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拒絶と認識
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しおりを挟む「ゆっ…ご主人様。」
「なぁに?ふーくん。」
俺がご主人様に微笑むとご主人様も嬉しそうに微笑む。
ぎゅっ
俺は雄斗の首に腕を回して抱きつく。
突然のことで雄斗は少し硬直しているけど、すぐに抱きしめ返した。
「雄斗…」
俺は雄斗の耳元で名前を呼ぶ
あぁ…あったかい。
人の温もりってこんなに暖かいんだ。
ごめん。母さん、父さん。
俺が過去に何をしたかなんて分からない。
もしかしたら過去の俺が雄斗を病気にさせてしまったのかもしれない。
このままずっと雄斗といたほうがみんなは幸せかもしれない。
だけど、このまま雄斗とずっと一緒だなんて無理だ。
「【やめてくださいご主人様。】」
「っ?!」
さっきまで強く俺を抱きしめていた腕が一気に緩む。
その瞬間に俺は雄斗から離れて自分の部屋の電球に手をやる。
「やっぱり、隠しカメラあったんだ。」
「ふっ、く……何っで……」
「お前といたら病気になる。」
「え」
俺は雄斗にそう、強く言うと雄斗の表情は一気に暗くなった。
「雄斗がいくら俺を追いかけたって、俺は拒絶する。だけど、俺の家族に手を出したらお前を許さない。」
「っ…何処に行くんだよ」
「出て行くんだよ。お前と一緒だなんて無理だ。病気が移る。」
少し言い過ぎたかもしれない。
だけどこれくらい言っておかないと。
また3日後とか気を許してメールしたり、会ったりしてしまう。
「じゃーな。」
俺は部屋を出る。
行き先なんてない。
どこにも行く当てはない。
だけど、逃げないとだめだ。いつか、本当にシラフの状態でも雄斗を愛してしまう。
「まっ…て、ふっ、くん…」
雄斗が何か言ってる。
雄斗の地下室でヤられた時と同じだ。
だけど、もう泣かない。
決意した。
もう、お前を人間だなんて認識しない。
階段を降りた後、玄関へ向かう。
玄関の前に、母さんが立っている。
「風、何処行くの。」
「…、もう帰ってこないから。」
「ダメよ。雄斗君と仲直りしなさい。」
「……」
「仲直りしなさい。」
「……俺の気持ち、考えてんの?」
「っ!だからっ、元々は風が!」
「原因を教えてくれなきゃ分かんねぇんだよ!!!!」
うるさい
うるさいうるさいうるさい
もう黙れよ。
「じゃーな。」
俺は母さんにそう告げて家を出る。
少し振り返ると母さんの膝は落ちて、泣いている。
俺は歯をギリっと噛み締めて扉を押す。
「………ろしたのよ」
母さんが何か言ってる。
何を言ってるのか耳を澄ました途端、
バタン
扉が閉まった。
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