耽美少年にいたぶられる!

SSYM

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プロローグ

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 深い眠りの後、私わたくしは目を覚ましました。上体を起こし大きく伸びをします。なんだか長い間眠っていたような気がします。今まで私は何をしていたっけ。ある館の使用人をしていてそれから……。
「起きたの」
 突然隣から声をかけられたので大変驚きました。声のするほうに目を向けるとベッドサイドの椅子に一人、とてもかわいらしい子どもが腰かけていました。
「お嬢様……?」
「僕、男だけど。主人ことも忘れたの?」
 失念しておりました。あまりの美しさに女の子と見紛ってしまいました。白い肌に紅色がさした唇、くりくりとした目。長いまつげに長い髪。そうですね、例えて言うなら首を傾げれば鈴の音がチリンと鳴りそうなそんな愛しさを彼は持っていました。彼は読んでいた本をテーブルに置くと私が寝ているベッドに移動しこちらに手を伸ばします。
「目を閉じて。プレゼントがあるんだ」
 撫で上げた手は頬を滑り落ち首筋を這って行きます。目を閉じると触覚が敏感になると言います。ベッドの軋む音がなんだか官能的で、ご主人様の息が耳にかかるもどかしさで体は火照ってしまいます。這う指は細く冷たく、体を心地よく落ち着かせてくださります。プレゼントとは何なのでしょう。おそらく装飾品の類ではないかと私は予測いたします。目を開いたらイヤリングが耳につけられている……ロマンス小説で読んだことがございますゆえ、そんな妄想を広げてしまうのです。しかしながらその期待もつかの間、首元に何か重いものが付けられ、金属のぶつかり合う音が聞こえてきたのです。ご主人様が離れたのを感じ瞳を開くとこれは首輪でしょうか。まるで犬のような様相に困惑します。首輪から延びる鎖はご主人様の手に繋がっておりました。
「どうしたの。
僕の愛玩道具として、今日も働いてもらうんだよ」
 少年に目が奪われて気が付きませんでした。周りには大きな鋏や鋸のようなもの、使い方もわからない鉄製の何かが無造作に置かれていました。禍々しい雰囲気をまとったそれは落としきれていない血液でその不気味さを際立たせています。私はこれから何をされるのか、嫌でも想像がついて背筋を蟲が這いつくばるような気持ち悪さでいっぱいになります。体も固まってうまく動きません。私はただの使用人のはずです。拷問狂にお仕えした記憶が一切ないのです。
「ほら、おいで」
 そんな私を無視して、鎖を引きます。思いの外、力が強く逆らうことは難しく。もちろん立ち上がる時間も頂けずベットから無様に転げ落ちてしまいました。それでもご主人様は容赦なく鎖を引きます。仰向けになり首が絞まって苦しいです。何とか気道を確保しようと首をそり上げたとき横眼にとらえたのは彼の情欲を孕んだ瞳でした。
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