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敵対
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「でねー、さりょうが昨日必死に守ってくれたんだよー!」
日が明けてさりょうは学校に登校するとすぐに見た光景は結花が楽しそうに昨日の出来事を皆へ自慢げに話す姿だった。
あまりカッコいい展開では無かったのでそんなに言いふらさないで欲しいが……とさりょうは思う。
「あ!さりょうおはよう!昨日はありがとう。今みんなにも話してたんだ!」
そう言う結花は相変わらずの笑顔をさりょうへと向ける。
不思議なことにその笑顔を見ると、言いふらされて恥ずかしいなどという気持ちは吹き飛ぶ。
「俺は特に何も……」
さりょうは照れ臭くなり少し素っ気なくそう言いながら自身の席へ座る。
「いや本当にカッコよかったよ、マジで見直したもん!」
さりょうに対して結花の隣にいる優梨亜も褒め出す。
こんなに女子に褒められた事もないさりょうは恥ずかしくて死にそうだった。
その時、結花の後方から席を立ち上がりこちらに近付いて来る男子の姿が見えた。
「でもそれって蔵星がいたから何とかなったってだけの話だよね?」
そう言いながら話に入ってくるこの男子生徒は梶川 勇二 というクラスメイトである。
「ましてや、蔵星がいなけりゃ佐山はやられてたし結花ちゃんもっと酷い目にあったでしょ」
この梶川はこのように、話し方も発する言葉もどこか嫌味っぽく態度も人を見下したような感じで、さりょうは苦手のタイプだった。
海斗や山部もよく「あいつとはソリが合わねえ」と漏らしている。
「そんな事どーでも良いでしょ?さりょうが守ろうとして必死に不利な相手に立ち向かったのは事実なんだから!」
結花は少しムキになりながら反論する。
「逆にそんな状況じゃ逃げれないっしょ、結果的にうまくいったから美談になってるけど第三者から聞いたら何か大袈裟だわ」
梶川は淡々と話しながらチャームポイントのロン毛をいじる。
「まあそろそろ始業時間だから皆戻ろうぜ」
梶川のその声で集まっていた生徒たちは各自の席へとついた。
こんな嫌な奴の印象が強いが梶川は軽音部の部長も務めており、学年関係なく支持してる者が多い。
敵に回すと厄介な奴なのだが、何故かこの日から梶川はさりょうに敵対し始めた。
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