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7.
しおりを挟む「馬鹿ね…」
百合先輩がゆっくり目を開けて俺に言う
俺の足は名前も知らない男に掴まれている
「離せよ‼︎‼︎」
俺は足を力いっぱい振り切って男を殴る
「やめて。彼、私の彼氏なの。」
「は…?」
俺は手を止めて男にライトを当てる
「俺は、百合の彼氏だよ」
顔も見たことのない男。
百合先輩のクラスじゃない、何回か3年生の教室を徘徊していたので3年生でも、1年生でもない。
2年生、いや他校か?
そんなことはどうでもいい。
「百合先輩、なんのために俺を呼んだんですか?」
「……」
百合先輩は少し曇った表情と、泣きそうな表情をしている。
「梶原、君。あなたに言いたいことがあるの。」
「言いたいこと?」
「えぇ。」
百合先輩は男のほうへゆっくり歩き、男へ手の伸ばしてキスをした。
「私、彼とは2年前から付き合ってるの。梶原くんが私を好きになる前からよ。」
「え、そうなんですか…」
「えぇ。なのに梶原くんから好意を寄せられて、ずっと気持ち悪かった」
「だけど頑張って梶原くんの前では平然を保っていたわ。だけど、今日あなたに告白されて限界になった。」
「気持ちが悪かった、吐き気がしたわ。」
「ちょ、待ってください百合先ぱ…」
「2年も前から私のことが好きなら……振られても、どうせ諦め切れないでしょ?だから、私が諦めさせてあげる。」
「百合先輩、待ってくださいって!」
百合先輩は俺の言葉を無視し、俺に見せつけるかのように男と激しいキスをした。
「んっ…」
2人の唇から、百合先輩の声が漏れる。
なんで、俺はこんな思いをするんだろう
百合先輩に恋したのが悪かったのかな。
あぁ、家に帰りたい。
「「気持ち悪い」」
この言葉が頭から離れない
俺が好きになる2年も前から気持ち悪いと思ってた、嫌いだったってことかな。
百合先輩に2年も前から好きなんて言ってなかったど、噂かなにかで聞いたんだろう。
あーあー、
俺は好きだったのになー。
でも、わざわざ俺をここへ呼ぶってことは本当に俺に諦めてほしいんだろう。
だから、俺の前で今、こんな行為をしてるんだろう。
死にたくなってきたなー
百合先輩にかっこいいと思われたくて、金髪にして、ピアスも開けて、かっこいい俺にしようとしたけど無駄だった。
なんか、もう全部嫌になってきた。
自分が恥ずかしい
恋なんてしなきゃよかった
こんなとこ早く抜け出して、誰かに慰めてほしい。
泣きそうになる
やばい
「っ…」
俺は部屋を出た。
「さよなら、風くん。」
最後に百合先輩の声が聞こえた
とても申し訳なさそうな弱々しい声
俺の被害妄想でそう聞こえるのかもしれない
でも、もうどうでもいい。
教室を出た先には雄斗がいる。
「ふーくん、この部屋に百合先輩…」
雄斗がなにか言い出す前に、俺は泣いた。
慰めて欲しい。助けて欲しい。
俺は強くそう思った。
「雄斗っ、もういやだっ!いやだいやだ…」
死にたい
「俺なんて、気持ち悪いと思われてたなら死んだほうがマシだ…!」
おれは…
「俺は…誰かに慰めて欲しい」
「ふーくん、」
雄斗が俺の名前を呼ぶ
俺は雄斗を見る
そして雄斗はニコっと微笑み、俺に言う。
「【kneel】」
にー、る?
それって、たしかDomがSubにに言う、
お座りってことだろ…?
なんで俺に言う…
「…え?」
いつのまにか俺は床についていた。
まるで、お座りをしているような、
「やっぱり、やっぱりそうだったんだ…ははっ!」
雄斗が愉快気に笑う
いつもは静かに笑っている雄斗が、
声をあげて心から笑っている雄斗を俺はこれまで見たことがない
「雄斗っ、なんだこれっ…」
俺が力尽くで足を上げようとしても上がらない。
「Safe Wordを言わないと解けないよ。」
「は?セーフワード?」
「でも、それを言ったらお互い苦しい思いをしちゃうから中々言えないよね。ほーんと、Subって可哀想」
何言ってるんだ?雄斗、お前……
「おいっ、俺はNormalだからっDomのお前の言葉なんて」
「でも、今俺に指図されてるじゃん」
「それはっ」
「それに、そんなに抵抗しようと頑張ってるけど本当はお仕置きされたくてたまらないくせに。」
「そんなことっ」
「【Sharap】」
俺の口は止まる。
何も喋れない。
そんな俺を雄斗は見下しながらこう言う
「ふーくん、君はSubなんだ。」
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