イケメン幼馴染に執着されるSub

ひな

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冷静でいられない

8(遥奈)

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隼人さんとの約束。


    “ 梶原を助ける “





「………如何して、死ぬの……?」


判りきっている質問を彼に投げる。

そんなの当たり前に決まってる。

彼は……梶原くんは何も言わないけど、


「……雄斗様を、……愛しているからなの?」


そう聞くと梶原くんはコクンと頷く。


なんで?


どうして?


有り得ない。


「……SubとDomは所詮、主従関係……。そこに恋愛的感情は絶対に入らない……そうですよね?」


「………………」


彼は何も言わない

ただ虚な顔を下に向ける。


「何か言ってよ……、駄目。梶原くんを生きて返すの……隼人さんと約束したの……っおねがい」


「隼人なんて要らない。」


………え


如何して……


「そんなこと言ったら駄目よ……だって、隼人さんは梶原くんを助けるために……」


「そんなの俺は頼んでない。」


「じゃあ助けた後に死なないでよ…」

「助けてなんて望んでねぇよ!!あんたの妹を助けるために俺はここを出るだけで……っ」

梶原くんはそう声を上げた後疲れたような顔をして腰を下ろす。


「……もう、感情的になるのに疲れた。」

そう言い溢し、私に言う。

「麻耶のこと……ごめん。あんたの妹のことも…俺のせいだよな、本当ごめん。」

…………


許すわけないでしょ。


「謝罪を言うくらいなら早くこの部屋を出て。
……その後に死んでもいい。」


こいつの命なんてよく考えればどうでも良い。

ただ百合を助けるのに必要な道具ってだけで、隼人さんがそのあとに梶原くんと何かしようと関係ないし、2人が死んでも関係無い。


なんで気づかなかったんだろう。


「……愛のために死ぬ、麻耶ちゃんのために死ぬって馬鹿馬鹿しい。」

わざと聞こえるように独り言を漏らす。


どうせこいつには聞こえてない。


今から雄斗様と離れる悲しみで、多分そんな暇ない。


隼人さんはもうすぐここに着く。

今頃、百合を率いれてここへ向かってるに違いない。

早く、雄斗様にバレないようにこっそり逃げないと


「……とりあえず立って。」


「無理。」


「……は?」


梶原くんは顔を下に向けながらズズッと鼻を啜っている。

まさか泣いてんの?本当に阿呆らしい。



雄斗様から逃げたくせに。
隼人さんの家に避難したくせに。


「立ってよ!!!」

グイッと力強く梶原くんの腕を引き上げる。


(あー、本当に泣いちゃってる。)


可哀想

だなんて微塵も思わない。


父は死んで、母は監禁され、そんな中の依存先が雄斗様に向いただけ。

一歩違っていれば隼人さんに依存していた。



…………あ、


そうだ。
こうすれば簡単じゃん。


梶原くんはこれからも生きるし、隼人さんとの約束を守れるし、百合を取り返せる。



「……梶原くん。」

再び座り込む彼に私は屈み、目を合わせる。


「ごめんなさい……確かに、愛する人と離れるのは辛いわよね……全然気づけなかった。」


できるだけ、優しい声で…穏やかな声で……。


「焦るといっつも自己的になって……相手に嫌な思いをさせちゃう……本当、悪い癖よね。」


梶原くんの肩に手を置く。


「梶原くん………」


私がそう言いかけようとした時


梶原くんはハッと青ざめた顔で私の手を避ける。


「……、??梶原くん…、どうかした?」


「……匂い……」



…………


「どうしたの?」


「………あっ……ゆり、せんぱい………」


百合先輩


「その人が如何かしたの?」


「……ご主人様っ……、ううっ……」

またポロポロと涙を流す。

私の匂い……百合と、雄斗様……



(へー……)

やっぱり隼人さんはすごい。

掛かったな。
 








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