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その八
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いつしか教室には、俺ら以外の姿は無くなっていた。
「あの、大変って何の話ですか?」
鹿野も気になっていたらしく素直に疑問をぶつける。
「あくまで噂やったんやけどな、雉薙のクラス制度はA~Eで成績格差があるんじゃないかっていう話あったやろ。あれがどうやら噂じゃないんじゃないかってことや。」
たしかに噂では聞いたことはあった。しかしまさか本当にそんあことがあり得るのか?
でもそれだと一つ気に掛かることがある・・・。
「その顔はまだ信じてないって感じやな。まあ言いたいことは分かるで。入学時の順位のことやろ?」
そう言うとにやっとした顔で、如何にも図星やろ?と言いたそうな顔をしている。まあ図星である。皇作真太、クラス委員なだけあって鋭いな・・。
「そうだよ・・。でもやっぱりおかしくないか?」
「せやな。もし、成績上位者から順にA、B、C・・と割り振られていたのであればやろ?つまり、クラス間の成績の差といってもそんなに大きな差があるわけやない。ほんのちょっとの差があるんや。具体的な法則までは分からんけどな」
「なるほど・・・。ただそれだと大変って程の事じゃないんじゃないか。クラス間の差が少しならクラス委員の大変さは変わらないんじゃないか?」
「せやねん。せやから俺もそう考えたよ最初はな。その理由ともなる話があるんやが、ここからは噂にもなってない俺の特殊な筋から得た情報やから他言無用で頼むで。」
ごくりと思わず唾を飲み頷く。鹿野も真剣な眼差しを皇作に向けている。
「そもそも何故クラス分けの際に少なからずでも差を作ったかっていう話や。一つは、単純に実力主義かつ、上位クラスは下位クラスがいることへの安心感、優越感、下位クラスは逆に下剋上の精神が芽生え、結果的に雉薙学園全体の成績向上が期待できる。これを大々的に行う訳にはいかないため、このような形式を取羅ざるを得なかったんや。二つ目は、学力などの数字で分かる能力の他に、例えばクラスを統率する力などを図り、その力を伸ばしていくためにあえて、クラス間で対立が起きるような形式を取ったっちゅうことや。現に、噂が流れてから、クラス間の対抗意識は高まっているように思う。まあ、俺が分かってるのはこれくらいや。」
皇作真太が何の情報網を駆使しているかを詮索する気は無いが、これは筋が通っているように思える。
「うん。確かに話の辻褄が合っているように思う。行事毎にクラス間で争うようなものが多いのもこのためだと考えると納得がいくな。」
「せやろ!そう行事なんかがある度にクラスそれぞれの評価が付けられているんだとしたら、俺らD、Eクラスは大変やなってことや。そこで、や。D、Eクラス、というよりはクラス委員の俺らくらいは仲良くしていきたい。どうや?悪い話じゃないと思う。」
そうこれは俺らにとって悪い話じゃないどころか、願っても無い話だ。皇作真太にどのような思惑があるにせよ、この情報網は頼りになる。そしてこの話を俺らにした時点で友好的である、と信じたい。
「俺は構わない。というよりもこっちからお願いしたいくらいだ。それくらいこの協力関係は頼りになる、と思うんだが、鹿野さんはどうかな・・?」
「うん!私も仲良くしていきたい!お互いがんばろ?」
そう言うと鹿野は優しく微笑みかけた。
「よし、決まりやな。打倒Aクラス!相手は成績トップの入試成績を誇るクラス委員、相手にとって不足なしや。」
「・・うん!」
皇作の気合の入った掛け声。珍しく声を挙げた双雲は恥ずかしそうに頷いているがどこかやる気が感じられる。
こうして、D、Eクラス委員の協力関係が結ばれた。
いつしか教室には、俺ら以外の姿は無くなっていた。
「あの、大変って何の話ですか?」
鹿野も気になっていたらしく素直に疑問をぶつける。
「あくまで噂やったんやけどな、雉薙のクラス制度はA~Eで成績格差があるんじゃないかっていう話あったやろ。あれがどうやら噂じゃないんじゃないかってことや。」
たしかに噂では聞いたことはあった。しかしまさか本当にそんあことがあり得るのか?
でもそれだと一つ気に掛かることがある・・・。
「その顔はまだ信じてないって感じやな。まあ言いたいことは分かるで。入学時の順位のことやろ?」
そう言うとにやっとした顔で、如何にも図星やろ?と言いたそうな顔をしている。まあ図星である。皇作真太、クラス委員なだけあって鋭いな・・。
「そうだよ・・。でもやっぱりおかしくないか?」
「せやな。もし、成績上位者から順にA、B、C・・と割り振られていたのであればやろ?つまり、クラス間の成績の差といってもそんなに大きな差があるわけやない。ほんのちょっとの差があるんや。具体的な法則までは分からんけどな」
「なるほど・・・。ただそれだと大変って程の事じゃないんじゃないか。クラス間の差が少しならクラス委員の大変さは変わらないんじゃないか?」
「せやねん。せやから俺もそう考えたよ最初はな。その理由ともなる話があるんやが、ここからは噂にもなってない俺の特殊な筋から得た情報やから他言無用で頼むで。」
ごくりと思わず唾を飲み頷く。鹿野も真剣な眼差しを皇作に向けている。
「そもそも何故クラス分けの際に少なからずでも差を作ったかっていう話や。一つは、単純に実力主義かつ、上位クラスは下位クラスがいることへの安心感、優越感、下位クラスは逆に下剋上の精神が芽生え、結果的に雉薙学園全体の成績向上が期待できる。これを大々的に行う訳にはいかないため、このような形式を取羅ざるを得なかったんや。二つ目は、学力などの数字で分かる能力の他に、例えばクラスを統率する力などを図り、その力を伸ばしていくためにあえて、クラス間で対立が起きるような形式を取ったっちゅうことや。現に、噂が流れてから、クラス間の対抗意識は高まっているように思う。まあ、俺が分かってるのはこれくらいや。」
皇作真太が何の情報網を駆使しているかを詮索する気は無いが、これは筋が通っているように思える。
「うん。確かに話の辻褄が合っているように思う。行事毎にクラス間で争うようなものが多いのもこのためだと考えると納得がいくな。」
「せやろ!そう行事なんかがある度にクラスそれぞれの評価が付けられているんだとしたら、俺らD、Eクラスは大変やなってことや。そこで、や。D、Eクラス、というよりはクラス委員の俺らくらいは仲良くしていきたい。どうや?悪い話じゃないと思う。」
そうこれは俺らにとって悪い話じゃないどころか、願っても無い話だ。皇作真太にどのような思惑があるにせよ、この情報網は頼りになる。そしてこの話を俺らにした時点で友好的である、と信じたい。
「俺は構わない。というよりもこっちからお願いしたいくらいだ。それくらいこの協力関係は頼りになる、と思うんだが、鹿野さんはどうかな・・?」
「うん!私も仲良くしていきたい!お互いがんばろ?」
そう言うと鹿野は優しく微笑みかけた。
「よし、決まりやな。打倒Aクラス!相手は成績トップの入試成績を誇るクラス委員、相手にとって不足なしや。」
「・・うん!」
皇作の気合の入った掛け声。珍しく声を挙げた双雲は恥ずかしそうに頷いているがどこかやる気が感じられる。
こうして、D、Eクラス委員の協力関係が結ばれた。
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