39 / 47
日本政府の陰謀
黄昏の国家39
しおりを挟む
今回は可成りのダメージを受けたことになる。
また、オーイックスが関与したと、猛抗議を受けるだろう。
しかしながら、ネットワークの修正とアップデートは完了済みである。
緊急会議に呼び出されるのは明白だ。
其処で、しらを最後まで押し通すか、それともオーイックスを巻き込んで、その資産を摂取する事を既に掴んでいる事を表ざたにするか。
これを公表すれば、日本政府はどう判断するだろうか。
どちらにしても、会議が開かれれば大荒れは間違いない。
兎に角、今回の件でどちらも死者が出ている。
この件においても責任追及が、双方でおおいに揉めるであろう。
遺族の対応もしなくてはならない。
IRの状況が、日本政府の軍事部門をオーイックスから吸収するのは、既に録画済みだ。
これを出すのに躊躇はしない。日本政府もこれが公になれば、国民からの批判は免れない。
繰り返しになるが、沢崎の言葉が極めて大きいのは判ったことである。
半壊した首相官邸は、事もなく再建された。
一部の団体からは、官邸の事案を明確にしろと、シュプレヒコールを上げている。
しかし、殆どそれらを無視し、強行した政府に関してどのメディアも批判的だ。
だが一か月も経つと何もなかったかのように沈痛した。
一種のマインドコントロールが働いたと唱えるコメンテータが言っていたが、それも露として消えて行った。
画して、日本政府によるオーイックスを叩くであろう緊急特別会議は開かれず、有耶無耶の影に収まっていった。
それでもシコリは残る。今後の体制を双方が整え、まずないであろう衝突だけは、収めたい処である。
例の事案から三日が過ぎた。
沢崎から高沢に電子メモに連絡が入る。さて、来たな、と内心思った。
「高沢さん、この間は大変でしたね、いえ、私どももそうでしたが…」
高沢はその白々しさに辟易したが、官邸の状況を今一度確認する意味で聞いてみた。
「沢崎さん、官邸での軍事ヘリ、あれは如何な事でした?」
「そう、あれは首相を守る訓練でした。処がどうでしょう?二機とも不具合を起こして官邸に激突。貴重な隊員を四人失いました。痛烈ですよ」
「そちらは、どうでした?」
あくまでも惚惚けるつもりなのか、話を曖昧にしたいのか、沢崎の人を喰ったような発言に苛立ちを感じた。
「私は緊急速報でその事件を確認致しました。我がオーイックスとしましては、もしお役に立てることがありましたら、苦労は厭厭わないですよ」
これも最大の皮肉だが、果たしてどうでるか。
「ははは、流石高沢さんだ、肝が据わっておられる。私たちはオーイックスに対して何の義解義解もありませんよ。お互いに外部の人たちから批判を受けたことは、痛切ですね」
これは、これで幕引きをしようとしているのか。
「処でIRの運用は如何ですか?沢崎さん」
一瞬間が空いたが「それはもう順調です。日本も米国同様、イリーガルとは違って本会ですから…」
「そうですか、それは何よりです」裏で鍔迫鍔迫り合いが続く。
沢崎はワザとらしく、「おっと、私たちのミーティングの時間です。それではご機嫌用」電子メモが切れた。
どこまでも食えぬ奴と思うも、これで終われば痛み分けであるが、果たして…。
機密隊の隊員一人の犠牲に置いては、オーイックス内で式を挙げた。
表ざって開示する事は出来ないので、遺族もそうだが他の部署においても箝口令を敷いた。
ギークたちもかなり精神を消耗している。
三日の休息を与えて今回の事案を其々処理してもらう事にした。
高沢は緊急会議を開き、オーイックスと日本政府とも距離感と、資産運用の開示をしない旨を伝えた。
これでは、堂々巡りではないかという意見も散見した。
しかしながら、オーイックスはそもそも日本政府から離脱した完全な独立組織だ。
本来なら互いにサポートしながら運営していくのが、正式な形だ。
それが、今は崩れかけている。
トップ同士の会談という意見も出たが、総理本人が出てくるのか、それは余りに重質な問題なので多分無理だろう。
では、川崎内閣副総理ではどうだろうか。川崎は気性が荒い。話になるか。
色んな思いが巡るが、オーイックスの存続は絶対に譲れない。
頃合いを見計らって電子メモで連絡を取る。
「おお!高沢くん、久しぶりだね」妙に機嫌がいい。何か裏があるのか、と感潜る。
「ご無沙汰しております、内閣副総理殿」
また、オーイックスが関与したと、猛抗議を受けるだろう。
しかしながら、ネットワークの修正とアップデートは完了済みである。
緊急会議に呼び出されるのは明白だ。
其処で、しらを最後まで押し通すか、それともオーイックスを巻き込んで、その資産を摂取する事を既に掴んでいる事を表ざたにするか。
これを公表すれば、日本政府はどう判断するだろうか。
どちらにしても、会議が開かれれば大荒れは間違いない。
兎に角、今回の件でどちらも死者が出ている。
この件においても責任追及が、双方でおおいに揉めるであろう。
遺族の対応もしなくてはならない。
IRの状況が、日本政府の軍事部門をオーイックスから吸収するのは、既に録画済みだ。
これを出すのに躊躇はしない。日本政府もこれが公になれば、国民からの批判は免れない。
繰り返しになるが、沢崎の言葉が極めて大きいのは判ったことである。
半壊した首相官邸は、事もなく再建された。
一部の団体からは、官邸の事案を明確にしろと、シュプレヒコールを上げている。
しかし、殆どそれらを無視し、強行した政府に関してどのメディアも批判的だ。
だが一か月も経つと何もなかったかのように沈痛した。
一種のマインドコントロールが働いたと唱えるコメンテータが言っていたが、それも露として消えて行った。
画して、日本政府によるオーイックスを叩くであろう緊急特別会議は開かれず、有耶無耶の影に収まっていった。
それでもシコリは残る。今後の体制を双方が整え、まずないであろう衝突だけは、収めたい処である。
例の事案から三日が過ぎた。
沢崎から高沢に電子メモに連絡が入る。さて、来たな、と内心思った。
「高沢さん、この間は大変でしたね、いえ、私どももそうでしたが…」
高沢はその白々しさに辟易したが、官邸の状況を今一度確認する意味で聞いてみた。
「沢崎さん、官邸での軍事ヘリ、あれは如何な事でした?」
「そう、あれは首相を守る訓練でした。処がどうでしょう?二機とも不具合を起こして官邸に激突。貴重な隊員を四人失いました。痛烈ですよ」
「そちらは、どうでした?」
あくまでも惚惚けるつもりなのか、話を曖昧にしたいのか、沢崎の人を喰ったような発言に苛立ちを感じた。
「私は緊急速報でその事件を確認致しました。我がオーイックスとしましては、もしお役に立てることがありましたら、苦労は厭厭わないですよ」
これも最大の皮肉だが、果たしてどうでるか。
「ははは、流石高沢さんだ、肝が据わっておられる。私たちはオーイックスに対して何の義解義解もありませんよ。お互いに外部の人たちから批判を受けたことは、痛切ですね」
これは、これで幕引きをしようとしているのか。
「処でIRの運用は如何ですか?沢崎さん」
一瞬間が空いたが「それはもう順調です。日本も米国同様、イリーガルとは違って本会ですから…」
「そうですか、それは何よりです」裏で鍔迫鍔迫り合いが続く。
沢崎はワザとらしく、「おっと、私たちのミーティングの時間です。それではご機嫌用」電子メモが切れた。
どこまでも食えぬ奴と思うも、これで終われば痛み分けであるが、果たして…。
機密隊の隊員一人の犠牲に置いては、オーイックス内で式を挙げた。
表ざって開示する事は出来ないので、遺族もそうだが他の部署においても箝口令を敷いた。
ギークたちもかなり精神を消耗している。
三日の休息を与えて今回の事案を其々処理してもらう事にした。
高沢は緊急会議を開き、オーイックスと日本政府とも距離感と、資産運用の開示をしない旨を伝えた。
これでは、堂々巡りではないかという意見も散見した。
しかしながら、オーイックスはそもそも日本政府から離脱した完全な独立組織だ。
本来なら互いにサポートしながら運営していくのが、正式な形だ。
それが、今は崩れかけている。
トップ同士の会談という意見も出たが、総理本人が出てくるのか、それは余りに重質な問題なので多分無理だろう。
では、川崎内閣副総理ではどうだろうか。川崎は気性が荒い。話になるか。
色んな思いが巡るが、オーイックスの存続は絶対に譲れない。
頃合いを見計らって電子メモで連絡を取る。
「おお!高沢くん、久しぶりだね」妙に機嫌がいい。何か裏があるのか、と感潜る。
「ご無沙汰しております、内閣副総理殿」
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
絶世のディプロマット
一陣茜
SF
惑星連合平和維持局調停課に所属するスペース・ディプロマット(宇宙外交官)レイ・アウダークス。彼女の業務は、惑星同士の衝突を防ぐべく、双方の間に介入し、円満に和解させる。
レイの初仕事は、軍事アンドロイド産業の発展を望む惑星ストリゴイと、墓石が土地を圧迫し、財政難に陥っている惑星レムレスの星間戦争を未然に防ぐーーという任務。
レイは自身の護衛官に任じた凄腕の青年剣士、円城九太郎とともに惑星間の調停に赴く。
※本作はフィクションであり、実際の人物、団体、事件、地名などとは一切関係ありません。

百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ふたつの足跡
Anthony-Blue
SF
ある日起こった災いによって、本来の当たり前だった世界が当たり前ではなくなった。
今の『当たり前』の世界に、『当たり前』ではない自分を隠して生きている。
そんな自分を憂い、怯え、それでも逃げられない現実を受け止められるのか・・・。
年下の地球人に脅されています
KUMANOMORI(くまのもり)
SF
鵲盧杞(かささぎ ろき)は中学生の息子を育てるシングルマザーの宇宙人だ。
盧杞は、息子の玄有(けんゆう)を普通の地球人として育てなければいけないと思っている。
ある日、盧杞は後輩の社員・谷牧奨馬から、見覚えのないセクハラを訴えられる。
セクハラの件を不問にするかわりに、「自分と付き合って欲しい」という谷牧だったが、盧杞は元夫以外の地球人に興味がない。
さらに、盧杞は旅立ちの時期が近づいていて・・・
シュール系宇宙人ノベル。
【BIO DEFENSE】 ~終わった世界に作られる都市~
こばん
SF
世界は唐突に終わりを告げる。それはある日突然現れて、平和な日常を過ごす人々に襲い掛かった。それは醜悪な様相に異臭を放ちながら、かつての日常に我が物顔で居座った。
人から人に感染し、感染した人はまだ感染していない人に襲い掛かり、恐るべき加速度で被害は広がって行く。
それに対抗する術は、今は無い。
平和な日常があっという間に非日常の世界に変わり、残った人々は集い、四国でいくつかの都市を形成して反攻の糸口と感染のルーツを探る。
しかしそれに対してか感染者も進化して困難な状況に拍車をかけてくる。
さらにそんな状態のなかでも、権益を求め人の足元をすくうため画策する者、理性をなくし欲望のままに動く者、この状況を利用すらして己の利益のみを求めて動く者らが牙をむき出しにしていきパニックは混迷を極める。
普通の高校生であったカナタもパニックに巻き込まれ、都市の一つに避難した。その都市の守備隊に仲間達と共に入り、第十一番隊として活動していく。様々な人と出会い、別れを繰り返しながら、感染者や都市外の略奪者などと戦い、都市同士の思惑に巻き込まれたりしながら日々を過ごしていた。
そして、やがて一つの真実に辿り着く。
それは大きな選択を迫られるものだった。
bio defence
※物語に出て来るすべての人名及び地名などの固有名詞はすべてフィクションです。作者の頭の中だけに存在するものであり、特定の人物や場所に対して何らかの意味合いを持たせたものではありません。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる