一年B組探偵団と盗まれたルビー

２

　藍川和也、山形真、葛城南、夢野乃愛の四人は現在、関東北部にあるN市に住んでいる。N市はそれなりに人口もおり都会へのアクセスも悪くないのだが、あまり若者に人気のある街ではなくどちらかというと地味な街だった。
　四人とも、N市立上代かみしろ中学校の一年生だった。
　家がすぐ近く子供の頃からの幼なじみで、今もクラスの新聞委員会を一緒にやっている。周りからは仲良し四人組と思われているが、四人からするとそれは少し違った。
　二年前、街でスカウトされた乃愛が芸能界に入り、脇役とはいえドラマや映画に出演するようなった。最近はだいぶましになったが、その頃は時折芸能人ぶるくせがあったので、南などは口もきこうとしなかった。
　去年、真がとあるサッカーチームのジュニアユースのセレクションに合格したさいも、真がしばらくの間練習づけになり、和也たちと過ごす時間は減った。
　南も学校の成績はだれよりもいいのに、たまに「こんな点数じゃまともな大学にも行けないわ」などとこれみよがしにいうので、乃愛から真顔で「南ちゃんて、だから友達少ないんだよ」などといわれたりしている。
　そもそも新聞委員会を四人でやっているのも、単にくじ引きで当たったからにすぎない。
　だから、周りの先生やクラスメイトから「四人とも本当に仲がいいわね」などといわれると、どうにもこそばゆい感じになってしまうのだ。
　しかし四人がどう思っていようと、こうして肩を並べて一緒に帰り、新聞委員会の集まりについて話し合っているのもまた事実だった。
　ひょっとしたら、こういうのを腐れ縁くされえんというんじゃないだろうか。
　和也は時々、そんな風に思う。
　くっついたり離れたり、時にはケンカしたり、そんなことを繰り返しながら大人になってもまた気づいたら一緒に歩いている。
　そんな感じがしてならないのだ。

「ねえ、新聞委員会の集まり、今からうちでやらない？」

　自分の家の前まできたとき、乃愛がポツリといった。