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感嘆の時
黄昏の国家14
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「今この瞬間、照射を行うわ」
まだ衛星は大気圏には突入していない。
このタイミングで…。高沢たちには判断出来ない状況を飲み込んでの発言だろう。
ニュートリノ・レーザーの照準には靄しか見えない。
しかしサキナたちには、判断出来ているようだった。
微妙な操作を行いながら、最終調節を行う。
サキナが「照射!」と叫ぶ。
その瞬間、若干緑掛かった光の線が夜空に光った。
時刻は午前二時半過ぎ。この光景を目撃した人からは警察に何本かの電話が入った。まだ避難していない人が多くいる事に、警察内で困惑が広がっている。
照射から二分弱、経過した。モニターに映し出された極めて荒い映像を見ながら、オーイックスの面々は固唾を飲んでいる。
サキナがまた叫んだ。「次、照射!」距離、およそ十キロメートル離れた第二の
衛星に照射が行われる。
こちらは約三分、照射が行われた。
この時点で二機の衛星が大気圏に突破しつつある。
次に出た言葉は、「迎撃して!」
数十秒後に、日本海に展開するイージス艦二隻に情報が伝達された。
こちらも既に二機の衛星を捉えており、ミサイル発射のタイミングを待っていた。
「アプローチ!ミサイル発射!」
イージス艦からミサイルが夜空を焦がしながら、軌道上に飛んでいく。
昔のイージス艦の迎撃ミサイルとは距離数が恐ろしく違う。
大気圏上にある弾道ミサイルを迎撃する能力を保有しているのだ。
そして、それ程大きくない爆発光と鈍い破裂音が響く。
更にもう一隻のイージス艦から第二波のミサイルが発射される。
モニター上で迎撃出来たことが確認された。
全ての関連施設の人々は、安堵の溜息と歓声が上がった。
全て周囲を展開していた、放射線サーチエセットが濃度を確認する。
放射物は殆ど確認出来ず、僅かにトリチウムが検出されたが、全く人体に影響が出ない範囲のレベルだった。
オーイックスと日本政府のタッグで、困難な局面を絶対的なアプローチで乗り越えた。
軍需コントロール室、室長、多田は、ギークたちにお礼を言ったが、サキナたちは予想範囲内というしれっとした態度でモニターを眺めていた。
防衛ビッグ・マーカーの沢田は、今回の劇的な対応にギークたちに脱帽した。
「リュクスタ、今回の件、ギークたちは見事でした」そう賛辞した。
高沢はその言葉の通り、見事に懸念材料を正常処理したギークたちの超常的ともいえる判断に溜飲が下がった思いだ。
「多田室長、沢田室長、今回は本当にご苦労だった。私は良い部下を持ったよ」
その言葉と同時に、オーイックスがトップレベルの防衛構想をまさに確固たる地盤を構成したことが、全世界を通じて認めることになる。
日本政府から直電が入り、やはり同様の賛辞を贈られ、岩盤な礎を築くこととなった。
只、これらを静観してきた当事者の中国共産党とロシアは、最大級の警戒を伴った行動に出ようとする。
何故ならば、これら核兵器を保有する国にとって、完全無力化が出来る方法が見つかったからだ。
アメリカも例外ではなかった。
迎撃に備えての軍事行動を行っていたが、核ミサイルと同様、核爆発は共わないにしろ核パルスエンジンを搭載した軍事衛星二機を見事に落としたオーイックスに、若干にも脅威を感じていた。
しかし表立っては、引率した日本政府を褒め、オーイックスの行動と判断を大いに称えた。
原子力エンジンを搭載した衛星二基を、迎撃してから一日が経った。
国連では緊急会議を開き、中国政府に対して非難決議の採択を迫ったが、拒否権を発動した為、結局うやむやになる結果となった。
日本政府が事の真相を問い質したが、中国政府は一貫して否定を繰り返した。
只、日本の領土に万が一にも落ちていればと、いう前提でお見舞いの言葉が述べるに留まった。
しかし、これは国家間として非常に侮辱した言葉だった。
嘗て共産圏の大塔して君臨した組織は混乱をきたし、中国民主改革党が日本の意見に賛同し、大いに中国共産党を責めた。
内乱を過去に起こし、勢力としては同等の力を持つ程になった中国民主改革党は、ウイグル自治区、チベット自治区、内モンゴル自治区を見事に開放した。
日本と台湾との繋ぎとして大いに発展し、中国共産党を追い込んではいる。
しかし、長岐にわたり紡いできた、それらが簡単に瓦解する事ではなかったのだ。
核などの兵器は、まだ中国共産党の内にあると考えてよい。
いつ、また行動を起こすかは不明であった。
それでも、過去の悲惨さを呼び起こす力は残ってはいまい。
まだ衛星は大気圏には突入していない。
このタイミングで…。高沢たちには判断出来ない状況を飲み込んでの発言だろう。
ニュートリノ・レーザーの照準には靄しか見えない。
しかしサキナたちには、判断出来ているようだった。
微妙な操作を行いながら、最終調節を行う。
サキナが「照射!」と叫ぶ。
その瞬間、若干緑掛かった光の線が夜空に光った。
時刻は午前二時半過ぎ。この光景を目撃した人からは警察に何本かの電話が入った。まだ避難していない人が多くいる事に、警察内で困惑が広がっている。
照射から二分弱、経過した。モニターに映し出された極めて荒い映像を見ながら、オーイックスの面々は固唾を飲んでいる。
サキナがまた叫んだ。「次、照射!」距離、およそ十キロメートル離れた第二の
衛星に照射が行われる。
こちらは約三分、照射が行われた。
この時点で二機の衛星が大気圏に突破しつつある。
次に出た言葉は、「迎撃して!」
数十秒後に、日本海に展開するイージス艦二隻に情報が伝達された。
こちらも既に二機の衛星を捉えており、ミサイル発射のタイミングを待っていた。
「アプローチ!ミサイル発射!」
イージス艦からミサイルが夜空を焦がしながら、軌道上に飛んでいく。
昔のイージス艦の迎撃ミサイルとは距離数が恐ろしく違う。
大気圏上にある弾道ミサイルを迎撃する能力を保有しているのだ。
そして、それ程大きくない爆発光と鈍い破裂音が響く。
更にもう一隻のイージス艦から第二波のミサイルが発射される。
モニター上で迎撃出来たことが確認された。
全ての関連施設の人々は、安堵の溜息と歓声が上がった。
全て周囲を展開していた、放射線サーチエセットが濃度を確認する。
放射物は殆ど確認出来ず、僅かにトリチウムが検出されたが、全く人体に影響が出ない範囲のレベルだった。
オーイックスと日本政府のタッグで、困難な局面を絶対的なアプローチで乗り越えた。
軍需コントロール室、室長、多田は、ギークたちにお礼を言ったが、サキナたちは予想範囲内というしれっとした態度でモニターを眺めていた。
防衛ビッグ・マーカーの沢田は、今回の劇的な対応にギークたちに脱帽した。
「リュクスタ、今回の件、ギークたちは見事でした」そう賛辞した。
高沢はその言葉の通り、見事に懸念材料を正常処理したギークたちの超常的ともいえる判断に溜飲が下がった思いだ。
「多田室長、沢田室長、今回は本当にご苦労だった。私は良い部下を持ったよ」
その言葉と同時に、オーイックスがトップレベルの防衛構想をまさに確固たる地盤を構成したことが、全世界を通じて認めることになる。
日本政府から直電が入り、やはり同様の賛辞を贈られ、岩盤な礎を築くこととなった。
只、これらを静観してきた当事者の中国共産党とロシアは、最大級の警戒を伴った行動に出ようとする。
何故ならば、これら核兵器を保有する国にとって、完全無力化が出来る方法が見つかったからだ。
アメリカも例外ではなかった。
迎撃に備えての軍事行動を行っていたが、核ミサイルと同様、核爆発は共わないにしろ核パルスエンジンを搭載した軍事衛星二機を見事に落としたオーイックスに、若干にも脅威を感じていた。
しかし表立っては、引率した日本政府を褒め、オーイックスの行動と判断を大いに称えた。
原子力エンジンを搭載した衛星二基を、迎撃してから一日が経った。
国連では緊急会議を開き、中国政府に対して非難決議の採択を迫ったが、拒否権を発動した為、結局うやむやになる結果となった。
日本政府が事の真相を問い質したが、中国政府は一貫して否定を繰り返した。
只、日本の領土に万が一にも落ちていればと、いう前提でお見舞いの言葉が述べるに留まった。
しかし、これは国家間として非常に侮辱した言葉だった。
嘗て共産圏の大塔して君臨した組織は混乱をきたし、中国民主改革党が日本の意見に賛同し、大いに中国共産党を責めた。
内乱を過去に起こし、勢力としては同等の力を持つ程になった中国民主改革党は、ウイグル自治区、チベット自治区、内モンゴル自治区を見事に開放した。
日本と台湾との繋ぎとして大いに発展し、中国共産党を追い込んではいる。
しかし、長岐にわたり紡いできた、それらが簡単に瓦解する事ではなかったのだ。
核などの兵器は、まだ中国共産党の内にあると考えてよい。
いつ、また行動を起こすかは不明であった。
それでも、過去の悲惨さを呼び起こす力は残ってはいまい。
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