イケメン幼馴染に執着されるSub

ひな

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行方(???)

6(遥奈の過去)

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「………え?」

中学校で義務的に行うユニバースの検査。

自分がSubかDomかNormalか分かる検査で私はSubと出た。

両親と妹の百合はNormalなのに私だけSub。

病院に行って何度も再確認しても私はSubだった。

お母さんに私がSubだってことを伝えたら”お父さんが違うの”と泣きながら言われた。


やっぱり、と納得した。

だっておかしいもん。

お義父さんとお母さんと百合は穏やかなのに私だけサバサバしてて、よく男子と喧嘩する問題児のような性格をしてるし顔は私も百合もお母さん似だけどやっぱり雰囲気が違う。
どこか、他人のような姉妹のような。それは自分でもなんとなく分かってた。

少しお母さんから話を聞いてみると高校生の時、5人組の不良に廃墟でレイプされたって。


朝日が昇るまで何度も殴られて、中に出されて数日間放置されたらしい。

あの5人のうち、誰かが私の本当のお父さんだけどもう顔も覚えてないから分からないと告げられた。


私は百合のように産まれてれて欲しかったわけじゃなくて気持ち悪い行為の末に仕方がなく産まれたんだ。

お母さんは何度もごめんね、ごめんねと泣きながら私に言う。
“伝えるタイミングが無かったの。でもね遥奈が産まれてきてくれてすっごく嬉しいし、百合と変わらないくらい愛してるよ。”なんて言われたけど、どうしても腑に落ちない私は家を出た。


「おねーちゃん?」

百合がキョトンとした顔でこちらを見る。

「もうすぐよるになるよ?どこいくの?」

「うるさい!!!黙ってろ!!!!!」

びくっと分かりやすいくらい百合が驚いて今にも大声で泣きそうな顔。

(私のほうが辛いのにっ……!)















何時間経った

いや、まだ1時間も経ってないかな


家出をしたのは良いもの、行く当てなんて私にはない。

公園のブランコで泣いているだけだ。

(私って産まれても良かったのかな……お母さんのあんな悲しそうな顔、初めて見た……。)

どう考えてもお母さんのほうが辛いはずなのに

私は自分が産まれた理由が癪に落ちないって理由で逃げた。

お義父さんも、私の本当のお父さんじゃないって考えたら数日前まで一緒にお風呂入ってたことが急に気持ち悪くて、自分が今どんな感情なのか分からないほど人生で1番泣いている。


『お姉さんだいじょうぶ?』


「……え?」

私の隣のブランコに、すごく綺麗な女の子が座っている

驚く余裕なんてなかった。


『泣いてるの?』

「っ……泣いてるけど文句あるの?!」

『…………』



(あ….)


私って本当最低だ。

百合に怒鳴って八つ当たりして、何も関係のないこの子にまで怒鳴って……。

見た感じ6歳の百合よりも少し下っぽいのに雰囲気が妙に大人っぽくて、13歳の私よりもしっかりしてそうな美少女。


『なにかあったの?』

「なんでっ…あんたに心配されないといけないの?」

『泣いてるからよ。』

女の子はブランコから降りてよしよしと私の頭を撫でる。

急に撫でられて本来ならびっくりするはずなのに、なんだかすごく安心してまた大量の涙が落ちる。

『麻耶。何してんの。』

突如、知らない男の子の声が近くに聞こえる。

(”まや”……?)

『泣いてるから慰めてるの。』

『そんなことする意味あるの?ふーくんがお前のこと待ってるぞ。』

『…あとでにして。もうちょっとお姉さんといるから。』

『………』

男の子と目が合う

双子なのか、お互いとても綺麗な顔立ちをしてて、なんでこんな綺麗な子が私の目の前にいるんだろうと少し考え込んでしまう。
だけど男の子のほうは女の子に比べて少し冷たいような雰囲気がある。

『雄斗はね風にしか優しくないの。』

とため息混じりで女の子が言う。

『ふーくん以外全員ゴミ。』

『ほらね。』

「………」

すごい

いいなぁ

ふーくん、?は誰か1人にでも愛されてるんだ。

『貴女だって愛されてるでしょ?』

「え………?」

女の子がいきなり言ってきた。

『大丈夫だよ。』

ポンポン、と最後に頭を撫でて男の子と一緒に走ってどこかに行ってしまった。




気がつけば涙はとっくに止まっていてあの優しい手のおかげで少し元気が出た気がする。



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