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帝王教育~翻弄2
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実は、遥貴はテーブルマナーを完璧に仕込まれていた。姿勢も良く、周りの大人たちを感心させた。
「うーむ、尊人様がお育てになっただけの事はある。もしかしたら、帝王教育などはそれほど必要ないかもしれないぞ。」
大人たちは囁き合った。そして、彼らは気が早く、翌日には早速記者会見を開いた。彼らはやはり王制復権党のメンバーだった。遥貴を出しては来なかったが、尊人の血を引く子供がいる、という事を発表したのだ。
未来は、一度遥貴が無事だと言う電話を健斗にしていたが、改めてこのニュースが出た後にも電話をした。そして、尊人に代わってもらった。
「尊人、ごめん。遥貴を救い出す前に、発表されてしまった。だが、遥貴が、自分は国王になると言ったんだ。それで、無理に連れ帰るべきかどうか、迷ってしまって。」
「遥貴が?国王になるって?・・・そうか。なるほど。」
尊人は意外に落ち着いていた。
「何が、なるほどなんだ?」
未来が聞くと、
「いや、何でもない。」
と言って、ちょっと笑っている。息子を奪われたというのに、どうしちゃったのかと未来は訳が分からなかった。
「遥貴は、俺の分身だから分かるんだ。」
尊人が言う。
「何が分かるの?」
未来が聞くと、
「遥貴は、未来と一緒にいたくて、こっちに帰りたくないんだろう。国王になるかどうかなんて、あまり考えていないと思うよ。」
尊人が言う。
「え?は?そんな、軽く言ってる場合か?お前は遥貴を国王にしたくないだろ?自分の元に帰ってきて欲しいだろ?」
未来が言うと、
「それはそうなんだけど。でも、遥貴が幸せなら、それが一番なんだ。もし、遥貴が国王になったら、俺は晴れて本国に帰れるんじゃないのか?そうしたら一緒に暮らせる。」
尊人は予想外な事を連発する。
「いやいや、あれだけ国王を嫌がっていたのにさ、それを自分の分身にはさせてもいいっていうのは、理解できないんだが。」
未来が言うと、尊人は、
「そこは、俺と遥貴の違う所なんだな。遥貴は、今までのまま、俺とイギリスで暮らしても、幸せにはなれない。本国にいかないと。未来と一緒にいないと。本国に行くなら、国王になるしかない。もし嫌なら、また辞めてしまえばいいんだ。」
なんて事を言う。
「お前、親になって変わったな。田舎暮らしをしておおらかになったのかな。」
そんな感想しか未来には言えなかった。
「尊人も健斗も、遥貴が俺の事が好きだって、知ってたのか?」
未来が遠慮がちに聞くと、
「そりゃあもう、毎回未来がうちから帰った後なんて、この世の終わりみたいな日々だったからね。」
「え?」
「小さい頃は泣いて泣いて。それでもさ、小さい頃は1週間くらいで立ち直ったけどな。大きくなるとね、表面上はそれほどでもないけれど、事あるごとに未来の写真を眺めていたり、月を見上げてため息をついたり、テレビに本国が出てくると食い入るように見つめたり、新聞で本国の記事を探して読んでいたり。」
そこで尊人が言葉を切った。
「それなのに、3年も来なかっただろ。まあ、これで未来の事は忘れたかなと思っていたんだけどな。再び火が付いたんだろうな。今度はもう、思春期だからね。ラブだよね。確実に。」
「尊人・・・。」
そこで、健斗が電話を代わった。
「てめえ、未来!うちの子をたぶらかしやがって。全く。」
健斗はそう悪態をついたが、それでも、健斗も分かっていたようで、
「未来、遥貴を頼むよ。」
優しい口調でそう付け加えた。
「おう。」
未来は答えた。
「うーむ、尊人様がお育てになっただけの事はある。もしかしたら、帝王教育などはそれほど必要ないかもしれないぞ。」
大人たちは囁き合った。そして、彼らは気が早く、翌日には早速記者会見を開いた。彼らはやはり王制復権党のメンバーだった。遥貴を出しては来なかったが、尊人の血を引く子供がいる、という事を発表したのだ。
未来は、一度遥貴が無事だと言う電話を健斗にしていたが、改めてこのニュースが出た後にも電話をした。そして、尊人に代わってもらった。
「尊人、ごめん。遥貴を救い出す前に、発表されてしまった。だが、遥貴が、自分は国王になると言ったんだ。それで、無理に連れ帰るべきかどうか、迷ってしまって。」
「遥貴が?国王になるって?・・・そうか。なるほど。」
尊人は意外に落ち着いていた。
「何が、なるほどなんだ?」
未来が聞くと、
「いや、何でもない。」
と言って、ちょっと笑っている。息子を奪われたというのに、どうしちゃったのかと未来は訳が分からなかった。
「遥貴は、俺の分身だから分かるんだ。」
尊人が言う。
「何が分かるの?」
未来が聞くと、
「遥貴は、未来と一緒にいたくて、こっちに帰りたくないんだろう。国王になるかどうかなんて、あまり考えていないと思うよ。」
尊人が言う。
「え?は?そんな、軽く言ってる場合か?お前は遥貴を国王にしたくないだろ?自分の元に帰ってきて欲しいだろ?」
未来が言うと、
「それはそうなんだけど。でも、遥貴が幸せなら、それが一番なんだ。もし、遥貴が国王になったら、俺は晴れて本国に帰れるんじゃないのか?そうしたら一緒に暮らせる。」
尊人は予想外な事を連発する。
「いやいや、あれだけ国王を嫌がっていたのにさ、それを自分の分身にはさせてもいいっていうのは、理解できないんだが。」
未来が言うと、尊人は、
「そこは、俺と遥貴の違う所なんだな。遥貴は、今までのまま、俺とイギリスで暮らしても、幸せにはなれない。本国にいかないと。未来と一緒にいないと。本国に行くなら、国王になるしかない。もし嫌なら、また辞めてしまえばいいんだ。」
なんて事を言う。
「お前、親になって変わったな。田舎暮らしをしておおらかになったのかな。」
そんな感想しか未来には言えなかった。
「尊人も健斗も、遥貴が俺の事が好きだって、知ってたのか?」
未来が遠慮がちに聞くと、
「そりゃあもう、毎回未来がうちから帰った後なんて、この世の終わりみたいな日々だったからね。」
「え?」
「小さい頃は泣いて泣いて。それでもさ、小さい頃は1週間くらいで立ち直ったけどな。大きくなるとね、表面上はそれほどでもないけれど、事あるごとに未来の写真を眺めていたり、月を見上げてため息をついたり、テレビに本国が出てくると食い入るように見つめたり、新聞で本国の記事を探して読んでいたり。」
そこで尊人が言葉を切った。
「それなのに、3年も来なかっただろ。まあ、これで未来の事は忘れたかなと思っていたんだけどな。再び火が付いたんだろうな。今度はもう、思春期だからね。ラブだよね。確実に。」
「尊人・・・。」
そこで、健斗が電話を代わった。
「てめえ、未来!うちの子をたぶらかしやがって。全く。」
健斗はそう悪態をついたが、それでも、健斗も分かっていたようで、
「未来、遥貴を頼むよ。」
優しい口調でそう付け加えた。
「おう。」
未来は答えた。
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