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Orange Pealとの出会い
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何はともあれ、WideHitに採用された俺は、早速事務所へ出勤した。すぐにでも来てくれと言われたので、面接の二日後には出勤したのだ。
人手不足だと言うから、ほとんどヘアメイクはいないのかと思ったら、既に10人くらいいた。男性は少なく、おばちゃんが多い印象だった。
「花村梨陽(はなむら りょう)です。よろしくお願いします。」
俺は、紹介されてそう挨拶した。
「花村さん、年はおいくつなの?」
早速おばちゃん先輩に聞かれる。
「32です。ヘアメイク歴は5年です。」
「あら、それじゃあメイキャップアーティストになる前は、何をしていたの?」
「文具メーカーで営業をしていました。」
また面接が始まったようだ。
「ま、とにかくみんなで一丸となって、事務所のタレント達をよろしく頼むよ。」
社長がそう言って締めてくれた。
そして、俺はオレンジピールの担当と言うことで、他の4人と打ち合わせをした。彼らの顔もよく知らなかった俺。写真を見せられた。
「ほお。彼らは何歳なんですか?」
「みんな二十歳よ。」
「二十歳ですか。若いですな。」
「年齢以上に若い、というか幼いわね。」
先輩、若宮さんは目尻を下げてそう言った。もう、息子のように可愛いのだろうな。
「はい、今日は歌番組の収録があります。その前にスタジオで練習です。夜はバラエティ動画の打ち合わせをするそうです。ざっと今日の活動はそんな感じです。」
「はい!」
リーダーの海野さんがスケジュールを発表した。海野さんは男性だ。やっぱり男性もいるんだ。
「あの、我々が5人という事は、担当するメンバーを決めるのですか?」
俺が質問すると、
「いや、メイクは時間との闘いだから。来た順に2~3人ずつで一気にメイクするんだよ。」
海野さんがそう教えてくれた。なるほど。あまりそういうメイクをした事がないな。
ダンスなどの練習が午前10時からという事で、そろそろメンバーが来る頃だろうとメイク道具の準備を始めた。いや、俺は疑問だった。練習にはメイクは必要なかろうと。だが、何でもかんでも聞くのは迷惑だろうと、敢えて黙って周りに従っていた。
メンバーが入って来た。最初に入って来たのは柿沢真生(かきざわ まいく)だった。
「おっはよーございまーす。」
真生は屈託のない顔で笑い、メイキャップ台の椅子に座った。
「あ、おはようございます。」
俺が改めて彼にそう言うと、真生は俺の顔を見上げた。俺はマスクをしているのであまり顔が見えないだろうが。
「あ、新しい方ですか?」
「はい。花村です。よろしくお願いします。」
俺がそう言うと、真生は立ち上がって、
「こちらこそ、よろしくお願いします。」
と言って頭を下げた。なかなかお行儀がよろしい。しかし、顔の方はのっぺりというか、メイクのし甲斐のある顔だ。真生が座ったので、俺も含めて3人でメイクを始める。
「男性の感性でメイクした方がいいかしら?メインでやってみる?」
若宮さんにそう言われて、俺はメインでやらせてもらった。他の人はアシストしたり、髪の毛をいじったりしていた。
そのうち、次のメンバーが現れた。橘柊人(たちばな しゅうと)だ。柊人は入ってくるなり伸びをし、側転をし、腕立てをした。俺はびっくり。
ほぼ真生のメイクが終わったので、俺は柊人にも自己紹介をした。柊人もきちんと90度のお辞儀をして挨拶してくれた。こいつの顔も整ってはいるが地味な顔だ。これもメイクのし甲斐があるというものだ。
そして、桃井瑠伽(ももい るか)がやってきた。瑠伽は顔の中身はともかく、挨拶の時もにこにこして、感じの良い子だった。
次にやってきたのが藤木大哉(ふじき だいや)だ。この子は綺麗な顔をしていた。ちょっとメイクするのが勿体ないくらい。こういう顔にはあまり描きすぎず、ナチュラルに仕上げるのがいい。が、しかし。メンバーでメイクをそろえる必要もあるようで、なかなか難しい。
最後にやってきたのがお寝坊だと噂されていた柳本夢羅(やなぎもと むら)だ。相当眠そうで、挨拶した時も目が半分閉じていた。だが、メイクをする際には目を大きく開け、意外に可愛い顔をしていたので驚いたのだった。
人手不足だと言うから、ほとんどヘアメイクはいないのかと思ったら、既に10人くらいいた。男性は少なく、おばちゃんが多い印象だった。
「花村梨陽(はなむら りょう)です。よろしくお願いします。」
俺は、紹介されてそう挨拶した。
「花村さん、年はおいくつなの?」
早速おばちゃん先輩に聞かれる。
「32です。ヘアメイク歴は5年です。」
「あら、それじゃあメイキャップアーティストになる前は、何をしていたの?」
「文具メーカーで営業をしていました。」
また面接が始まったようだ。
「ま、とにかくみんなで一丸となって、事務所のタレント達をよろしく頼むよ。」
社長がそう言って締めてくれた。
そして、俺はオレンジピールの担当と言うことで、他の4人と打ち合わせをした。彼らの顔もよく知らなかった俺。写真を見せられた。
「ほお。彼らは何歳なんですか?」
「みんな二十歳よ。」
「二十歳ですか。若いですな。」
「年齢以上に若い、というか幼いわね。」
先輩、若宮さんは目尻を下げてそう言った。もう、息子のように可愛いのだろうな。
「はい、今日は歌番組の収録があります。その前にスタジオで練習です。夜はバラエティ動画の打ち合わせをするそうです。ざっと今日の活動はそんな感じです。」
「はい!」
リーダーの海野さんがスケジュールを発表した。海野さんは男性だ。やっぱり男性もいるんだ。
「あの、我々が5人という事は、担当するメンバーを決めるのですか?」
俺が質問すると、
「いや、メイクは時間との闘いだから。来た順に2~3人ずつで一気にメイクするんだよ。」
海野さんがそう教えてくれた。なるほど。あまりそういうメイクをした事がないな。
ダンスなどの練習が午前10時からという事で、そろそろメンバーが来る頃だろうとメイク道具の準備を始めた。いや、俺は疑問だった。練習にはメイクは必要なかろうと。だが、何でもかんでも聞くのは迷惑だろうと、敢えて黙って周りに従っていた。
メンバーが入って来た。最初に入って来たのは柿沢真生(かきざわ まいく)だった。
「おっはよーございまーす。」
真生は屈託のない顔で笑い、メイキャップ台の椅子に座った。
「あ、おはようございます。」
俺が改めて彼にそう言うと、真生は俺の顔を見上げた。俺はマスクをしているのであまり顔が見えないだろうが。
「あ、新しい方ですか?」
「はい。花村です。よろしくお願いします。」
俺がそう言うと、真生は立ち上がって、
「こちらこそ、よろしくお願いします。」
と言って頭を下げた。なかなかお行儀がよろしい。しかし、顔の方はのっぺりというか、メイクのし甲斐のある顔だ。真生が座ったので、俺も含めて3人でメイクを始める。
「男性の感性でメイクした方がいいかしら?メインでやってみる?」
若宮さんにそう言われて、俺はメインでやらせてもらった。他の人はアシストしたり、髪の毛をいじったりしていた。
そのうち、次のメンバーが現れた。橘柊人(たちばな しゅうと)だ。柊人は入ってくるなり伸びをし、側転をし、腕立てをした。俺はびっくり。
ほぼ真生のメイクが終わったので、俺は柊人にも自己紹介をした。柊人もきちんと90度のお辞儀をして挨拶してくれた。こいつの顔も整ってはいるが地味な顔だ。これもメイクのし甲斐があるというものだ。
そして、桃井瑠伽(ももい るか)がやってきた。瑠伽は顔の中身はともかく、挨拶の時もにこにこして、感じの良い子だった。
次にやってきたのが藤木大哉(ふじき だいや)だ。この子は綺麗な顔をしていた。ちょっとメイクするのが勿体ないくらい。こういう顔にはあまり描きすぎず、ナチュラルに仕上げるのがいい。が、しかし。メンバーでメイクをそろえる必要もあるようで、なかなか難しい。
最後にやってきたのがお寝坊だと噂されていた柳本夢羅(やなぎもと むら)だ。相当眠そうで、挨拶した時も目が半分閉じていた。だが、メイクをする際には目を大きく開け、意外に可愛い顔をしていたので驚いたのだった。
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