無感情兎？と優しいお兄さん

無感情兎とお兄さん

6.

『これからよろしく、仲良くしようね！』

そう送られてきた文字を見て心が満たされていく感覚がする。

これからがある。もっと、仲良くなりたい。

…………お兄さんと一緒にいたい。

欲求が湧き上がってくる。ほんと、お兄さんの事になると、沢山の気持ちが湧き上がってくる。
まだまだお兄さんの事は知らないけど、それでも…

ふと、鏡が目に入り顔を上げると、

「……え、」

ほんの少しだけだけど僕の顔は、僕は…笑っていた。

どうして？なぜ？沢山の疑問が溢れてくるが、自分が笑ったことに気づいて直ぐに顔は無表情に戻る。

気のせい？うん、きっとそう。気のせいだ。もう、僕の顔には表情が出てくることは無いのだから。

「……お兄さんとお話出来て浮かれていたから勘違いしたのかな。」

何度も気のせいと、言い聞かせて勘違いなのだと自分に暗示をかける。
それが正しいのだと。




立ち上がり、キッチンへ向かう。
今日買い置きを仕舞わないといけないから。
冷たい廊下を歩いて、暖房のついていない寒い部屋に入る。でも、気持ちは、心は、ほんのり暖かいままだった。