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Evo13 「笑姫の暗示」

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 もし、魔法の国があったとして、自分も魔法の力が使えたとしたら、どんな願いを叶えますか?

 容姿を美形に変身させチヤホヤされる。お金持ちになって世界旅行でもします?若しくは世界一手術を成功させるお医者さんになりって、病で苦しんでいる人達を救うと言うのはどうでしょう?

 だけどこれらの願いは魔法では無くても、努力次第でその理想に近付ける事ですよね。本当の魔法とは、現実を超えた力の事なのです。


「翡翠さん、良い輝きの変身だ。初めの頃に比べたら、一段と魔力が増しているよ」

「確かに同化した天使達も、負担が少なくなって来ていると言ってますよ」

 魔術師アグリッタさんと天使のアキナ君に褒められる、遣いとして選定された私事、若竹 翡翠。その目的は神黒翡翠と言う、強い魔力を持つ石を探す事なのです。


「アグリッタさん、身体の具合はどうですか? 私、魔力の無駄遣いをしているかも知れませんから」

 魔術師達には、元々その身に宿る魔力の量が決まっているそうです。その魔力を使い果たしてしまうと、一般の人間に戻ってしまう為、どうでも良い事で魔力を使う事は、魔術師に負担を掛けてしまう事になるのだと、私は教わりました。


「ああ、大丈夫だよ。翡翠さんが成長してくれたお陰で、負担は大分軽減して来ているんだ」

「でも翡翠、学校に遅刻するからって魔力で移動しちゃダメだよ」

「すみません……1回だけ使いました」

 魔法は基本、魔法の国で使うと言うルールがあります。だけど一般世界でも、ある程度なら使って良いらしいのですが、一般の人に話したり知られてはいけないのだと言われました。

 もし知られてしまった場合は、自身とその知ってしまった人の記憶を、数年分消される事になってしまうらしいのです。

 そしてもう1つ、魔術師の魔力が尽きた時、若しくは遣いとして解任された場合も、数年分の記憶が失われる事になると言われました。

 ここで少し時系列について説明すると、私達遣いが魔法の国に行っている間は、一般世界での時間は止まっているらしいのです。

 だけど例えば私が魔法の国にいたとして、他の遣いが一般世界にいると仮定すると、その遣いの人の時間軸は進んでいて、私が一般世界に帰って来ると、過去の遣いの人に会う事になるのだと、私は聞きました。

 その時点で時間軸は増えていて、未来の私の時間軸と、今の私が存在する事になるらしいのです。簡単に例えると、私が魔法の国から帰った時点では、その私にとって未来の私が存在している事になるらしいのですが……。

 そして一般人である人達も、私の止めた時間軸の存在と、他の遣いの進んでいる時間軸に最低でも2人存在している事になるらしいのです。更にルアンユーさんやソフィーさん達遣いが魔法の国に行くと、時間軸はいくらでも増える事になるのだと、私はアキナに説明されました。

 以前、私はアリスちゃん達と海に行った事があったのですが、その時私が魔法の国へ行った事をアリスちゃんは気付いたそうです。

 それはアリスちゃんにとって私は目の前にいる存在だったですが、そこでアリスちゃんは感覚で、もう1人の私がこの世界にはいないと気付き、魔法の国へ向かったと言っていました。

 と、少しややこしい話になってしまったのですが、物語を前に進めましょう。私達は3学期を終え、高校3年生になっていました。


「うおーっ翡翠、これを見て下さい」

「どうしたの、アリスちゃん?」

 アリスちゃんは先日行われた、漢字テストの答案を、私と魔美華ちゃんに見せ付けて来たのでした。そこには何と、53点と書かれていたのです。


「へ~。アリスにしては中々じゃない」

「魔美華、これで私も漢字マスターに近付けましたよ」

 因みに私は85点で、魔美華ちゃんは62点だったそうです。と、そこへ、私達のクラスに1人の女子生徒が現れたのでした。


「失礼しま~す。あっ、いた。翡翠お姉ちゃ~んっ!」

「え? あっ、笑姫ちゃん?」

 杉浦 笑姫(すぎうら えひめ) ちゃん。彼女は私の自宅の近所に住んでいた、幼馴染の女性なのです。だけど親の都合により引越をしてしまっていたのですが、私と同じ高校に入学して来たと言ったのでした。


「翡翠、この如何にも小悪魔的な物体は何ですか?」

「笑姫ちゃんだよ。笑姫ちゃんとは幼馴染なの」

「初めまして、杉浦 笑姫です。晴れて翡翠お姉……翡翠さんと同じ高校に入学出来ました」 

 笑姫ちゃんは疎遠になっていたにも関わらず、何故私が進学した高校を分かったかと言うと、ある方法を使い突き止めたらしいのです。そのある方法とは、タロット占いでした。


「そうだ、笑姫ちゃん。久しぶりに占って貰える?」

「占う? 笑姫にそんな事が出来るの?」

「エイヒレ如きに占いなど無理ですね」

 既に呼び捨てにしている魔美華ちゃんと、酷いあだ名を付けるアリスちゃん。そして放課後、私のバイト先で占って貰う事になったのです。


「翡翠さん、可愛い制服ですね~」

「ありがとう、笑姫ちゃん。そこの2人には、滅茶苦茶貶されましたけど」

「で、タロット占いだっけ? 先ずは私から占ってよ」

 鞄から22枚のカードを取り出す笑姫ちゃん。そして器用にシャップルし、時計回りに混ぜていました。次に、そのカードをまとめ3つの山に分けた様です。

 その山は左から過去、現在、未来を示していて、一枚ずつ引かせる事で占うというやり方でした。因みにタロットの占い方は自己流で良いらしいので、特に決まったやり方で無くても良いらしいです。


「では、魔美華さん、左の山から一枚ずつ引いて下さい」

「悪いの出ろ~ダメなの出ろ~魔美華のエロ~」

「ちょっとアリス、邪魔しないでよね。じゃあ、行くわよ……えいっ!」

 魔美華ちゃんが引いたカードは、20番目の『審判』 、15番目の『悪魔』 、18番目の『月』 であり、全て正位置だったそうです。

 これらは『仲直り』  、『誘惑』 、『疑惑』 などを意味し、魔美華ちゃん自身過去に私と大ケンカをし、仲直りをしていた事が暗示されたと聞きました。次に現在は、正にケーキの食べ放題に誘惑されていて、そして最後のカード、疑惑は……。


「魔美華さんは、凄く真っ直ぐな人ですね。暗示がストレートに出て分かり易いです」

「あ~、それは只の馬鹿と言う意味ですね。私にも分かりますよ」

「やかましわっ! で、肝心の未来はどうなのよ?」

 疑惑とは文字通り『疑う』 事であるらしいのですが、何を疑うのかは笑姫ちゃんにも詳しくは分からない……と嘘を付き、適当に誤魔化した様です。


「でも、大した疑いでは無いと思いますので、心配しないで下さい」

 その後、アリスちゃんも占って貰ったみたいなのですが、これも良くない暗示が出てしまっていた為、笑姫ちゃんは黙っていた様です。そして、2時間程時間を潰した頃、私も妃姫ちゃん達の席に座る事になりました。


「お待たせ~。どうだった? 妃姫ちゃんの占い凄く当たるでしょ?」

「未来はこの手で描くものです」

「そうよ。私は全く気にしていないわ」

 輝かしい未来を予想していた魔美華ちゃんと、アリスちゃんだったみたいなのですが、それ程でもない結果であった為、少し拗ねている様です。


「最後に、翡翠さんも占いますか?」

「え、私? 私は……」

 私は一瞬、占いで魔法の国の事を当てられてはマズイと考え躊躇したのですが、アリスちゃんが大丈夫であった為、占って貰う事にしました。

 その結果、過去は変化があり、現在は充実していると出たらしいのですが、未来の結果は笑姫ちゃんも一瞬黙り込む結果が出てしまったらしいのです。


「……翡翠さん、占いは1つの可能性に過ぎません。ましてや、私の様なお遊びでやっている占い何か……」

 私の暗示された未来は、13番目の逆位置である『死神』 を示し、絶望を意味していたらしいのですが、その暗示はもう少し先で的中してしまう事になってしまうのです……。

 そして帰り道にて。


「翡翠ちゃ、あっ、ごめんなさい」

「ちゃんで良いよ」

「でもね、アリスさんの時もそうだったんだけど、翡翠ちゃんにも不思議な暗示が出てたんだぁ」

 私もアリスちゃんも特に部活などに入っていないのですが、『戦う』 と言う暗示を笑姫ちゃんは読み取っていたのでした。

 勿論、人生は色々な意味で戦いの連続なのでしょうが、それとは違う意味での大きな戦いを暗示していたと告げたのです。


「それは……アレだよ。私とアリスちゃんは、今放送している戦隊もののアニメに憧れてて、私達もやってみたいなぁ……て」

「……翡翠ちゃんは、以前よりも明るくなったね。とても良い事です」

 私は何とか魔法の事を誤魔化しました。そして私と別れ一人歩く笑姫ちゃんだったのですが、その目の前にある人物が現れ、声を掛けて来たそうなのです。


「お前、中々の千里眼を持っている様だな」

 占い師は、自分の事をあまり占わないのだと笑姫ちゃんは言っていました。それは占う際に雑念が入ってしまい、当たりにくくなってしまうからだそうです。


「誰……ですか?」

「我が名は、魔術師アライスター クロウリーである。お前を我が遣いに選定してやろう」

 私達がまだ知らない新たな魔術師、アライスターさん。この人もまた神黒翡翠を手にし、欲を叶え様としている魔術師であったのです。

 そして、魔法の国へ半強制的に連れて行かれてしまった妃姫ちゃん。


「ここは……」

「俗語で言えば、魔法の国だ。お前達の一般世界とは比べ物にならぬ程、満たされた世界だな」

「で、私をここに連れて来た理由は何ですか? 確か、遣いがどうとか言っていましたが」

 魔術師の遣いとなった者は魔力供給により、己も魔法の力が使える様になる事。それら魔法に関してのルール。そして目的は、神黒翡翠を探す事だとアライスターさんは説明したそうです。


「神黒翡翠とは、膨大な魔力で作られた魔法石の事だ。それさえ手に入れば、大抵の願いは叶うであろう」

「私には、特に叶えたい願い何て無いですよ」

「それは嘘だな。私を含め、人間と言う生き物は欲の塊だ。今は無くとも、必ずお前にも欲望が芽生える」

 アライスターさんにとって笑姫ちゃんは、打って付けの遣い候補であったみたいです。それは、アライスターさんの能力が12芒星を、タロットに置き換えた魔法であったからだと、笑姫ちゃんに聞きました。

 そして、アライスターさんはその能力を使い、笑姫ちゃんの生い立ちを探ったそうです。そこに見たものこそ、笑姫ちゃんを遣いにさせる最大の理由と成り得る事柄であったと言っていました。


「……何か見えましたか?」

「これは偶然では無いであろう。若竹 翡翠は、お前の知り合いだな?」

 神黒翡翠を1度手にした事で、私の存在は魔法の国中に知れ渡っていた様でした。そして私に近しい笑姫ちゃんならば、遣いになる事に不安は無いであろうとアライスターさんは告げた様です。


「翡翠ちゃんが? 何で翡翠ちゃんが、魔術師の遣い何かに……」

「奴もまた、叶えたい願いがあるのだろう。現に奴は1度神黒翡翠を使い、その望みを叶えているのだ」

 笑姫ちゃんは考えたそうです。私が何故魔術師の遣いになったのかと。

 そして叶えた願いとは何なのか。だけど笑姫ちゃんは決意したそうです。自分も遣いになり、私の手伝いが出来るのならば、それも良いであろうと言う解答を。


「……分かりました。貴方の遣いになります」

「良い判断だ。ではお前の名と共に、こう唱えるんだ」

 アライスターさんに呪文を教えられた笑姫ちゃん。そして。


「我に射し込むその力 今この時この瞬間 運命の扉を開かん……笑姫……エボリューションっ!」


「……成る程。それがお前の進化した姿か」

 笑姫ちゃんは真っ黒なマントを羽織り、頭には三角帽子。そしてホウキを携えた姿に変身していたそうです。


「何この姿? ……ダサ」

「笑姫、お前には12のタロット魔法を与える。それらを駆使し、見事神黒翡翠を持ち帰るのだ」

 遂に魔術師の遣いになってしまった笑姫ちゃん。私の味方になるのか、それとも敵になってしまうのか。そして12のタロット魔法の能力とは。まだ笑姫ちゃんには何も分からない状況であった筈です。

 そして翌日、学校にて。


「翡翠ちゃん、聞いてっ。私も魔……あっ、後で話すね」

 他の生徒達がいる中だったのですが、大声で魔法の事をバラしそうになってしまった笑姫ちゃん。取り敢えず放課後まで待ち、私に明かす事になった様です。


「どうしたの、笑姫ちゃん?」

「翡翠ちゃん、私も魔術師の遣いになったんだよ」

「え? どう言う事?」

 アライスターさんとの出会いから、事細かく説明してくれた妃姫ちゃん。私は驚きはしたのですが、こんな自分が選ばれたのだから、笑姫ちゃんならばと納得しました。

 と、そこへ、アリスちゃんが立ち聞きをしていたらしく現れたのです。


「エイヒレ……まあ、笑姫でいいですか。笑姫は私達の後輩になりますね。命令は何でも聞くのです」

「いえ、アリスちゃん? 私もまだ初心者と大して変わらないのですが」 

 確かに学校でも私達は先輩になるので、笑姫ちゃんは元気良く『はいっ』 と答えていました。

 そしてその後、私達は魔法の世界に行き、笑姫ちゃんを案内する事となったのです。


「とまあ、こんな感じで他の領土に入るには、話し合いか戦闘で勝てば入れるのよ」

「アリスさん、言葉遣いが変わってますね?」

 魔法の国では共通語になる為だからです。


「そう言うば笑姫ちゃんは、どんな願いを叶えたいの?」

「特には無いんです。翡翠ちゃんの手伝いが出来たら良いなって、思っただけでして」

 これもまた私に似て、魔力を与えられた意味を深く考えていない笑姫ちゃんでした。そこでアリスちゃんは、笑姫ちゃんの訓練として勝負を仕掛ける事にしたのです。


「笑姫、魔法を甘く見てると後悔する事になるわよ。我と共するその力 今この時この瞬間 星の導きを示さん……アリス……エボリューションっ!」
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