異世界じゃなくて現実世界で無双したい!!!

橋中不治木

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その四

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 【入学式】

 「新入生代表挨拶。新入生代表・久世宮秀一クゼミヤシュウイチ
 毅然とした態度で、男が壇上に登る。

 日本が誇る久世宮財閥の正真正銘の御曹司である彼は、覇気の籠った声で恙なく演説を終える。
 誰が見ても、雉鳴学園新入生の頂点だと納得させられる。
 たった数分の演説で見ている人を引き込む圧倒的なカリスマ性。
 品行方正、眉目秀麗、才色兼備、この世の全ての賛辞はこの男のためにあるのではないかと思うほどの天才・・・。

 そして、現時点で自身よりも遥か高みに居る存在。
 分かってはいたことだが、ここは、天才集う雉鳴学園。ここで頂点を取るということがどういうことなのか。改めて、実感させられた。

___

 寮に帰り、今日あったことを振り返る。
 
 初めての登校だったが、友達もでき、クラスにも馴染めそうだ。普通に充実した学生生活も夢じゃないだろう。

 しかし、普通じゃだめだ。俺が目指すのはこの学園の頂点。つまりは生徒会長になることだ。
 生徒会長は学業成績や部活動などの課外活動、生活態度など様々な点から評価されなければならない。そして、最も大切なのは、生徒、教師からの信頼を勝ち取ること。
 生徒会長を決める選挙でもそれが重要になってくる。
 もっと言えば、生徒会長選挙にでるためにも、全校生徒からの投票または、教師陣による推薦を受けた者のみが、生徒会長選挙に出る権利を持つ。

 そのために俺は何をすべきか。
 よくある挨拶運動などの露骨なものはダメだ。あくまあでも自然に、自身が有能で信頼に足る人物だと知らしめる必要がある。
 テストなんかを死ぬ気で頑張るのは大前提として、雉鳴学園では多くの大規模な行事が行われる。そこでリーダーシップを発揮し結果を残すことも重要になる。

 ますます、自身の目標が不可能に見えてくるな・・・。
 考えてばかりいてもしょうがない。まずは、情報収集しつつ学校に馴染むことから始めよう。そうすればやるべきことも見えてくるに違いない。

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