イケメン幼馴染に執着されるSub

ひな

文字の大きさ
上 下
97 / 127
崩れる

7

しおりを挟む


何がいけなかったんだ。

何で一緒にいてくれないの……?


俺が、裏切ったから?

雄斗から離れようとしたから……?



思い当たる節がありすぎて……、もしかして雄斗は、……俺を捨てた………?



「っ……”【やめてくださいご主人様】”」

そう言って、俺は命令を解いた。

雄斗の姿が、もう見えない。


雄斗

 “「愛してるよ」”


雄斗

 “「俺たち、付き合わない?」”

ゆうと……

  “「君の神様になりたい」”


「っ……!!」

さっきSafe Word と言ったことで体に負担が入り、呼吸がしづらくなった。

「ひゅっ……っ雄斗っ、ゆうとぉっまって……」

どこにいるかなんてわかんない。

右も左もわからずに一つ一つ扉を開けながら探している。


雄斗、俺だってお前が神様だよ。

何よりも雄斗を信じている。生きる理由が君が生きていることだから。


会えなくなるのは寂しいよ。



『ふう。』

「っ………!麻耶、ちゃん……」

『此処を早く出たほうがいい。もう時期死ぬわよ。』

「死んでもいいっ……!雄斗に会えないなら意味なんてない!!!」

『……ねえ、ふう。貴方、自分を愛してくれる人なら誰でもいいんじゃないの?』

「……は?」
 
『そうよ…そうに決まってる。だから、雄斗のことも好きになったのよ。私のほうが愛してたのに…』

「まやちゃん……?」

『……ねえ、今でも私のことすき?』

「……?今はそれどころじゃな」

『やっぱりそうよね……私のことなんてもう好きじゃないよね。』

「好きだって……!好きだから、雄斗の場所を教えてくれよ!!」

『……だから、この部屋から出ないで欲しかった。気持ちに気づいてほしくなかった……こんな思いをするなら、風の前に現れなきゃ良かった。』


彼女はそう言い、姿を消した。


“自分を愛してくれる人なら誰でもいい”


違う。


雄斗じゃないといけないんだよ。


理由なんてわかんない、愛に理由なんて要らない。


好き、好き、大好き。


「ゆうとっ!!」



……麻耶なんて、どうでもいい

 止まれ
「【stop】」

「っ………!」



命令……

雄斗か?!

「ゆうと!」

「梶原、迎えに来たよ。」

「……はやと?」

「ほら、早くこの屋敷を出るよ。茜も。」

「御意。」

「隼人!!これ、どういうつもりだ……?」

「……廣瀬との約束でね。」

「……は?」

雄斗との約束、?

「俺はっ…雄斗に会いたい。だから離してほしい。」

「梶原の頼みでもそれだけはだめだなー……ほら、口をおさえないと。」

「っ?!」


そういえば、あの耳障りな音楽はもう消えてて

今は大量の煙が廊下中に充満している。


「死ぬよ。」

隼人が低いトーンでそう言う。




だめだ。



「雄斗も死ぬだろっ!!」

「っ………梶原!!」

隼人が俺の肩を掴む。

「俺は廣瀬に頼まれたんだよ。何があっても梶原を生かさなきゃいけない。廣瀬がいないと梶原は生きていけないとは分かってる。だけど……梶原が生きることは俺と廣瀬の願いなんだよ……。」

「頼む……」と、隼人は俺に願うように言う。


(……………)


「隼人。」

「……梶原……」

「命令、外して。」

「だめだ。」

「外して。」

「………」

「俺のこと、好きなら信頼しろよ……もう、麻耶と…父さん以外…大切な人を死なせたくないんだ……っ」

「っ………!」

「医者になるお前なら……わかるだろ?」

「………それでも、これだけは譲れない。……梶原はいつも、俺の予想を超えるから……梶原は、俺の救いなんだよ……。」

普段ヘラヘラしている隼人。

それなのに、ひどく泣きそうな顔をしている彼に俺はまだ動けずにいる。


(………やめろ。)


人間を捨てるんだ。


俺は、人間じゃないんだから。


道徳倫理観とか、社会的とか、人の常識なんて要らない。


「……………」

そんなの、崩してでも

彼に会いたいんだから。










しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

ヤンデレBL作品集

みるきぃ
BL
主にヤンデレ攻めを中心としたBL作品集となっています。

飼われる側って案外良いらしい。

なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。 なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。 「まあ何も変わらない、はず…」 ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。 ほんとに。ほんとうに。 紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22) ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。 変化を嫌い、現状維持を好む。 タルア=ミース(347) 職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。 最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

執着攻めと平凡受けの短編集

松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。 疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。 基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

ヤンデレ化していた幼稚園ぶりの友人に食べられました

ミルク珈琲
BL
幼稚園の頃ずっと後ろを着いてきて、泣き虫だった男の子がいた。 「優ちゃんは絶対に僕のものにする♡」 ストーリーを分かりやすくするために少しだけ変更させて頂きましたm(_ _)m ・洸sideも投稿させて頂く予定です

処理中です...