40 / 55
子孫~芽生え5
しおりを挟む
何事もなく、2週間ほどの未来の滞在期間が過ぎ、未来は本国へ帰った。夏休みももうすぐ終わる。9月から、遥貴は小学生最後の学年になる。
8月下旬のある日、未来のスマートフォンに健斗から電話がかかってきた。電話が来るのは珍しい。明け方の5時だった。時差があるので、健斗のいるイギリスでは夜の8時だ。まだ寝ていた未来が何とか電話に出ると、切羽詰まった健斗の声が耳を貫いた。
「未来、大変だ!遥貴がいなくなった!どうしよう、誘拐されたのだろうか?ああ、一人にしなけりゃよかった。家から近い友達の所に行くからと、自転車で出かけたんだよ。」
「健斗、落ち着け。いなくなったって、どういうことだ?友達の家には確認したのか?」
未来が問うと、健斗は泣きそうな声で説明した。
「友達の家からは夕方5時過ぎに出たそうなんだ。6時になっても帰ってこないから連絡した。それから探しに出かけたが、道の途中に遥貴の自転車が止めてあったんだ。そこで連れ去られたとしか考えられない!」
「それで、警察には連絡したのか?」
「したよ。今も探してくれている。だが、もしかしたら、もうそっちに向かっているんじゃないかと思って。」
未来は、やっと状況が飲み込めて来た。きっとそうだ。遥貴は我が国の誰かに連れ去られ、おそらく飛行機で我が国に向かっているに違いない。まだしばらくは到着しないだろうから、これから着陸する飛行機を当たれば、あるいは探し当てることができるかもしれない。
「分かった。俺がこっちで探してみる。連絡を待っていろ!」
そう言って、未来は電話を切った。こうしちゃいられない。未来はすぐに飛び起きて支度をし、家を飛び出した。
8月下旬のある日、未来のスマートフォンに健斗から電話がかかってきた。電話が来るのは珍しい。明け方の5時だった。時差があるので、健斗のいるイギリスでは夜の8時だ。まだ寝ていた未来が何とか電話に出ると、切羽詰まった健斗の声が耳を貫いた。
「未来、大変だ!遥貴がいなくなった!どうしよう、誘拐されたのだろうか?ああ、一人にしなけりゃよかった。家から近い友達の所に行くからと、自転車で出かけたんだよ。」
「健斗、落ち着け。いなくなったって、どういうことだ?友達の家には確認したのか?」
未来が問うと、健斗は泣きそうな声で説明した。
「友達の家からは夕方5時過ぎに出たそうなんだ。6時になっても帰ってこないから連絡した。それから探しに出かけたが、道の途中に遥貴の自転車が止めてあったんだ。そこで連れ去られたとしか考えられない!」
「それで、警察には連絡したのか?」
「したよ。今も探してくれている。だが、もしかしたら、もうそっちに向かっているんじゃないかと思って。」
未来は、やっと状況が飲み込めて来た。きっとそうだ。遥貴は我が国の誰かに連れ去られ、おそらく飛行機で我が国に向かっているに違いない。まだしばらくは到着しないだろうから、これから着陸する飛行機を当たれば、あるいは探し当てることができるかもしれない。
「分かった。俺がこっちで探してみる。連絡を待っていろ!」
そう言って、未来は電話を切った。こうしちゃいられない。未来はすぐに飛び起きて支度をし、家を飛び出した。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説

当て馬系ヤンデレキャラになったら、思ったよりもツラかった件。
マツヲ。
BL
ふと気がつけば自分が知るBLゲームのなかの、当て馬系ヤンデレキャラになっていた。
いつでもポーカーフェイスのそのキャラクターを俺は嫌っていたはずなのに、その無表情の下にはこんなにも苦しい思いが隠されていたなんて……。
こういうはじまりの、ゲームのその後の世界で、手探り状態のまま徐々に受けとしての才能を開花させていく主人公のお話が読みたいな、という気持ちで書いたものです。
続編、ゆっくりとですが連載開始します。
「当て馬系ヤンデレキャラからの脱却を図ったら、スピンオフに突入していた件。」(https://www.alphapolis.co.jp/novel/239008972/578503599)

【完結】I adore you
ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。
そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。
※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。

婚約者に会いに行ったらば
龍の御寮さん
BL
王都で暮らす婚約者レオンのもとへと会いに行ったミシェル。
そこで見たのは、レオンをお父さんと呼ぶ子供と仲良さそうに並ぶ女性の姿。
ショックでその場を逃げ出したミシェルは――
何とか弁解しようするレオンとなぜか記憶を失ったミシェル。
そこには何やら事件も絡んできて?
傷つけられたミシェルが幸せになるまでのお話です。

君に望むは僕の弔辞
爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。
全9話
匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意
表紙はあいえだ様!!
小説家になろうにも投稿

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる