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いらない
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しおりを挟む「梶原……」
「………」
「梶原…行かないでよ…」
「っ………」
隼人にかける言葉が思いつかない。
隼人に何か同情してしまえば俺は……隼人捨てられない。
「……………」
「っ、まって、まって、かじはらっ……」
(…………苦しい)
心が苦しい。
隼人は今、俺の片足を押さえている。
まるで子どものように、本当に行ってほしくないように。
「おねがいだ…行かないでってば……梶原が死ぬの…俺は嫌だ………。」
「………死ぬ?」
「梶原だって分かってるだろ?……雄斗は、今から死ぬんだよ……この屋敷と一緒に。」
「ゆうとが……しぬ……」
いやだ、嫌だ嫌だ
そんなの嫌だ
「やっぱり、行く」
「……俺を、置いていかないで……」
「…………いやだ。」
「これは廣瀬の願いでもあるんだよ……だから、」
「いやだ!!!」
「離せよ!!」って俺が言っても…当たり前だけど、隼人には響かない。
俺が雄斗を想ってるように、隼人も俺を想っているんだ。
「いかないで……ううっ…いかないでよ……っ」
ボロボロと大粒の涙を流す隼人。
いつもの様子から考えられないほど崩れている。
(……………)
なんで、邪魔するの?
そろそろ息苦しくなってきた。
目も霞む。
今の俺には、隼人を振り解ける程の力は残っていない。
「なんで………っ」
俺はここで隼人と死ぬのか?
いやだ、
開いたい。
彼に……
「梶原のことが好きなんだ……」
「うん……」
「初めて会った時はね、俺のことを見てくれたから意識した。でもそれは全然違くて……俺の初めての友達って思ってくれたところから好きの始まりだった。」
「………」
「Sub、Domなんて関係ない。俺は、純粋に梶原が好きだ。だってさ……本当に好きだから俺は梶原に命令してない。」
「っ……」
「今だって……やろうと思えば俺の言いなりに命令ができる。」
「じゃあしてみろよ……」
「しないよ、梶原が好きだから。好きだから主従関係の”好き”を廣瀬みたいに作りたくないんだ…。」
震える隼人の声
「俺だって…今、自分でみっともないことしてるって分かってるよ……だけどさっ……お願いだよ……」
「……卑怯だ。」
「……またそうやって俺を信じないんだから。」
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