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君に惑溺
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しおりを挟むご主人様は今なにしてるんだろ
ご主人様まだ帰ってこないのかな
ご主人様、何食べてるのかな
「ごしゅじんさま……」
さっきからずっとご主人様のことしか考えてない
なんでだ?
「……俺を、好いてるから……?」
いや違う
ご主人様は俺を狗にしたいだけで恋愛感情はないだろ
妹の仇
俺を性欲の道具と使って
きっと都合のいい言葉を並べて好きとか言ってるんだろう
デレた表情も
きっと狗にしたいだけで、
「…………………」
Domのご主人様はSubの俺を恋愛感情で絶対見ない
そもそも俺の親父はご主人様に殺されて
母さんも監禁されてて、
百合先輩、………も何かされてるだろうし
隼人……………
『「梶原ッ……あッ……出るッ……!!!」』
「………………」
隼人もDomだからSubの俺を使ったんだ
少しでも、俺のこと”好き”とか言ってた癖に
………あれ、
“好き”って何だ
“好き”は……相手に想いを寄せてそれが実って結婚する、そんな軽いものだと思ってたけど
俺がご主人様と隼人にされた”好き”は性欲に使われた
…”好き”同士ってキス、するよな……?
キスのあと、体を重ねてお互い幸せになって……
好き=性欲 ってことか……
そうだよな………待てよ、
じゃあ
ご主人様が俺にした”好き”も
隼人が俺にした”好き”も
全部本当の“好き”
「え、…あれ、?おれ………」
俺はその”好き”を受け止めた
ご主人様が嫌なら必死で蹴ったり殴ったりして抵抗しただろう
隼人だってその気になれば殴ってたし、現に俺が隼人を殴って行為を辞めさせた
麻耶も、俺を”好き”って言ってた
まだ小さかった麻耶に性欲は無かったけど、その”好き”を俺は受け止めた
でも、本心では俺を”好き”って言う人を俺は別に”好き”じゃなくて
ただ、”わかったよ” と適当に受け止めている
「っぁ……あ、ああぁ”………」
不安になってきた
俺はまた、麻耶のようにご主人様と隼人を殺してしまうんじゃないか
まだ1時間くらいしか経ってないのにご主人様が帰ってこなくて不安に駆られる
会いたい
生きてて欲しい
死んでいたら嫌だ
“『絶対に部屋を出ちゃダメ』”
……………
麻耶が言ってた言葉
あんなの所詮は夢だ
気にすることない
そうだよ……
ご主人様、、………
俺は貴方を好きではないけれど、死んでしまったら気がおかしくなってしまう
「ッ………!」
俺は部屋を出る
少し重い扉を開き、辺りを見渡す
ホテルのように長く続く綺麗な廊下
床にはカーペットが敷かれていて、部屋のドアも沢山ある
(本当に…家なのか……?)
廊下だけ見ると、隼人のマンションの廊下みたいだ。
少し部屋から体を出してみる
廊下の奥から男性3人組と女性1人がこっちに来る
(ご主人様……じゃないな、)
少し筋肉質で色黒な男3人
(エロ漫画に出てくる男みたいだな……)
とりあえず俺は扉を閉めてあの4人が居なくなってから部屋を出ることにしよう、
そう思い俺は体を引く
「梶原くん……………?」
聞き覚えのある声
柔らかくて、繊細で、俺が2年間も好きだった人の、
「ぁ、…………」
小さく声が漏れた。
最後に会った、インターフォン越しで見た時よりもボロボロで、目にハイライトが無いような曇った表情。
人が変わってしまったのかと思うほど雰囲気が全然違うが、声がまるで変わってない
「百合先輩………?」
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