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崩れる
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しおりを挟む何がいけなかったんだ。
何で一緒にいてくれないの……?
俺が、裏切ったから?
雄斗から離れようとしたから……?
思い当たる節がありすぎて……、もしかして雄斗は、……俺を捨てた………?
「っ……”【やめてくださいご主人様】”」
そう言って、俺は命令を解いた。
雄斗の姿が、もう見えない。
雄斗
“「愛してるよ」”
雄斗
“「俺たち、付き合わない?」”
ゆうと……
“「君の神様になりたい」”
「っ……!!」
さっきSafe Word と言ったことで体に負担が入り、呼吸がしづらくなった。
「ひゅっ……っ雄斗っ、ゆうとぉっまって……」
どこにいるかなんてわかんない。
右も左もわからずに一つ一つ扉を開けながら探している。
雄斗、俺だってお前が神様だよ。
何よりも雄斗を信じている。生きる理由が君が生きていることだから。
会えなくなるのは寂しいよ。
『ふう。』
「っ………!麻耶、ちゃん……」
『此処を早く出たほうがいい。もう時期死ぬわよ。』
「死んでもいいっ……!雄斗に会えないなら意味なんてない!!!」
『……ねえ、ふう。貴方、自分を愛してくれる人なら誰でもいいんじゃないの?』
「……は?」
『そうよ…そうに決まってる。だから、雄斗のことも好きになったのよ。私のほうが愛してたのに…』
「まやちゃん……?」
『……ねえ、今でも私のことすき?』
「……?今はそれどころじゃな」
『やっぱりそうよね……私のことなんてもう好きじゃないよね。』
「好きだって……!好きだから、雄斗の場所を教えてくれよ!!」
『……だから、この部屋から出ないで欲しかった。気持ちに気づいてほしくなかった……こんな思いをするなら、風の前に現れなきゃ良かった。』
彼女はそう言い、姿を消した。
“自分を愛してくれる人なら誰でもいい”
違う。
雄斗じゃないといけないんだよ。
理由なんてわかんない、愛に理由なんて要らない。
好き、好き、大好き。
「ゆうとっ!!」
……麻耶なんて、どうでもいい
止まれ
「【stop】」
「っ………!」
命令……
雄斗か?!
「ゆうと!」
「梶原、迎えに来たよ。」
「……はやと?」
「ほら、早くこの屋敷を出るよ。茜も。」
「御意。」
「隼人!!これ、どういうつもりだ……?」
「……廣瀬との約束でね。」
「……は?」
雄斗との約束、?
「俺はっ…雄斗に会いたい。だから離してほしい。」
「梶原の頼みでもそれだけはだめだなー……ほら、口をおさえないと。」
「っ?!」
そういえば、あの耳障りな音楽はもう消えてて
今は大量の煙が廊下中に充満している。
「死ぬよ。」
隼人が低いトーンでそう言う。
だめだ。
「雄斗も死ぬだろっ!!」
「っ………梶原!!」
隼人が俺の肩を掴む。
「俺は廣瀬に頼まれたんだよ。何があっても梶原を生かさなきゃいけない。廣瀬がいないと梶原は生きていけないとは分かってる。だけど……梶原が生きることは俺と廣瀬の願いなんだよ……。」
「頼む……」と、隼人は俺に願うように言う。
(……………)
「隼人。」
「……梶原……」
「命令、外して。」
「だめだ。」
「外して。」
「………」
「俺のこと、好きなら信頼しろよ……もう、麻耶と…父さん以外…大切な人を死なせたくないんだ……っ」
「っ………!」
「医者になるお前なら……わかるだろ?」
「………それでも、これだけは譲れない。……梶原はいつも、俺の予想を超えるから……梶原は、俺の救いなんだよ……。」
普段ヘラヘラしている隼人。
それなのに、ひどく泣きそうな顔をしている彼に俺はまだ動けずにいる。
(………やめろ。)
人間を捨てるんだ。
俺は、人間じゃないんだから。
道徳倫理観とか、社会的とか、人の常識なんて要らない。
「……………」
そんなの、崩してでも
彼に会いたいんだから。
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