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安来
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線路にものすごく派手なラッピング電車が入ってきた。歌舞伎役者の絵なのかな。ローマ字で「IWAMI KAGURA TRAIN」と書いてある。非常にカラフルだ。アニメというか、ゲームキャラのような役者と、黄色い車体に黒いローマ字。派手だ。カッコいい。石見神楽というのがあるのだな、きっと。
この電車に乗り、23分で安来駅に着いた。ここから足立美術館へ無料シャトルバスで移動する。バスに乗る前に、スーツケースをロッカーに入れようと思う。ロッカーの場所はあらかじめ調べておいた。駅を出てすぐ左に行くとあるらしい。
ホームを出る時に、スイカを機械にピッと当て、駅の待合室のような所へ出た。椅子があり、テレビがあり、ちょっとした展示があり、右の方へ行くとお土産屋さんがあるようだ。出口から外へ出て、左へ行くとすぐにロッカールームがあった。けっこう狭い空間だ。ロッカーは大きい方が500円、小さい方が400円だった。空きはたくさんある。スーツケースは大きい方にしか入らないかと思ったが、一応400円の方へ入れてみた。すると、入ったかに見えたのだが、ほんの少し長さが足りず、扉が閉まらなかった。なので、大きい方のロッカーに入れた。
と、そこへおばさま方が何人か入ってきた。このロッカールームは人が2人すれ違うのがやっとという狭さ。急いでお金を入れようとしたら、あらら。500円玉を持っているから大丈夫だと思っていたのだが、100円玉しか入らないと書いてある。100円玉は5枚も持っていなかった。こりゃダメだ。
既に私の近くにおばさま方がいて、それなのに私はスーツケースを取り出す羽目になり、
「すみません、100円玉が5枚もないので、取り出しますね。」
言い訳をしつつちょっと下がってもらってスーツケースを取り出し、おばさま方を押しのけて?外へ出た。仕方がない、もう1つの方法で預けるしかない。調べたところ、駅のインフォメーションでも500円で預かってもらえるそうなのだ。400円のロッカーに入る荷物だったら、500円玉を100円玉に両替してもらった方がいいが、どうせ500円かかるのは同じなので、インフォメーションでスーツケースを預かってもらう事にした。
インフォメーションは駅の待合室の中にあった。インフォメーションというか、案内所というか。そこにいるおじさんに、さっき取り出した500円玉を渡して、番号の書かれたプラスティックの札を受け取った。
さてさて、シャトルバスに乗るために並ばないとならない。また駅の構内から出て、今度は右へ。既に数人並んでいる。一度並んでみたものの、この駅をバスターミナルの向こう側から写真に撮りたいと思った。それに、ロッカーの方にきれいに咲いたつつじがあって、その辺の写真も撮ろうかと。
だが、ちょっと列を離れたところ、シャトルバスの列があっという間に長くなってしまった。もう1本電車が来たのだろうか。シャトルバスに乗り切れるのか心配になり、写真は後回しにしてまた列に並んだ。やれやれ、さっきのまま並んでいれば前の方だったのに。
程なくしてシャトルバスがやってきた。どんどん乗り込む。バスはさほど大きくない。よくある中型の送迎バスだ。立って乗る事が出来ないやつ。けっこう乗れるもので、なんと驚いた事に、補助席も出してちょうど満席。並んでいた人が全員乗れた。1席も余らせる事なく。奇跡じゃないの?
1人トイレに行ってます、と言う乗客がいて、全員乗るのを待ってくれた運転手さん。出発して、
「帰りにこのバスをご利用の場合は整理券が必要となりますので、足立美術館にて忘れずにお受け取りください。」
と、最初に言っていた。重要な情報だ。という事は、帰りは定員という考え方があるわけで、乗り切れない人はいないという事だが、行きはどれだけの人が乗ろうとするか分からない。それなのに、ちょうどピッタリだなんて。不思議だ。もし何人か乗り切れなかったらどうするのだろうか。いつも、もっと空いているのだろうか。いや、日曜日などはもっと混んでいるのではないか。そうしたらバスが2台出たりするのだろうか。ついつい考えてしまった。
足立美術館まで約20分。徐々に田舎道というか、山の風景が現れる。野山という感じか。車窓の写真を撮ったりしながら、そしてお昼ご飯のお店をどうするか考えながら乗っていた。お昼を食べるところが、ガイドブックによると足立美術館にはあまりなさそうで、安来駅の近くで食べようかと思っていた。だが駅周辺も、見たところあまりお店はなさそうだ。パン屋さんとおそば屋さんがあるという事がガイドブックに載っていたが、駅のすぐ近くでもないのか、見えなかった。それで、改めて足立美術館・レストランで検索をかけてみた。そうしたら、けっこうあるではないか、足立美術館の周りに。お寿司屋さんがあるようで、それもいいと思った。今回お寿司やお刺身を食べていないから。日本海のお魚を味わおうではないか。
今日は寒くなるという予報だった。昨日は晴れてかなり暑い日だったのに、一転して気温が下がるという。それは前々から分かっていた事だ。出発の前日に相当悩んで服装を考えた事は前述の通りだ。けれども、今朝ホテルを出る時にはそれほど寒くなかった。ウインドブレーカーを羽織っていれば充分だった。
しかし、ここは松江よりも風通しが良いのか、足立美術館に到着してバスから降りると、北風と思われるものすごく冷たい風が吹いていた。安来に着いた時にも少し風が強いし冷たいと思ったが、ここへ着いたら、このひっきりなしに吹く北風に驚いたのなんの。これが日本海側の北風の吹き方なのか。ビューっと吹いて止むのではなく、ビュービュービューと絶え間なく吹いている感じ。扇風機の首を回さずに強でかけているような。けっこう温かめの長ズボンを履いているのに、足が寒いと感じる。
この電車に乗り、23分で安来駅に着いた。ここから足立美術館へ無料シャトルバスで移動する。バスに乗る前に、スーツケースをロッカーに入れようと思う。ロッカーの場所はあらかじめ調べておいた。駅を出てすぐ左に行くとあるらしい。
ホームを出る時に、スイカを機械にピッと当て、駅の待合室のような所へ出た。椅子があり、テレビがあり、ちょっとした展示があり、右の方へ行くとお土産屋さんがあるようだ。出口から外へ出て、左へ行くとすぐにロッカールームがあった。けっこう狭い空間だ。ロッカーは大きい方が500円、小さい方が400円だった。空きはたくさんある。スーツケースは大きい方にしか入らないかと思ったが、一応400円の方へ入れてみた。すると、入ったかに見えたのだが、ほんの少し長さが足りず、扉が閉まらなかった。なので、大きい方のロッカーに入れた。
と、そこへおばさま方が何人か入ってきた。このロッカールームは人が2人すれ違うのがやっとという狭さ。急いでお金を入れようとしたら、あらら。500円玉を持っているから大丈夫だと思っていたのだが、100円玉しか入らないと書いてある。100円玉は5枚も持っていなかった。こりゃダメだ。
既に私の近くにおばさま方がいて、それなのに私はスーツケースを取り出す羽目になり、
「すみません、100円玉が5枚もないので、取り出しますね。」
言い訳をしつつちょっと下がってもらってスーツケースを取り出し、おばさま方を押しのけて?外へ出た。仕方がない、もう1つの方法で預けるしかない。調べたところ、駅のインフォメーションでも500円で預かってもらえるそうなのだ。400円のロッカーに入る荷物だったら、500円玉を100円玉に両替してもらった方がいいが、どうせ500円かかるのは同じなので、インフォメーションでスーツケースを預かってもらう事にした。
インフォメーションは駅の待合室の中にあった。インフォメーションというか、案内所というか。そこにいるおじさんに、さっき取り出した500円玉を渡して、番号の書かれたプラスティックの札を受け取った。
さてさて、シャトルバスに乗るために並ばないとならない。また駅の構内から出て、今度は右へ。既に数人並んでいる。一度並んでみたものの、この駅をバスターミナルの向こう側から写真に撮りたいと思った。それに、ロッカーの方にきれいに咲いたつつじがあって、その辺の写真も撮ろうかと。
だが、ちょっと列を離れたところ、シャトルバスの列があっという間に長くなってしまった。もう1本電車が来たのだろうか。シャトルバスに乗り切れるのか心配になり、写真は後回しにしてまた列に並んだ。やれやれ、さっきのまま並んでいれば前の方だったのに。
程なくしてシャトルバスがやってきた。どんどん乗り込む。バスはさほど大きくない。よくある中型の送迎バスだ。立って乗る事が出来ないやつ。けっこう乗れるもので、なんと驚いた事に、補助席も出してちょうど満席。並んでいた人が全員乗れた。1席も余らせる事なく。奇跡じゃないの?
1人トイレに行ってます、と言う乗客がいて、全員乗るのを待ってくれた運転手さん。出発して、
「帰りにこのバスをご利用の場合は整理券が必要となりますので、足立美術館にて忘れずにお受け取りください。」
と、最初に言っていた。重要な情報だ。という事は、帰りは定員という考え方があるわけで、乗り切れない人はいないという事だが、行きはどれだけの人が乗ろうとするか分からない。それなのに、ちょうどピッタリだなんて。不思議だ。もし何人か乗り切れなかったらどうするのだろうか。いつも、もっと空いているのだろうか。いや、日曜日などはもっと混んでいるのではないか。そうしたらバスが2台出たりするのだろうか。ついつい考えてしまった。
足立美術館まで約20分。徐々に田舎道というか、山の風景が現れる。野山という感じか。車窓の写真を撮ったりしながら、そしてお昼ご飯のお店をどうするか考えながら乗っていた。お昼を食べるところが、ガイドブックによると足立美術館にはあまりなさそうで、安来駅の近くで食べようかと思っていた。だが駅周辺も、見たところあまりお店はなさそうだ。パン屋さんとおそば屋さんがあるという事がガイドブックに載っていたが、駅のすぐ近くでもないのか、見えなかった。それで、改めて足立美術館・レストランで検索をかけてみた。そうしたら、けっこうあるではないか、足立美術館の周りに。お寿司屋さんがあるようで、それもいいと思った。今回お寿司やお刺身を食べていないから。日本海のお魚を味わおうではないか。
今日は寒くなるという予報だった。昨日は晴れてかなり暑い日だったのに、一転して気温が下がるという。それは前々から分かっていた事だ。出発の前日に相当悩んで服装を考えた事は前述の通りだ。けれども、今朝ホテルを出る時にはそれほど寒くなかった。ウインドブレーカーを羽織っていれば充分だった。
しかし、ここは松江よりも風通しが良いのか、足立美術館に到着してバスから降りると、北風と思われるものすごく冷たい風が吹いていた。安来に着いた時にも少し風が強いし冷たいと思ったが、ここへ着いたら、このひっきりなしに吹く北風に驚いたのなんの。これが日本海側の北風の吹き方なのか。ビューっと吹いて止むのではなく、ビュービュービューと絶え間なく吹いている感じ。扇風機の首を回さずに強でかけているような。けっこう温かめの長ズボンを履いているのに、足が寒いと感じる。
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