夏休みの同居人

かいかい

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デート?いや、捜索活動

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「ところで結羽さん、一つ聞いて良いっすか?」


一夜空けて昨日決まった名前を呼ぶ。
涼しい室内でこれまた涼しい表情で風雅は尋ね出した。


『んー?何っすかー?』


そして幽霊こと結羽が真似た口調で適当にそう返す。
ちなみにその両手には服や帽子を掴んでいて、姿見の前で自分に重ねている。


ここはショッピングモール、昨日の公園に引き続き手がかり探しとやらだ。


だが一応女性なので本来の目的を忘れて数々の商品に夢中のようである。


「うーん、幽霊が服とかを持っている……一応これ怪奇現象で良いのかな?」


『だって風雅が何か買ってくれるって言うからお言葉に甘えてるんだよ♪』


依然目を合わせずコーディネートに悩みながらそう返す。


「少し遠慮くらいしろや!こちとら高校生アルバイターだぞ!」


『何かこの服を着て街を歩く事で何かの記憶が目覚めるかもしれないよ!』


耳を塞ぎたくなるくらいの屁理屈っぷりだ。
結羽と言い合いしても8割7分5厘くらいの確率で勝てないのをここ数日で理解した風雅は大人しくする事にした。


ーーーー


『風雅、お待たせ!……あの……ありがとっ♪』


結羽は紙袋を持ちながら笑顔を見せる。


不意打ちを食らった風雅は目も合わせず、「おう」とだけ返した。


『今ドキッとしたでしょ?風雅の扱いが分かってきたよ♪』


「一瞬でも喜んだ自分が情けない……それで何か思い出したか?」


二人は歩きながら会話を始める。
そして話が逸れがちだが、ついに目的を果たすべく風雅は尋ねる。


『いや、なーんも分からない。ここ来たの初めてだろうし……』


歩きつつ手を後ろに組む仕草をしながら結羽は答えた。


『あー…でも、この行動は無駄じゃないと思うんですよね。この街で自我を持って現れたって事はやっぱりこの街に何かのヒントが隠されてるんだと思う』


打って変わり真剣な表情に切り替えてそう続ける。
よく霊体は未練が残る場所に留まると聞くが、果たしてどうなのだろうか。


「何も思い出せないのか……まだ夏休みは残ってるから時間はある、俺にまかせろ」


恥ずかしそうに突然らしくない発言をする風雅に、今回は結羽が不意打ちを受けたようだ。


『もしかして……デートしてる雰囲気を楽しめるからっていう下心から?』


その発言を聞くといくらか図星だったようだ。


「ばっ、バカ!ただの暇つぶしだよ!あんまふざけると寺に連れてくぞ!」


『……ぷっ。風雅って案外可愛いところあるんだね♪』


結羽は口元を押さえながらそう返す。


『頼りにしてますよ♪』


先が思いやられそうだが、この二人はなんだかんだ馬の合うコンビなのしれない。


果たしてこの夏休み中に無事に成仏する事ができるのだろうか。
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