異世界じゃなくて現実世界で無双したい!!!

橋中不治木

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その三

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 1年E組の教室に着くと、既に8割ほどの生徒は到着していた。
 
 ホワイトボードに張り出された座席を確認し、席に着く。

 隣の席の矢間隆司ヤマリュウジという男と軽い自己紹介を済ませる。
 髪は・・恐らく地毛じゃないな。雉鳴学園は校則緩いし、不良という訳でもないだろう。
 だって、どことなく良い奴そうだし。
 
 そんなことを思っていたら・・・
 「あ!俺の髪とか見て、ヤンキーだと思っただろ!ちゃんと、高校受かってから染めたからな!ほら見てみろこれ」
 そう言うと、スマホに移った一枚の写真を見せられる。
 
 そこには、坊主姿の極めて真面目な男が映っていた。
 「ぷっ」
 思わず吹き出してしまう。
「今笑っただろ!俺の中学、校則厳しくてさー、でもほら分かっただろ。誰にも言うなよなてっちゃん!」
 そう言うと、悪戯に笑って見せる隆司。ちなみにてっちゃんとは俺のことらしい。
 
 しかし、やっぱりこいつ良い奴だ間違いない。なんかそういうオーラが溢れている。少しバカそうだが・・・。
 「分かってるよ。お前、そういうオーラあるし。」
 「オーラ!もしかして俺ってすごいかも!!」
 二人して笑った。うん、仲良くなれそうだ。

 「二人とも楽しそうだね!」
 そう言って話しかけてきたのは、既にクラスの人だかりの中心にいた少女であった。
 「あ、ごめん!つい楽しそうだったから・・。わたしは、鹿野花桜梨カノカオリって言います。よろしくね。二人はえっと・・」
 俺と隆司も同様に自己紹介を済ませる。
 
 「そっか!じゃあ帝人くんと隆司くんだね!わたしのことは、花桜梨でも鹿野でもいいからねー!」
 誰に対しても物腰柔らかく愛想が良い美少女。清楚で笑顔が可憐。学園のアイドル的な存在になる日も近いだろう・・・。

 「そーいえば、さっきの見てたよー?片手で杖を付いてた子のこと助けてたでしょ!優しいんだね」
 「いや、助けたとかそんなんじゃ・・」
 というかあれ見られてたのか・・。
 「えー、隼間くんって優しいんだね!」「まじかよ!隼間めっちゃいい奴じゃん!」
 いつの間にやら周りにいた、というか、鹿野に連られてきたクラスメイトに話を聞かれてたみたいだ。しかもめっちゃ褒めらている。
 うん。褒められるのも悪い気はしないな!

___
 
 そんな流れで、クラスの皆とも自己紹介が出来た。我ながら良い印象を与えられたように思う。因果応報、善因善果。朝のあれはむしろ、俺が助けられたとも言えるのだが、天ケ瀬さん様様だな。

 それと、まだ始まったばかりだが、クラスの勢力図が見えてきたように思う。
 
 始業のチャイムが鳴り、担任と思われる教師が入ってくる。
 
 これから本当に始まるのだ。頂点を目指す戦いが・・・。
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