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君に惑溺
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しおりを挟む「ただいま、ふーくん。」
「っあ………!!!」
帰ってきた、
(ご主人様が帰ってきてくれた…!!!)
俺はご主人様に抱きつき、確認する。
「っ……生きてる……生きてる!!!」
「……?どうしたの、大丈夫?」
ご主人様は不思議そうな顔をして俺の撫でてくれる。
「それよりも肩は大丈夫?傷まない?」
(心配してくれてる……)
「はいっ……腕を上げるのはまだ痛いけど特に支障はないです……。」
「よかった、」と安心そうに笑うご主人様が愛おしい
俺はご主人様を更に強く抱きしめる
(………………?)
「痛いよ、ふーくん。抱きしめすぎ」
ご主人様は笑いながら優しく俺を離す
だけど、
「………如何かした?」
「………………」
優しくて品のあるご主人様の匂い。そんないつもの匂いから、
汗と精液の臭いがする
「ふーくん?」
「あ、えっと…………」
なんで?
ご主人様が部屋を出る前……俺と一緒に寝てたときはそんな臭いしなかったし……
もし、俺とご主人様の匂いじゃないなら
考えられるなら
少なくとも 百合先輩と 同じ臭いだった
「大丈夫?ずっとぼーっとしてるよ?」
ご主人様が俺に目線を合わせる
「あ、ああ……えと、えっと……においが、…」
「匂い?」
俺がそう聞いた瞬間、瞳が冷たくなるご主人様
これは言ったらいけないと瞬時に思い、「俺、臭くないですか?」と紛らわした。
「ふーくんが臭い?そんなわけない。ふーくんの匂い大好きだよ、落ち着く……。」
そう言って俺を抱きしめ返す。
「………………」
この行為自体は嬉しい
安心するし、俺を好いてくれるんだと実感する
だけど、
心のモヤモヤが止まらない
ご主人様からの臭い
百合先輩の……ご主人様…………
「俺のこと、好きですか………?」
「好きだよ。」
「………俺だけを?」
「ふーくん以外全員嫌いだよ。」
本当、なのかな………
「……他に、主従関係築いてるひといますか……?」
声が震える
でも聞かないと、
俺のこと好きなら、嘘は吐かないはず
ご主人様が居ないよって言うなら俺は安心するし、
この臭いだって…………
「何か言った?」
「え…………」
「ごめん、聞こえなかった。」
……………は?
冷徹に、彼はそう言う
「もう一回言って。」と冷たい圧をかける彼に俺は勇気が出なくて「なんでもないです……」と言った。
「……何で敬語なの?」
「あ……その、……ご主人様だし………?」
「敬語使わなくていいよ。前みたいに”雄斗”って言って欲しいし。」
「……でも、……………」
「つぎ敬語使ったらお仕置き。」
「え?!あ、分かりまし……、わかった……。」
「うん、偉いね」と俺の頭を撫でてくれる。
俺は素直に笑顔になれなくて
ご主人様のように嬉しく思えない
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