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元の夫
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「レインさん、大丈夫?」
それぞれの持ち場に戻ったカフェメンバー。ロックとハイドは畑へと出て行った。シルクは持ち場へ戻ったレインに、カウンター越しに話しかけた。
「何が?」
レインが腕まくりをしながらそう言うと、
「市長って、レインさんの・・・前の旦那さんでしょ?」
シルクは声を落して言った。客がぼちぼち入り始めている。
「よく分かったね。」
レインがぼそっと言った。
「レインさん、もしかしてまだあの人の事が好きなの?」
シルクが言う。
「何言ってるんだよ、そんなわけないだろ。」
レインが支度をしながら話を流そうとする。
「でも、子供が出来たって聞いた時、すごく動揺していたみたいだから。」
だが、シルクがそう言うと、レインは動きを止めた。
「それは・・・ちょっとだけショックだったんだ。あの人にも、愛する人が出来たんだなって。いやでも、おめでたい事だよ。良かったじゃん、僕とずっと一緒にいないで。新しい人と上手くやってるんだったら、ね。」
レインは早口にそう言った。シルクの目を見ないレイン。だが、シルクはそれ以上何も言えず、カフェに入ってきたお客に水を出す為に、その場を離れた。
その頃、畑ではロックの目が血走っていた。
「なんだ?一体どういう事だ?市長はレインさんと知り合いなのか?ただの知り合いだったら、あんな風に頭を撫でたりするか?あん?」
独り言を言いながら、桑を力任せに動かしていた。
その夜、レインは少し落ち込み気味で、あまり愛し合う気分ではなかったのだが、メラメラと嫉妬の炎を燃やしたロックがやってきて、いつになく激しくレインを求めた。いつもは優しいロックが、今日は少し怖い。乱暴にレインの服を脱がせ、ベッドに押し倒した。
「ちょ、ちょっとロッキー、どうしたの?」
レインが戸惑い気味に言っても、ロックは言葉を発する事はなく、激しくレインの体を求める。それが、却ってレインの感覚を刺激する。
「あ、ああ、いい!もっと、もっと激しくして!」
つい、レインまでもが荒ぶった。激しく求められるのって、いいもんだなーと思ったレイン。
「知らなかったな・・・。」
まだ、性に関して知らない事が自分にもあるのだ、と再認識したレインだった。
事が終わって、ようやく落ち着いたロックは、突然青ざめた。
「レインさん!すみません、あの、なんか、乱暴な事しちゃって!ごめんなさい!」
ベッドの上に正座して、ロックはレインに向かって何度も頭を下げた。
「いいよ。たまには、こういうのやって。良かったから。」
レインは体を起こし、ニッコリして言った。額には汗がにじみ、前髪が濡れて額にへばりついている。ロックは頭を上げ、そのレインの顔を見てようやく安心した。嫌われなくて良かった、と。それと同時に、やっぱり格好いいなあ、綺麗だなあと、レインに対する賛辞が溢れ出てきた。だが、そこへレインがこう言ったので、ロックの思考は停止する。
「それで?何か僕に言いたい事があるんじゃないの?」
レインはそう言って、片膝を抱えた。
「え?」
ロックはまた少し青くなった。何かレインに不満があるから、乱暴したと思われている。そうじゃないのに!
「もしくは、聞きたい事?」
更にレインがそう言った。そうだった。ロックには心当たりがあった。ずっと聞きたくて知りたくて、仕方がない事がある。実は今もすっきりしてはおらず、もやもやしているのだ。
「あの、レインさんは、市長とはどういう・・・。」
どういう関係なのか、と聞きたいのに、やっぱりはっきりとは聞けないロック。
すると、レインは目を見開いた。
「あれ?言ってなかったっけ、ごめん。あの人、僕の元夫なんだ。」
そうレインが言うと、
「え・・・えー?!」
家中に響くような声で、ロックが叫んだ。
それぞれの持ち場に戻ったカフェメンバー。ロックとハイドは畑へと出て行った。シルクは持ち場へ戻ったレインに、カウンター越しに話しかけた。
「何が?」
レインが腕まくりをしながらそう言うと、
「市長って、レインさんの・・・前の旦那さんでしょ?」
シルクは声を落して言った。客がぼちぼち入り始めている。
「よく分かったね。」
レインがぼそっと言った。
「レインさん、もしかしてまだあの人の事が好きなの?」
シルクが言う。
「何言ってるんだよ、そんなわけないだろ。」
レインが支度をしながら話を流そうとする。
「でも、子供が出来たって聞いた時、すごく動揺していたみたいだから。」
だが、シルクがそう言うと、レインは動きを止めた。
「それは・・・ちょっとだけショックだったんだ。あの人にも、愛する人が出来たんだなって。いやでも、おめでたい事だよ。良かったじゃん、僕とずっと一緒にいないで。新しい人と上手くやってるんだったら、ね。」
レインは早口にそう言った。シルクの目を見ないレイン。だが、シルクはそれ以上何も言えず、カフェに入ってきたお客に水を出す為に、その場を離れた。
その頃、畑ではロックの目が血走っていた。
「なんだ?一体どういう事だ?市長はレインさんと知り合いなのか?ただの知り合いだったら、あんな風に頭を撫でたりするか?あん?」
独り言を言いながら、桑を力任せに動かしていた。
その夜、レインは少し落ち込み気味で、あまり愛し合う気分ではなかったのだが、メラメラと嫉妬の炎を燃やしたロックがやってきて、いつになく激しくレインを求めた。いつもは優しいロックが、今日は少し怖い。乱暴にレインの服を脱がせ、ベッドに押し倒した。
「ちょ、ちょっとロッキー、どうしたの?」
レインが戸惑い気味に言っても、ロックは言葉を発する事はなく、激しくレインの体を求める。それが、却ってレインの感覚を刺激する。
「あ、ああ、いい!もっと、もっと激しくして!」
つい、レインまでもが荒ぶった。激しく求められるのって、いいもんだなーと思ったレイン。
「知らなかったな・・・。」
まだ、性に関して知らない事が自分にもあるのだ、と再認識したレインだった。
事が終わって、ようやく落ち着いたロックは、突然青ざめた。
「レインさん!すみません、あの、なんか、乱暴な事しちゃって!ごめんなさい!」
ベッドの上に正座して、ロックはレインに向かって何度も頭を下げた。
「いいよ。たまには、こういうのやって。良かったから。」
レインは体を起こし、ニッコリして言った。額には汗がにじみ、前髪が濡れて額にへばりついている。ロックは頭を上げ、そのレインの顔を見てようやく安心した。嫌われなくて良かった、と。それと同時に、やっぱり格好いいなあ、綺麗だなあと、レインに対する賛辞が溢れ出てきた。だが、そこへレインがこう言ったので、ロックの思考は停止する。
「それで?何か僕に言いたい事があるんじゃないの?」
レインはそう言って、片膝を抱えた。
「え?」
ロックはまた少し青くなった。何かレインに不満があるから、乱暴したと思われている。そうじゃないのに!
「もしくは、聞きたい事?」
更にレインがそう言った。そうだった。ロックには心当たりがあった。ずっと聞きたくて知りたくて、仕方がない事がある。実は今もすっきりしてはおらず、もやもやしているのだ。
「あの、レインさんは、市長とはどういう・・・。」
どういう関係なのか、と聞きたいのに、やっぱりはっきりとは聞けないロック。
すると、レインは目を見開いた。
「あれ?言ってなかったっけ、ごめん。あの人、僕の元夫なんだ。」
そうレインが言うと、
「え・・・えー?!」
家中に響くような声で、ロックが叫んだ。
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