場。
逃げた敵を追い、部屋に入る。入る際、足元を確認しなかったのか爆弾でボン、とまた1人敗退。
最後の1人は敵2人に撃たれ、呆気なく終わった。
『フラグ回収』
『フラグ折ったな』
『回収おつかれ』
「もしかして、俺がフラグ立てたから負けたのか?」
『そう』
『草』『草』『草』
『違うよー』
「そうだよね、違うよね。……今、『そう』って言った奴覚えたからな。メモしたからな」
冗談を言いながら、次の試合に行く。今度も攻撃側。
「今度は死なないように頑張るぞ!」
ドローンを操作して建物の中を見る。目指すは、2階の角部屋。
ドローンが出せる全速力で階段を駆け上がり、そして角部屋まで行き、敵を見つける。あとは、ドローンを見つからないように物陰に隠せば、オーケイ。
逃げるようにドローンは動き出す。敵の1人がようやく気づいたようで撃ってくるも、ドローンは素早く動き出し、逃げ、隠れる。
ドローンの操作時間は終わり、動き始める。
「よっしゃ、行く『パン!』ぜ?」
後ろから撃たれ、開始早々退場。
「はあ?」
そう、このシージというゲームは、FFことフレンドリーファイアができるのだ。つまり、仲間を撃って倒すことができる。
今、そのFFをやられたところだ。
『裏切り者がいた』
『仲間に殺されるとか』
『wwwww』
ゲームの右下には、チーム内でコミュニケーションが取れるように、コメントを書き込む場所がある。そこを見ると、仲間の1人が、
「gomen gosha !(ごめん、誤射!)」
と、すぐさま書き込んできた。
俺を撃った人物は先程一緒に倒された奴。
「嘘だろろろろ! 誤射とか………まあ仕方ない。仕方ないけど」
『即退場』
『返信返してやれ』
『返信。返信』
「はあ、気をつけろっと」
ローマ字で打ち込む。
誤射なら仕方ない。葛藤はあるものの、責められない。
仲間も書き込みを読み、試合が始まる。
「退場して何もすることがないので、リスナーさん話しましょう」
やることがないので、リスナーさんのコメントを読んでいく。
『指示出さなくていいの』
『やり返す?』
『撃ち抜かれたね』
「指示出しはしません。書き込んだとしても、読めるか分からないしね。復讐は………しません。やったらヤバイでしょ。配信中に」
『確かに』
『炎上しそう』
『やったら、叩かれそう』
やったら、確実に叩かれる。炎上して、登録者数減る。
絶対やりません。
「それにしても、最後の2人強かったね。角待ちに爆弾配置。あと追い込み! あの2人が鬼門だな」
『他は雑魚と』
『他の人は強くないと』
『2人以外は弱者だと』
「違う違う! 言い方、気をつけて! あの2人の活躍しか見てないから、2人を褒めたのであって、他の人を貶したわけではないから」
だって、あの2人が仲間3人を倒したのは事実だし、他の2人は仲間3人に倒されてたし。
いいところなしなのは事実。評価はできない。
仲間の評価はできるが。
「それにしても、仲間の連携上手いな」
2手に分かれて行動している。お互いが背中を守るように。
だが、防衛側の双璧が攻撃側を奇襲する。
天井の爆破からの銃撃。壁の爆破からの銃撃。
この2人だけで仲間の進行を妨害する。足が止まった瞬間に、他の3人が迎え撃つ。
あっという間に4人を倒してしまう。
「わぁお! 強いな。この5人繋がってるんじゃない?」
繋がっているとは、まあ連絡取りながらプレイしている、という意味だ。
「こんだけ上手い連携は絶対繋がってるでしょ」
『多分ね』
『うん』
『繋がってそう』
リスナーさん達もそう睨んでいる。
5人が繋がってるなら、こちらの勝ち目は薄い。だが、穴はある。
あの双璧があちらのチームの穴だ。俺はそこをつく。
今度はこちらが防衛。
防衛側は爆弾を守りきらなくてはならない。守るために壁や窓の補強、罠やカメラの設置をする。あとは自分達が配置について終わり。
今回も俺はお気に入りのキャラを操作していく。
試合が開始し、2階にリスポーン。近くの壁と窓を補強する。補強していると、俺の横の壁を誰かが補強し始める。
別にそこは補強しなくてもいいんじゃね?
なんて思いながら、次の補強場所を探す。
「補強入りまーす!」
『入りまーす』
『入りまーすw』
『入りました!』
今度もまた俺の横を、そいつは補強し始めた。
こいつ、もしかして、
「誤射した奴か?」
書き込みの名前と表示されている名前を見比べると、まったく同じ。
俺が行くとこ行くとこ、こいつはついてくる。
「こいつ、本当にどこまでもついてくるつもりか?」
ちょっと確かめてみる。
この建物の1階におり、敵のドローンを見つけに行く。見つけに行くということは、こちらも見つかる可能性があるということ。
あっ、みっけ!
「死ねやぁぁぁぁ!」
『ドローンの恨み』
『ドローンの復讐』
弾3発でドローンを破壊。ついてきた仲間も1機破壊する。
よくやった、倍返しだ。………ん?
今、ついてきた仲間を見て思い出す。こいつ、トラバサミ持ってね?
ならば、作戦の幅は広がる。
俺はすぐさまトラバサミ君を連れて、補強されてない窓へ行く。
銃口を向けて指示。ここに置けと。
置かれたトラバサミの近くに、毒ガスを設置し、近場に潜伏する。
待つこと数十秒。バチン、と何かが引っ掛かった音がして、俺は毒ガスのスイッチを押す。
キルログに俺の名前と敵の名前が載る。
「ワンダウン」
『きちゃあああ』
『ワンダウン』
『ワンダウン』
同じ場所にいても無意味なので、敵が隠れていそうな場所又入ってきそうな場所に向かう。
「ん、足音が聞こえるな」
少し走った先で俺たちとは違う足音が聞こえる。
俺たちは中腰になり、隠れそうな場所に隠れる。
「まだ足音聞こえるな、近付いてない?」
ドローンを使い、周囲の安全を確認しに行く。
「んーん、こっち側にいないのなら、ん? ああ、あれか」
ドローンを物陰に置き、操作をやめる。
「じゃあ、殲滅しに行きますか! 上手い敵さんを」
ドローンのカメラで確認した敵数は2人。そのうちの1人が双璧の片方。
あいつから仕留めてやる。
まずは先制攻撃。
スコープを覗き、相手の身体を撃ち抜く。
相手がこちらを向く前に、トラバサミ君と位置を交換する。これで相手は、勘違い。トラバサミ君が撃ったように見えるだろう。名付けて、
「食らえ、身代わり作戦」
トラバサミ君はその場で敵さんと応戦。その頃俺は、確実に撃ち殺せるように位置取りをする。
敵さんは勘違いで、トラバサミ君1人だと思っている。だからか、物陰に隠れながらジリジリと距離を詰めてくる。
さあ、さあ、さあ、
「こいこいこいこいこい」
今いる場所から敵は見えないが、ドローンの位置からなら見える。
あと数歩。あと数歩で。
ドローンのカメラから自分の視点に戻し、
バン!
「ツーダウン」
相手の頭が見え、撃ち抜く。キルログにまた俺の名前が載る。
双璧の片方敗れたり。
敵さんもう1人は、トラバサミ君が処理する。
「あと2人、あと2人、あと2人」
『あと2人』
『あと2人』
『あと2人』
その2人は上でドンパチしてる。あ、仲間の1人が死んだ。
「こちらは俺含め4人、相手は2人。うん、いけるわ」
試合中はコメントを見ないのだが、この時少しだけ見てしまう。
『試合勘、戻った?』
ふっ、と鼻で笑ってしまう。多分、マイクが拾っているだろう。
「試合勘戻った? 当たり前のこと言わないでくださいよ。もうバッチリ、戻った」
俺とトラバサミ君は2階に上がり、挟み撃ちする。
1人がこちらに銃口を向ける前に、撃ち抜く。
「スリーダウン」
あとは全員で弾がなくなるまで、撃つだけ。あっ、誰かが双璧の1人を倒した。
まあ、これでこちらが1勝。あと3勝ぐらいすれば勝ちかな。
コメント欄では『スリーダウン』『スリーダウン』と盛り上がっている。
試合勘が戻った俺は、今度の攻撃側でも2人を倒す。もちろん、その2人は双璧さんだ。
双璧さんがいなければ、こちらは確実に勝てる。
勘を取り戻してから順調に勝ち星を積んでいき、4勝2敗の成績で1試合目を終えた。
2試合目、3試合目と続けて勝つことができたが、4試合目以降は集中が切れてしまったためだろう、なかなか敵を倒すことができなくなり、仲間頼みの試合になってしまう。
勝率は5割と、まあまあな結果だろう。
配信を2時間半行い、いつもより早くゲームを切り上げる。
もちろん、その訳を話す。
「今日は皆さんに報告があります。そのため少しだけ早く切り上げました」
コメント欄がざわつく。
『引退?』
『マジ』
『いや結婚かも』
いろいろな推測が飛び交う。
「引退ではありませんし、結婚でもありません」
『まあ、結婚はありえないな』
『無理だな』
「結婚はありえない、無理だな、だと⁉︎ はっ! 俺彼女『嘘つくな』って早い早い早い。否定が早いよ! で、報告が続けていい?」
まあ彼女は嘘だが、結婚はわからない。ありえないはひどいな。
「ええ、リスナーさんの皆さんには2つ報告があって、1つは配信数を増やします。昼配信を13時ごろ、夜配信はいつも通り23時からやっていきます」
『13時は見れないかも』
『アーカイブは?』
『配信時間は?』
来る質問に答えていく。
「13時配信見れない方は多くいると思います。学生の皆さん、会社勤めのリスナーさん。配信した動画は、編集せずに、そのままアーカイブに残しておくので、いつでも見てください。配信時間はあまり決めてません。でもかなり短くなるとかはないです」
『アーカイブ残るのは嬉しい』
『配信数増えるの嬉しい』
『倒れないでくださいね』
『頑張ってください』
「応援ありがとうございます。で、2つ目の報告は」
明日の昼配信に、と続けて言おうとした時、コメント欄に来るはずもない人が『頑張りましょう!』と激励を送ってくる。
もちろん、リスナーさん達も気付き、コメント欄が荒れる。
『サキサキさん!』
『サキサキさん⁉︎』
『サキサキさんが来てるよ』
「ええ、サキサキさん激励をありがとうございます。で、2つ目の報告は」
『サキサキチャンネル : いえいえ、そんな(照)』
『サキサキさん可愛い』
『配信見てたの?』
『滝さんと友達?』
リスナーさんの興味は俺からコメント欄のサキサキさんへと移る。
『サキサキチャンネル : いえいえ、リスナーの皆さんの方が私より可愛いですよ』
『サキサキチャンネル : 配信は途中からです。滝さんとは親友ですね(照)』
『サキサキチャンネル : まあ、滝さんがどう思っているかは分かりませんが………チラッ、チラッ』
「人の配信でリスナーさんと会話するのやめてもらっていいですかね。あとコメント欄荒らすのやめてもらってもいいですか?」
この人、人気あるんだからさ。言動には気をつけてもらいたい。
『サキサキチャンネル : チラッ、チラッ』
『見てるぞ』
『サキサキさん、見てるぞ』
『答えなかったら炎上だぞ!』
「脅すのやめてもらってもいいですかね! あとチラチラ見んな! そうですね、親友ですね」
今日あったばっかの人を親友っていうのか? まさか、配信を盛り上げてくれるために?
今日のあの人の会話を思い出す。
いや、ないな。あの人の素だとおバカさんだもん。
『サキサキチャンネル : 照れ』
「照れんな、照れんな! もういいです、報告を続けます」
サキサキさんを無視して報告をする。
「明日から昼の配信をしていくつもりです。昼の配信第1回目はコラボ配信の予定で、コラボ相手はなんとサキサキさんです」
『888888』
『パチパチパチ』
『サキサキチャンネル : 88888888888888888888』
「リスナーさん、サキサキさん、拍手ありがとうございます」
何拍手しとんねん! ってツッコミたい。
「ええ、長くなりましたが、これにて今日の配信を終わりにします。長い間ご視聴ありがとうございました。明日の昼配信並びに夜配信の内容はTwitterにて公開しますので、よろしくお願いします。ああ! あとサキサキさん、後で連絡しますね。説教します。ではおやすみなさい」
配信後、コメント欄が少し荒れるが俺は知らない。
タバコを1本取り出して、火をつける。そして、
「もしもし、佐々木さんですか?」
これから長い夜が始まる。
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