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ここは・・・どこ?
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碧央と瑠偉は、とにかく走った。後ろからライフルを持った軍人たちが追い
かけて来るので、森の中へ分け入り、その森を抜けると・・・そこは断崖絶壁だ
った。
瑠偉:「わぁ、なんだこれ?」
碧央:「あ!なに?海?森を抜けたら、海?」
瑠偉:「方向を間違えたかな?反対側へ行かないと!」
2人は断崖に沿って走った。けれども、どこまで行っても同じように断崖絶壁。
瑠偉:「碧央くん、どこまで行っても断崖絶壁だよ。しかも、もしかしたら、あの木
の切り株、最初に見たやつかも・・・。」
碧央:「そうだよな。つまり、一周したって事か?ということは・・・無人島?」
瑠偉:「多分。すっごく狭い、断崖絶壁の孤島だよ。ということは・・・助けを求め
ようとしても・・・。」
碧央:「誰もいないじゃん!」
うぉーっと言って2人は頭を抱えた。だが、後ろから声が聞こえて、また走り出
した。だんだん薄暗くなってきた。完全に日が暮れれば、闇に紛れることが出来
る。だが・・・
碧央:「なんでこんな時に、真っ白な衣装着てるんだよ、俺たちは!」
碧央が嘆くのも無理はない。暗闇の中、白い衣装がピカピカ光っているようだ。
2人は上着を脱いた。ズボンは白いけれど、タンクトップは黒いので、上半身は
目立たなくなった。
しばらく走ってから、横倒しになっている木を見つけて、そこに座った。
瑠偉:「どうしよっか?どうやって助けを求める?」
碧央:「船か、飛行機にでも見つけてもらうしかないって事だよな?」
瑠偉:「飛行機か・・・俺たちの事、探してくれてるよね、きっと。そうしたら、
SOSのサインでも作るか。」
碧央:「え?どうやって?」
瑠偉:「うーん・・・火を起こして、文字を作るとか。」
以前、バラエティー番組でサバイバルキャンプをした事があった。その時に、火
の起こし方を教わったし、食べ物の見つけ方も教わったのだった。
碧央:「あの時の体験が役に立つな。」
瑠偉:「だね。ははは。」
2人は木で火を起こし、食べられそうな木の実を取って、焼いて食べた。
瑠偉:「ねえ、STEとSOS、どっちの文字を作ろうか。」
碧央:「この木の実、本当に食える物なのか?」
瑠偉:「意外と美味いよ。」
碧央:「そうか?ああ、意外と美味いな。Oはたくさん火がいるから、STEの方がい
いかもな。」
瑠偉:「なるほど、そうだね。」
腹が膨らむほどの食料ではなかったが、多少エネルギーを入れたので、もう少し
頑張れそうな気になる2人。そこら辺の草をむしって場所を作り、木切れを集め
て組んだ。それでSTEの文字を並べて行くのに、だいぶ時間がかかりそうだ。そ
こへ、カサカサという音がし、英語を話す声が聞こえた。
碧央:「やばい、瑠偉!火を消して逃げるぞ!」
さっきの焚火を足で消し、2人はまた走った。とにかく今は逃げなければならな
い。
しばらく行って、身をかがめた。
碧央:「しつこいな。」
瑠偉:「これだけ狭い島だから、向こうも何とか見つけようとするでしょうよ。」
碧央:「俺たち、逃げ切れるかな・・・。」
2人は木の陰に隠れ、地べたに座っていた。気が付けば、空には満点の星。その
星の灯りで、ほのかに相手の顔が見える。碧央が一瞬黙って、瑠偉の顔を見た。
碧央:「見つかったら、撃たれるよな。」
瑠偉:「壁を超える時、撃って来たからね。撃たれるだろうね。」
瑠偉も碧央の顔を見返した。
碧央:「もし、これで死ぬんだったら・・・。」
瑠偉:「ん?」
碧央:「俺、STEのメンバーに出逢えて、たくさんのフェローに愛されて、すごく幸
せだった。STEとして死ねるのは本望だけどさ、でも、1つだけやり残したこと
がある。このままじゃ、後悔する。死にきれない。」
瑠偉:「碧央くん?」
碧央:「俺、お前の事が・・・。」
かけて来るので、森の中へ分け入り、その森を抜けると・・・そこは断崖絶壁だ
った。
瑠偉:「わぁ、なんだこれ?」
碧央:「あ!なに?海?森を抜けたら、海?」
瑠偉:「方向を間違えたかな?反対側へ行かないと!」
2人は断崖に沿って走った。けれども、どこまで行っても同じように断崖絶壁。
瑠偉:「碧央くん、どこまで行っても断崖絶壁だよ。しかも、もしかしたら、あの木
の切り株、最初に見たやつかも・・・。」
碧央:「そうだよな。つまり、一周したって事か?ということは・・・無人島?」
瑠偉:「多分。すっごく狭い、断崖絶壁の孤島だよ。ということは・・・助けを求め
ようとしても・・・。」
碧央:「誰もいないじゃん!」
うぉーっと言って2人は頭を抱えた。だが、後ろから声が聞こえて、また走り出
した。だんだん薄暗くなってきた。完全に日が暮れれば、闇に紛れることが出来
る。だが・・・
碧央:「なんでこんな時に、真っ白な衣装着てるんだよ、俺たちは!」
碧央が嘆くのも無理はない。暗闇の中、白い衣装がピカピカ光っているようだ。
2人は上着を脱いた。ズボンは白いけれど、タンクトップは黒いので、上半身は
目立たなくなった。
しばらく走ってから、横倒しになっている木を見つけて、そこに座った。
瑠偉:「どうしよっか?どうやって助けを求める?」
碧央:「船か、飛行機にでも見つけてもらうしかないって事だよな?」
瑠偉:「飛行機か・・・俺たちの事、探してくれてるよね、きっと。そうしたら、
SOSのサインでも作るか。」
碧央:「え?どうやって?」
瑠偉:「うーん・・・火を起こして、文字を作るとか。」
以前、バラエティー番組でサバイバルキャンプをした事があった。その時に、火
の起こし方を教わったし、食べ物の見つけ方も教わったのだった。
碧央:「あの時の体験が役に立つな。」
瑠偉:「だね。ははは。」
2人は木で火を起こし、食べられそうな木の実を取って、焼いて食べた。
瑠偉:「ねえ、STEとSOS、どっちの文字を作ろうか。」
碧央:「この木の実、本当に食える物なのか?」
瑠偉:「意外と美味いよ。」
碧央:「そうか?ああ、意外と美味いな。Oはたくさん火がいるから、STEの方がい
いかもな。」
瑠偉:「なるほど、そうだね。」
腹が膨らむほどの食料ではなかったが、多少エネルギーを入れたので、もう少し
頑張れそうな気になる2人。そこら辺の草をむしって場所を作り、木切れを集め
て組んだ。それでSTEの文字を並べて行くのに、だいぶ時間がかかりそうだ。そ
こへ、カサカサという音がし、英語を話す声が聞こえた。
碧央:「やばい、瑠偉!火を消して逃げるぞ!」
さっきの焚火を足で消し、2人はまた走った。とにかく今は逃げなければならな
い。
しばらく行って、身をかがめた。
碧央:「しつこいな。」
瑠偉:「これだけ狭い島だから、向こうも何とか見つけようとするでしょうよ。」
碧央:「俺たち、逃げ切れるかな・・・。」
2人は木の陰に隠れ、地べたに座っていた。気が付けば、空には満点の星。その
星の灯りで、ほのかに相手の顔が見える。碧央が一瞬黙って、瑠偉の顔を見た。
碧央:「見つかったら、撃たれるよな。」
瑠偉:「壁を超える時、撃って来たからね。撃たれるだろうね。」
瑠偉も碧央の顔を見返した。
碧央:「もし、これで死ぬんだったら・・・。」
瑠偉:「ん?」
碧央:「俺、STEのメンバーに出逢えて、たくさんのフェローに愛されて、すごく幸
せだった。STEとして死ねるのは本望だけどさ、でも、1つだけやり残したこと
がある。このままじゃ、後悔する。死にきれない。」
瑠偉:「碧央くん?」
碧央:「俺、お前の事が・・・。」
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