10 / 12
一年生編
第9話 さらなる孤立
しおりを挟む
正樹に投げ飛ばされた翌日、俺と正樹は担任から呼び出しをくらっていた
どうやら正樹の母親が、俺が嫌がらせをして正樹を困らせたという内容で担任に電話があったそうだ
「で、大輝この内容は本当なのか?」
「いや、本当はー」
俺は、正樹との間に何が起きたのか、自分の言動も正直に全て担任に報告した
「うーん。正樹のお母さんから聞いてる内容と違うんよな。大輝は嘘はついてないんやな」
「はい。全部本当の事です」
「正樹は?何か違うか?」
「いや、大輝の言ってることは嘘っぱちですよ!」
「なら、俺のこの膝についてる傷については?なにか弁明はあるの?」
「はあ?そんな傷知らんし!勝手に俺が付けたみたいに言うな!」
「まあまあ、両方落ち着け」
担任は俺たち二人の間に入り、落ち着かせると
「とりあえず、原因を作ったのは大輝なんやから、正樹に対して謝れ、正樹は大輝を投げ飛ばすのはやりすぎや、これから気をつけろよ」
「え?」
俺はしばらくの間思考が止まった
俺が原因?正樹がサボったことが原因では?
俺を投げ飛ばすのはやりすぎだからこれから気をつけろ?それだけ?
なんで俺だけが謝罪必要なんだ?
まるで全て俺が原因のようではないか
「双方それでいいな!じゃあ大輝は謝罪!」
「え?あ、え、」
「ほら!謝る!」
「ご、ごめんなさい」
言わされてしまった、自分自身は悪いとは思っていないのに、謝罪の言葉を口に出してしまった
「いいよ、次から気をつけろよ」
正樹は何処か嬉しそうに許しの言葉を口にした
俺はどうすれば良かったんだ?先に担任に報告していれば何か変わったのか?
ここで謝罪をしてしまった事、そして相手が許しの言葉を口にしたこと
この二つは俺と正樹の間に上下関係をつけるには十分だった
俺は喧嘩を吹っ掛けた側、正樹は喧嘩を吹っ掛けられた側
加害者と被害者
この関係が正しいと、第3者には見えてしまう
俺にとっての一番の不幸としては、この事が他の同級生たちにも知れ渡ってしまった事だった
「ねえ、正樹と喧嘩したのって本当なの?」
「一応本当やで」
「そうなんや、前から正樹と仲悪かったけど、まさか喧嘩するとは」
担任に呼び出されてから、周りの人から喧嘩について聞かれる事が多くなった
俺は聴かれたことには答えるが、自分が言いふらすことはしなかった
正樹はまるで武勇伝かのように周りに言いふらしていた、内容を自分のいいように変えて
俺だけが否定したところで信じてもらえることも無く、噂の内容は「大輝が正樹に喧嘩を吹っ掛け大輝が負けた」という内容のものになっていた
それからしばらくして、俺は周りとの距離が今まで以上に空くことになっていた
噂に尾びれが付き「大輝は難癖をつけて喧嘩をふっかけてくる」というのが、同級生たちの共通認識のようになっていた
俺は、周りとの距離を取り戻そうと初めは考えたが、どうすることも出来ず読書に逃げるようになっていた
少し期間が経つと、読書にはまり込むようになり、俺は周りとの会話の回数は激減している事を気にしないようになっていた
放課後の部活動は俺にとっては居心地の悪い物になっており、部活中でも最低限のコミュニケーションを取るだけで、あまり話すことは無くなっていった
正樹は俺に対しては何をしても大丈夫と考えているのか、プレー中に俺に対してのラフプレーが目立つようになっていたが、顧問を含めそれを指摘する人はいなく、正樹の態度は大きくなる一方だった
そして、周りとの距離が空いた状態で一年生は終わりを迎えようとしていた
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
次で一年生編は終わります
どうやら正樹の母親が、俺が嫌がらせをして正樹を困らせたという内容で担任に電話があったそうだ
「で、大輝この内容は本当なのか?」
「いや、本当はー」
俺は、正樹との間に何が起きたのか、自分の言動も正直に全て担任に報告した
「うーん。正樹のお母さんから聞いてる内容と違うんよな。大輝は嘘はついてないんやな」
「はい。全部本当の事です」
「正樹は?何か違うか?」
「いや、大輝の言ってることは嘘っぱちですよ!」
「なら、俺のこの膝についてる傷については?なにか弁明はあるの?」
「はあ?そんな傷知らんし!勝手に俺が付けたみたいに言うな!」
「まあまあ、両方落ち着け」
担任は俺たち二人の間に入り、落ち着かせると
「とりあえず、原因を作ったのは大輝なんやから、正樹に対して謝れ、正樹は大輝を投げ飛ばすのはやりすぎや、これから気をつけろよ」
「え?」
俺はしばらくの間思考が止まった
俺が原因?正樹がサボったことが原因では?
俺を投げ飛ばすのはやりすぎだからこれから気をつけろ?それだけ?
なんで俺だけが謝罪必要なんだ?
まるで全て俺が原因のようではないか
「双方それでいいな!じゃあ大輝は謝罪!」
「え?あ、え、」
「ほら!謝る!」
「ご、ごめんなさい」
言わされてしまった、自分自身は悪いとは思っていないのに、謝罪の言葉を口に出してしまった
「いいよ、次から気をつけろよ」
正樹は何処か嬉しそうに許しの言葉を口にした
俺はどうすれば良かったんだ?先に担任に報告していれば何か変わったのか?
ここで謝罪をしてしまった事、そして相手が許しの言葉を口にしたこと
この二つは俺と正樹の間に上下関係をつけるには十分だった
俺は喧嘩を吹っ掛けた側、正樹は喧嘩を吹っ掛けられた側
加害者と被害者
この関係が正しいと、第3者には見えてしまう
俺にとっての一番の不幸としては、この事が他の同級生たちにも知れ渡ってしまった事だった
「ねえ、正樹と喧嘩したのって本当なの?」
「一応本当やで」
「そうなんや、前から正樹と仲悪かったけど、まさか喧嘩するとは」
担任に呼び出されてから、周りの人から喧嘩について聞かれる事が多くなった
俺は聴かれたことには答えるが、自分が言いふらすことはしなかった
正樹はまるで武勇伝かのように周りに言いふらしていた、内容を自分のいいように変えて
俺だけが否定したところで信じてもらえることも無く、噂の内容は「大輝が正樹に喧嘩を吹っ掛け大輝が負けた」という内容のものになっていた
それからしばらくして、俺は周りとの距離が今まで以上に空くことになっていた
噂に尾びれが付き「大輝は難癖をつけて喧嘩をふっかけてくる」というのが、同級生たちの共通認識のようになっていた
俺は、周りとの距離を取り戻そうと初めは考えたが、どうすることも出来ず読書に逃げるようになっていた
少し期間が経つと、読書にはまり込むようになり、俺は周りとの会話の回数は激減している事を気にしないようになっていた
放課後の部活動は俺にとっては居心地の悪い物になっており、部活中でも最低限のコミュニケーションを取るだけで、あまり話すことは無くなっていった
正樹は俺に対しては何をしても大丈夫と考えているのか、プレー中に俺に対してのラフプレーが目立つようになっていたが、顧問を含めそれを指摘する人はいなく、正樹の態度は大きくなる一方だった
そして、周りとの距離が空いた状態で一年生は終わりを迎えようとしていた
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
次で一年生編は終わります
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
如月さんは なびかない。~片想い中のクラスで一番の美少女から、急に何故か告白された件~
八木崎(やぎさき)
恋愛
「ねぇ……私と、付き合って」
ある日、クラスで一番可愛い女子生徒である如月心奏に唐突に告白をされ、彼女と付き合う事になった同じクラスの平凡な高校生男子、立花蓮。
蓮は初めて出来た彼女の存在に浮かれる―――なんて事は無く、心奏から思いも寄らない頼み事をされて、それを受ける事になるのであった。
これは不器用で未熟な2人が成長をしていく物語である。彼ら彼女らの歩む物語を是非ともご覧ください。
一緒にいたい、でも近づきたくない―――臆病で内向的な少年と、偏屈で変わり者な少女との恋愛模様を描く、そんな青春物語です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

蔑ろにされた王妃と見限られた国王
奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています
国王陛下には愛する女性がいた。
彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。
私は、そんな陛下と結婚した。
国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。
でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。
そしてもう一つ。
私も陛下も知らないことがあった。
彼女のことを。彼女の正体を。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

アルバートの屈辱
プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。
『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

だいたい全部、聖女のせい。
荒瀬ヤヒロ
恋愛
「どうして、こんなことに……」
異世界よりやってきた聖女と出会い、王太子は変わってしまった。
いや、王太子の側近の令息達まで、変わってしまったのだ。
すでに彼らには、婚約者である令嬢達の声も届かない。
これはとある王国に降り立った聖女との出会いで見る影もなく変わってしまった男達に苦しめられる少女達の、嘆きの物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる