子ネズミデイジーのお引越し

まだまだ決まらない

　ダッジェスからなんとか逃げきったデイジーたち3匹は、もう一度スタッチのところに行きました。
　お父さんネズミの話を聞くと、スタッチは目をぐるりとまわしていいました。

「やれやれ、チーズのかわりにネズミを食べようとするとは。猫も落ちぶれたものだ」

　それからスタッチは3匹にシマリスのグエンを紹介してくれました。

「どんなに腹ペコでも、シマリスが食べるのはどんぐりだけ」

　スタッチはデイジーにそういいました。
　グエンの案内で3匹がついたのは街の真ん中にある、ビルの地下室の床下でした。

「どうだい、ここは？」

　ガタン。ガタン。

「キレイだし、広いだろ？おまけに食料はいつでも手に入るし、バスにもすぐ乗れる」

　ガタン。ガタン。
　グエンはそういいましたが、周りの音がうるさくて、デイジーたちはほとんど聞き取れません。

「なんだって？」

　ゴトン。ゴトン。
　お父さんネズミが聞きましたが、物音にかき消されてしまいます。

「なんだって？」

　ガタン。ガタン。
　グエンも聞き返していますが、やっぱり聞こえません。
　しまいにはお父さんネズミも、グエンもすっかり疲れてしまいました。