感受の体験

旅里 茂

文字の大きさ
上 下
16 / 31

ご祈祷のお札

しおりを挟む
今を遡る頃40年程前、あるお寺にご祈祷して頂いた
大きなお札を、親父の部屋の天井に付けていたのだが、
それが去年の暮れに剥がれ落ちた。

元々は天井に貼っておくようにと言われていたらしい。

可成り劣化しており直ぐに破れるような状態で
仕方なく、私の部屋の柱部分に貼り付けたのだが…。

それについては妙な違和感を感じていた。

それから間もなくして、ある異変が起きるようになった。

顕著に現れたのは、お袋の体調だった。
酷い咳をするようになり、特に寝る前には強烈な
咳込みをしていた。

更には、一時間三十分とトイレに連続で行く事になり、
睡眠不足が続いた。

そしてそれが今日まで続き、昨日、思い切ってお札を
元の親父の部屋の天井に張り直したのだった。

するとどうだろう。あれ程酷かったお袋の咳込みが
殆ど無くなり、トイレに行く回数も普段通りに収まったのだ。

つまり、神様が元の場所に戻せという警告だったのに違いない。
それを踏まえて、これからはもっと大切に扱わなければと
思う次第だった。

ご祈祷をして頂いたお札は、その流れを切っては駄目であると
痛感したのだった。

裏を返せば、いつも見守って下さっているという事なのだろう。
しおりを挟む

処理中です...