イケメン幼馴染に執着されるSub

16.

「ねぇ母さん。話があるんだけど。」

「あら、どうしたの？もしかして…髪の毛を染めるお金頂戴だなんて」

「俺、normalじゃないよね。」

そう言った途端、さっきまでニコニコしてた母さんは一気に真顔になって少しだけ沈黙が続いた。

「…どうして？」

母さんが口を開く。

“どうして？”だなんてそんなの言えるはずがない。雄斗にレイプされたなんて言えない

「黙ってるってことは、雄斗くんから聞いたのね。」

「…うん。」

「そう…そうなのね…。」

母さんが少し悲しそうな顔をしている。
悲しいのは俺なのに、なんでそんな顔をするんだ？

「なんで嘘、ついてたの？」

「……ごめんね、だけどまだ言えない。」

「…は？」

「だけどね、これはあなたの為なの」

俺の為、？

「何が…何が俺の為だよ！」

俺は母さんの胸ぐらを掴む

「嘘ついて、理由隠して、その上俺の為だと？！ふざけんな！！」

「風…。」

「雄斗、あいつに何か言われたのか？」

「………」

「黙ってないで、何か言えよ！！」

母さんは口を開こうとしない
目も合わせようとしないでただ泣きそうな顔をしているだけだ。

「っ…くだらねぇ、」

俺は母さんを離した。
怖かったのか、母さんは少し震えたあとに口を開いた。

「殺されるから…言えない。」

「は？何それ…」

「風は廣瀬家の噂を聞いたことがないからわからないのよ、いいえ。そもそも風が原因なんだわ。」

「俺が、原因？」

「ええ…。そして私たちの状況、普段の様子も廣瀬家に監視されてるの。だから」

「監視？俺が原因？まって、話が掴めない」

「……」

母さんは小さい声で言う

「ここにいる間はまだ言えない。
知りたいならもっと遠い場所、廣瀬家が追いつけないところに行くしかない。」

「そして、一枚の写真を見ること。」

写真？

「写真ってなに、？」

「………」

「……遠い場所、行ったらわかるの？」

「ええ…。」

「それって、どこ？」

「…あの世しかないわ。」

あの世、

「死ぬってこと？」

「ええ…。」

死なないと、真実を知れない。
真実を知らなければ、死なない。

「選択肢は、風に任せる。でもね、死ぬのは風だけじゃなくて私も、お父さんも死ぬのよ。」

「は？なんで…」

「あなたがしたことはそれほど大きいことだからよ。」

大きいこと？
俺が何をしたっていうんだ

「あと、これからも廣瀬雄斗くんと仲良くしてね。」

「え？」

「さぁ、この話は終わり！詳しくは雄斗くんから聞いてね。」

突然母さんが明るくなった。

「なに、吹っ切れてんの…」

「吹っ切れちゃうわよ…それよりも、今日の晩御飯なにがいい？」

「いや、いらない」

俺はそう言ってリビングを後にして部屋にこもった。
母さんは何を隠してるんだろう、なんで教えてくれないんだ。
それもあるけど母さんの顔。

声や顔は突然妙に明るくなって、だけど雰囲気は暗くて、

“吹っ切れちゃうわよ…”

どういうことなんだ…？

そんなことを考え続けていたら今日の疲労が溜まりに溜まっていつの間にか眠っていた。