一年B組探偵団と盗まれたルビー

１８

「おい、和也。何やってたんだよ？　もうとっくに拭きおわったぞ」
「和也くんの使ってる毛布でね」

　そういって乃愛は南と顔を見合わせると笑った。

「ごめん。でも今そこで牧本さんと米塚さんが話しててさ……」

　和也は今きいたことをすべて三人に話した。

「ふーん……そういうことか」

　真が納得したという顔でいった。

「金庫を開けるなんて一体どうやったのかと思ったけど、その話じゃそこまで難しいわけじゃなさそうだな」
「少なくともエレベーターの設定をいじったり、スペアキーをつくるよりはずっと簡単だったみたいね」
「でもそうなると、ますます怪しいのは私たち三人になるわよ」
「乃愛、少なくとも私は金庫の開け方は知らないわよ」
「南ちゃん！　私だって知らないわよ！」
「もちろんぼくだって知らないよ」

　和也は少しイライラしながらいった。

「そういえば米塚さん、霧江さんのこと知ってるっぽかったな。いったいどこで知ったんだろ？」

　和也がそういうと、乃愛が驚いていった。

「ちょっと和也くん。あれくらいの美人になるとね、男の人はみんなそういうのよ。少しでも接点をもってるって、さりげなく自慢したいのよ」

　そんなものだろうか？　
　和也が首をひねっていると、南が続けていった。

「霧江さん自身は迷惑でしょうね。私がみたところ、あの人は結構家庭的なタイプだと思うな」
「五本指の靴下を履いていたから？」

　南が笑っていった。

「まあ、あれはお婆ちゃんみたいだなって思ったけど」
「あの人、料理とかつくれるのかな？」

　和也は窓の外にはりついているヤモリをみていた。大雨のなか少しもぶれることなく、ピタリとはりついている。
　なんだろう？
　なにか分かりかけている気がする。
　和也の真剣な顔に、残りの三人もいつの間にか黙り込んだ。
　和也はじっと外をみていた。