40 / 41
551も富士山も……
しおりを挟む
副校長先生は最後に、帯同ナースからの伝言だと言い、
「新幹線に乗ると、列車の揺れで腸が動いて、また吐く事があるかもしれません、という事です。」
と言った。揺れで腸が……ああ、だから私もさっきお腹がね、なるほどね。
そして副校長先生と別れ、ホテルを出た。次男が、
「ちょっと観光する?」
とか言う。バカ言ってんじゃないよ。丸一日何も食べていない人を連れて、どこへ行かれるって言うんだか。それに、新大阪駅近辺には、観光地もなさそう。反対側は分からないが、北口には何もない。
次男の切符は渡してもらえるのかと思っていたら、なかった。そうか、京都からの乗車だもんな。それに、恐らく団体切符なのだろう。後で払い戻してもらえないかな(と思ったのだが、残念ながら払い戻してはもらえなかった)。何せ、運賃は高い。次男が、
「6千円くらいでしょ?」
と言ったが、それは乗車券のみの値段。特急券と合わせるとその2倍なのだよ。発券機で次男の切符を買ったら、
「ほんとだ!」
と、次男はビックリしている。そして、申し訳なさそうにしている。せめて学割料金にしたかったよ。一応現金を多めに持ってきていたものの、もしクレジットカードで切符が買えなかったら足りないところだった。危ない、危ない。
改札口から駅構内へ入ったが、551の店はどこだか分からなくなってしまった。それに、次男が割と元気そうなので、私は午後の産婦人科へ直接行こうと決めたので、冷凍ものは買わない方が良かろう。こんなに交通費がかかって、その上お土産まで買えない。
いやーでも、大好きな大阪に来たのに、とんぼ返りとは勿体ない。残念だ。帰りは始発で、各駅停車?だったので、空いていた。2人席に座って、富士山を見ようと思っていたのに、次男は眠っていたし、うっかり本を読んでいたら窓の外を見るのを忘れて小田原に着いてしまった。多分、天気が悪くててっぺんは雲に隠れていただろうが。しかし、裾の方だけでもいいから富士山を近くで見たかった。これも残念。
次男を品川から1人で帰し、私は他の電車に乗って産婦人科へ。電車の中で「BTS活動中止」というニュースを見てびっくりした。これは結局デマというか、誤解だったわけだが。
次男はちゃんとした食事は摂れていないものの、腹痛は治まり、入院しなくてよさそうだ。また鼻から管を入れるのが嫌で、大きい病院には行きたくないと言う。私が産婦人科に行っている間には、自分で購入してきた宮島のお土産「もみじ饅頭」を食べたそうだ。ずいぶん大量に買い込んできたようだが、そのもみじ饅頭のお陰で彼は無事、生きていた。
次男の話では、今回お腹がこんな事になったのは、尾道でのお昼ご飯の際、あまりお腹が空いていなかったのに、どうしても食事を残すことができず、ガッツリ系のご飯を残さず食べてしまったからだと言う。本来は食べ盛りの高校生、食べようと思えば一人前くらいは胃に入ってしまう。だが、疲れなどで腸が上手く動かないので、その後困った事になるのだ。お腹が空いていないなら残せばいいのだが、私が厳しく育ててしまったせいか、食事を残すことに罪悪感が半端ないようだ。だからって、後からこんな事になれば、残すより迷惑をかけ、どうせ勿体ない事になるのに。それは、頭では分かっているようなのだが。まあ私も、たとえお腹がいっぱいでも、ダイエット中だったとしても、飲食店でご飯を残す事は絶対に出来ない人だから。それは、厳しく育てられたというよりも、親の背を見て身に着いてしまった性(さが)なのだろうな。
3時半には私も帰宅して、夕飯も作った。移動距離は長かったものの、自分は座っていただけなので、思った程疲れていないようだ。それにしても、次男のお陰で色々な経験をさせてもらえるものだ。次男は、吐き慣れて人様に迷惑をかけずに吐けるようになったと言っているし、私も慣れて心配しなくなってきたかもしれない。
次男は可愛がられ、保護されているようだが、痛みや苦しみに人一倍耐えているのだ。決して弱くなんかない。あーいや、忙しいのには弱いが。
「新幹線に乗ると、列車の揺れで腸が動いて、また吐く事があるかもしれません、という事です。」
と言った。揺れで腸が……ああ、だから私もさっきお腹がね、なるほどね。
そして副校長先生と別れ、ホテルを出た。次男が、
「ちょっと観光する?」
とか言う。バカ言ってんじゃないよ。丸一日何も食べていない人を連れて、どこへ行かれるって言うんだか。それに、新大阪駅近辺には、観光地もなさそう。反対側は分からないが、北口には何もない。
次男の切符は渡してもらえるのかと思っていたら、なかった。そうか、京都からの乗車だもんな。それに、恐らく団体切符なのだろう。後で払い戻してもらえないかな(と思ったのだが、残念ながら払い戻してはもらえなかった)。何せ、運賃は高い。次男が、
「6千円くらいでしょ?」
と言ったが、それは乗車券のみの値段。特急券と合わせるとその2倍なのだよ。発券機で次男の切符を買ったら、
「ほんとだ!」
と、次男はビックリしている。そして、申し訳なさそうにしている。せめて学割料金にしたかったよ。一応現金を多めに持ってきていたものの、もしクレジットカードで切符が買えなかったら足りないところだった。危ない、危ない。
改札口から駅構内へ入ったが、551の店はどこだか分からなくなってしまった。それに、次男が割と元気そうなので、私は午後の産婦人科へ直接行こうと決めたので、冷凍ものは買わない方が良かろう。こんなに交通費がかかって、その上お土産まで買えない。
いやーでも、大好きな大阪に来たのに、とんぼ返りとは勿体ない。残念だ。帰りは始発で、各駅停車?だったので、空いていた。2人席に座って、富士山を見ようと思っていたのに、次男は眠っていたし、うっかり本を読んでいたら窓の外を見るのを忘れて小田原に着いてしまった。多分、天気が悪くててっぺんは雲に隠れていただろうが。しかし、裾の方だけでもいいから富士山を近くで見たかった。これも残念。
次男を品川から1人で帰し、私は他の電車に乗って産婦人科へ。電車の中で「BTS活動中止」というニュースを見てびっくりした。これは結局デマというか、誤解だったわけだが。
次男はちゃんとした食事は摂れていないものの、腹痛は治まり、入院しなくてよさそうだ。また鼻から管を入れるのが嫌で、大きい病院には行きたくないと言う。私が産婦人科に行っている間には、自分で購入してきた宮島のお土産「もみじ饅頭」を食べたそうだ。ずいぶん大量に買い込んできたようだが、そのもみじ饅頭のお陰で彼は無事、生きていた。
次男の話では、今回お腹がこんな事になったのは、尾道でのお昼ご飯の際、あまりお腹が空いていなかったのに、どうしても食事を残すことができず、ガッツリ系のご飯を残さず食べてしまったからだと言う。本来は食べ盛りの高校生、食べようと思えば一人前くらいは胃に入ってしまう。だが、疲れなどで腸が上手く動かないので、その後困った事になるのだ。お腹が空いていないなら残せばいいのだが、私が厳しく育ててしまったせいか、食事を残すことに罪悪感が半端ないようだ。だからって、後からこんな事になれば、残すより迷惑をかけ、どうせ勿体ない事になるのに。それは、頭では分かっているようなのだが。まあ私も、たとえお腹がいっぱいでも、ダイエット中だったとしても、飲食店でご飯を残す事は絶対に出来ない人だから。それは、厳しく育てられたというよりも、親の背を見て身に着いてしまった性(さが)なのだろうな。
3時半には私も帰宅して、夕飯も作った。移動距離は長かったものの、自分は座っていただけなので、思った程疲れていないようだ。それにしても、次男のお陰で色々な経験をさせてもらえるものだ。次男は、吐き慣れて人様に迷惑をかけずに吐けるようになったと言っているし、私も慣れて心配しなくなってきたかもしれない。
次男は可愛がられ、保護されているようだが、痛みや苦しみに人一倍耐えているのだ。決して弱くなんかない。あーいや、忙しいのには弱いが。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説

先日、恋人が好きじゃなくなりました。
さとう たなか
エッセイ・ノンフィクション
同性の恋人にふられた作者が、相手に振られた直後PCやノートに打ち殴り書いた文章です。
なぜだか語り口調です。
記憶がないので理由が説明できません(笑)
最近、我を取り戻し見直してみた所、相当病んでいたのか、大量に文章があったので、これはもったいないなと、思ったのでメモとして残すことにしました。
相手の名前は伏せて、その時書いたものをそのままにしております。
情緒不安定でイタい仕上がりになっておりますがご了承ください。


愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

リアル男子高校生の日常
しゅんきち
エッセイ・ノンフィクション
2024年高校に入学するしゅんの毎日の高校生活をのぞいてみるやつ。
ほぼ日記です!短いのもあればたまに長いのもだしてます。
2024年7月現在、軽いうつ状態です。
2024年4月8日からスタートします!
2027年3月31日完結予定です!
たまに、話の最後に写真を載せます。
挿入写真が400枚までですので、400枚を過ぎると、古い投稿の挿入写真から削除します。[話自体は消えません]
ポケっこの独り言
ポケっこ
エッセイ・ノンフィクション
ポケっこです。
ここでは日常の不満とかを書くだけのものです。しょーもないですね。
俺の思ってることをそのまま書いたものです。
気まぐれ更新ですが、是非どうぞ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる