イケメン幼馴染に執着されるSub

ひな

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夢物語(雄斗)

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(遥奈が……特別……?)

「知ってるでしょ?麻耶ちゃんと遥奈ちゃんに面識があったこと。」

「…………」

「麻耶ちゃんの存在を知る、唯一の理解者だと思っているから遥奈ちゃんを意識してるんでしょ。」

「…………」


違う。

俺の意識の中にはふーくんしかいない。

遥奈なんていない。

「素直になってほしいところだけど……今はそんなこと話してる余裕はないね。」

汚物 
 
 隼人

  汚物が

俺の手を握る

「お願いだ……時間がない。」

「…………」


汚物の言うことを信じられない。

(ふーくんと俺を引き離すつもりだろ……)

コイツは裏切ると思う。

ふーくんが、俺を探している中で……ふーくんの弱みに漬け込んで俺だけを殺す気だ。

嘘をついてる人間の目なんて、ゴミの山ほど見てきたから俺には判る。

「馬鹿らしい……茜、こっちに来い。」

(早くふーくんに会いたい。)

適当に茜に汚物を押し付けよう。

心の中で自己解決した俺は茜にチェンソーを渡す。


「これでアイツを殺せ。お前のご主人様は俺だ。」

「……………。」

(………は?)


茜は虚空の瞳をするだけで俺に返事をしない。

俺睨んでるようにも見える。



        動け
「命令に従え。”【Move】”」


「……………」


茜はチェンソーを引いた。

命令に従った茜は何度も、何度もチェンソーを引いている。



隼人の言葉を聞いて動揺していた俺は警戒心が欠けていた。



命令に従った茜を見て安心した俺はすぐにその場を離れた。









  止まれ
「”【Stop】”」








「茜ちゃん、駄目だよ。チェンソーを下ろして。」




「っ………」





茜は、俺に向けてチェンソーをむけていた。






(……茜?)



初めて見た茜の顔。

虚空の瞳で、ただ泣いている。

「っ……雄斗様のばか……ばかばかばか!!!」

力強くチェンソーを投げ下ろした茜は俺を壁に押し付ける。

「私は……隼人様が死ぬのが嫌です……雄斗様も…遥奈さんも死ぬのはいやだ……」

ポロポロと涙を流す茜の力は弱い。

俺は茜の力を振り解いた。

「馬鹿なことをするな。命令に従え。」

俺がそう言うと茜は自身の唇から血が滲むほど力強く下唇を噛んだ。


「っ……雄斗様、確かに……隼人様の考えに根拠はないですし、事実性もありません……だけど、私は……もう、ひとを殺したくない……。」


「……………」


「初めは……山で死体処理をしました。匂いがキツくて、泣きながら息を止めるので必死でした……」

嗚咽を吐きながら茜は話を続ける。

「2回目、3回目になると心が壊れ始めました……だから、隼人様を見た時も何も感じなかった……隼人様が、私の心を助けてくれたんです。」

「……だから、隼人を信じるのか」

「人の心を理解する人間を、私はご主人様と呼びたいんです。」

(っ…………)

「隼人様は……私のご主人様だから、隼人様の命令を聞きます。だから、このお屋敷から避難するべきと……雄斗様にも伝えるべく此処に参りました……誰かを殺すために居るんじゃない……。」


(茜………)





「………隼人、お前は……茜に何をした……」

「さぁね。”普通”のことしかしてないよ。」

(”普通”………)


“普通”が俺には判らない。

判らないから、茜は俺を捨てたんだろう。






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