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行方(???)
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しおりを挟む「また来てくれたのかい?」
「掃除をしに来ただけです。」
あれから私は廣瀬家当主様の命令で何故か中野隼人の部屋に茜と交代で来ている。
「昨日おれに世話してくれた茜ってメイドかわいよね。」
「随分体力が戻ったようですね。」
「ここに4日もいたら正気になるよ。今ではこの壁のコンクリートはどこの国の原産なんだろうって考える毎日だよ~」
「(その考えは正気の人がする思考なのか……)」
「梶原さんはもういいんですか?」
「梶原!!大好き!でも指輪は受け取らないよ。」
「…………」
この男、やっぱり隙がない。
この4日間の間、一向に指輪を受け取らないで学歴自慢の話ばかりされてた。
だんだんイライラしてくる。
「最近まで梶原さんの話をすると”放っておいてくれ”と懇願してたのにどういう風の吹き回しですか?」
「んー、茜ちゃんのおかげかな。」
「茜……?」
「茜ちゃんの元カレがDVって話を聞いたら俺もまだまだ許容範囲内で梶原のこと許せるな~って」
「つまり?」
「こんなに引っ掻かれても、殴られても梶原のことを考えると恥ずかしい気持ちになる俺は梶原のこと好きなんだなって。」
「……知能下がりました?」
「下がったかも。俺医者にならないといけないのに~」
「……殴られてまでも梶原さんが好きなの?」
「そうだけど……え?俺のことドMって言いたいの…?」
「何言ってるんですか。」
本当に意味が分からない
マジで早く指輪受け取って欲しい
私だってこのまま持ってたら危ないし要らないんだよ
「……………」
駄目だ
こんなに無駄な4日間を過ごしてしまった
その間に、“あの子”はどんなに辛いことをされてるのか、想像をするだけでも辛い。
「掃除が終わったのでもう帰ります。また2日後に……」
「待ってよ。いつまで俺は片足にこんな冷たくて重い鎖付けてなきゃいけないの?」
「逃げない為です。」
「逃げないよ。」
「外しません。」
「えー」と情けない声を出しているのが妙に気に食わない。
この男は今捕えられてる身なのに何故……
「こうやって捕まってる人って案外気楽な部分もあるのかもね。」
また意味が分からないこと言ってる
(無視無視)
「そういえば君によく似てた女の子も可愛いかったな。俺の家のインターフォン鳴らした子。」
「………え?」
足が止まる。
(私に似てる女の子、?)
「あ、やっぱり姉妹?雰囲気は違うけど顔の面影とか似てるな~って」
「如何してあなたの家に?」
「おっ一気に至近距離になるじゃん。さっきまで俺のこと無視してたのに~」
「ふざけないで。」
インターフォンってことは、あの子は今、百合は外に出られる状況ってこと……?
「そうだ、梶原があの子のこと百合先輩って言ってたな。」
「詳しく聞かせて下さい。」
「如何して?」
「っ……!」
「理由を教えてくれないと俺も教えないーっ」
「…………」
(ふざけやがって。)
「教えて下さい。」
「如何して?」
「教えて下さい。」
「…………」
本当にイライラする。
今、足元に落ちてるカッターでこいつの首を切りたい。もっと顔を傷だらけにしたい。
(監視カメラのせいで自由に動けないのが悔しい……っ)
カメラを確認し、ゆっくり中野隼人の元へ近づいて耳元で言う
「百合は………私の妹なんだよ。」
「妹!へぇー!!!」
(わざとらしい反応っ……)
「で、?妹だから何?どうして?」
(こいつ……!!)
「理由を言ってくれたら俺も教えるけど梶原を殺すことは絶対に許さない。」
「なら別に良いです。元々貴方の力を借りる気はありませんので。」
やばい
これ以上近くにいたらこいつをグチャグチャに潰
したくなる
(また後日来て話を聞こう…)
止まれ
「”【Stop】”」
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