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「行かないでっ!!」
必死にお母さんへ手を伸ばす。
しかし次の瞬間、私の視界いっぱいに映ったのは、
「ロゼさ、ま?」
いつもと変わらないロゼ様の綺麗な顔だった。
「あれ、わたし……えっと……」
記憶が定まらない。
アリスにいつものようになじられ、ラビンスの歌声が聞こえてきて、それから……。
「大丈夫。俺はどこにも行かないよ、オリビア」
「え?」
意識がはっきりしない中、ロゼ様がにこりと微笑む。
どういう意味?
ふと、自分の手が何かを握り締めていることに気付いた。
それは、とても温かくて……。
おそるおそるそちらを見る。
「も、申し訳ありません!あの、違うんです!」
慌てて手を離そうとしたが、ロゼ様の手は私よりも強く握り締めてくれた。
あぁ、そうだ。
夢を見たんだ。
大好きでたまらなかったお母さんの夢。
夢の中で叫んだ言葉がそのまま現実で口から出てしまったらしい。
「あれ?俺のことじゃなかった?」
「残念、さみしいなぁ」とロゼ様は繋いだ手をそのままに肩をすくめた。
その姿に、きゅうっと胸に甘い痛みが生まれた。
この痛みはなんなのだろう。
心臓がどくどくと脈打つ。
“行かないで”
あの言葉は間違いなくお母さんのことで。
ロゼ様のことでは決してなかったのに。
私は、この人を失いたくないと思ってしまった。
どこにも行かないでほしい、と。
幼い頃、お母さんが教えてくれた。
誰かを愛するということ。
それは、その人を想うだけで胸が苦しくなるのだと。
心臓が痛いくらいに高鳴るのだと。
お母さんのことはもちろん愛していた。
でもこんなの全然違う。
どうしよう。
私はきっとロゼ様を愛してしまっている。
そんなこと許されないのに。
ねぇ、お母さん。分からないよ。
お母さんが言っていたときめくっていう気持ちは、悪いことをしてしまった時のような気持ちなの?
お母さんは誰かを愛する気持ちは幸せなものだって言うけど、私には分からない。
温かいものが頬に触れた。
見れば、ロゼ様が繋いだ手とは逆の手で私の頬に触れていた。
「オリビアが泣いちゃうから」
知らないうちに泣いてしまっていたらしい。
涙を拭ってくれる手が優しい。
「どうして泣いているの?俺に教えて」
あなたを愛してしまっているからです、なんてとても言えない。
それを言えば優しいこの人は受け入れてくれるかもしれない。
体の傷だって受け入れてくれるかもしれない。
でも、だからこそ我慢させたくなかった。
私のせいで、愛する彼に妥協してほしくなかった。
だって、彼は間違いなく素敵な女性と結ばれることができるはずだから。
そのために、私は嘘をつく。
「お母さんの夢を見たんです。それが懐かしくて」
深刻なことかと心配してくれているのに夢を見て泣いてしまったなんて言ったら、呆れられてしまうかもしれない。
そう思っていたのに、ロゼ様の表情は呆れるどこか、どこか嬉しそうだった。
「そっか。お母さんの夢か。それはしょうがないね」
まるで良いことを聞いた子供のように、はにかんだ笑みを見せてくれた。
「懐かしいと思わせるくらい離ればなれにさせてしまっていたね。オリビアのお母さんもそろそろこっちに招待したいんだけど……」
「あの、ロゼ様……実は……」
ロゼ様のせっかくの厚意に報いられないことが、心苦しい。
お母さんはもうこの国へ来ることはできないから。
「お母さんは……母は、もう亡くなっているんです。私が幼い頃に」
ロゼ様の表情ががらりと変わった。
青ざめ、絶望しているような表情。
「亡く、なった?なんで!どうしてっ!」
立ち上がり、握られたままの私の手はさらに強い力で握られる。
声を荒げたロゼ様を見るのは初めてだった。
いつもは穏やかなロゼ様がどうしてここまで……。
「どうしてシェリアさんは亡くなったの!」
驚きで体が震えた。
どうしてその名前を知っているの。
シャリア。
それはお母さんの名前だった。
今ではもう誰もその名前を呼ぶことはなく、最後にその名前を音で聞いたのはいつだったのかも覚えていない。
「母を、知っているんですか?どうして」
私の問いにロゼ様ははっと我に返ったようで、すとんとまた椅子に腰を下ろした。
質問に、質問で返してしまった。
驚いたせいとはいえ、一刻の王様になんて失礼なことを。
「母は……栄養失調で亡くなりました」
まずはロゼ様の質問に答える。
本当のことを言っていいのかと頭をよぎったが、既に言葉を紡いだ後だった。
「栄養失調?なにそれ。だってオリビアとシェリアさんは王宮暮らしだったはずだろ」
エメラルド国での境遇を話せるはずもないのに、馬鹿正直に栄養失調なんて言ってしまった。
ロゼ様の疑問は当然だ。
どう言葉にしていいか分からず悩んでいると、ロゼ様は制止するように手を挙げた。
「いや、無理に言わなくていい。君がこの国へ来た時の様子を見て、少なからず予想はしていたんだ。ただ、実際そうだと聞かされるとショックが大きくて……」
うなだれるロゼ様の手は震えていた。
声も震えていて、泣いているのかと思った。
こういう時、どんな言葉をかけたらいいのだろう。
ロゼ様とお母さんはどういう関係なのか。
何故そこまでお母さんの死を悲しんでくれるのか。
そもそも何故ロゼ様はお母さんのことを知っているのか。
分からないことが多すぎて、かける言葉が見つからない。
ロゼ様は俯いたまま目元辺りを手で拭い、顔を上げた。
その目は少し赤くなっているような気がする。
「俺とオリビアはね、ずっと昔に一度会っているんだよ。シェリアさんも一緒にね」
「え・・・・・・」
「そこで君という人間に救われたんだ」
救った?
私が、ロゼ様を?
全く記憶がない。
「覚えていないのも無理はないよ。君が物心つく前のことだから」
私が物心つく前に、私に救われた?
どういうこと。
そんなことがありえる?
「昔、俺は人間が大嫌いだったんだ。俺たちを魔族だと恐れ、忌み嫌う者たちばかりだったから。まだ俺が王位を継ぐ前の話だけど、王になっても人間と交流なんて絶対ごめんだと思ってた」
また、だ。
また自分が人間ではないような言い方。
「当時俺の父と君のお祖父さんがそれぞれの国を統治していて、とても仲が良かったんだよ。今でこそ戦争するような関係になっちゃったけど」
知らなかった。
エメラルド国とサファイア国が仲が良かったなんて。
だって、父はサファイア国のことを魔の国としか言っていなかったから。
「互いの国の交流のために、俺が父に無理やり連れられてエメラルド国に行ったことがあって、そこで君とシェリアさんに会ったんだ」
必死にお母さんへ手を伸ばす。
しかし次の瞬間、私の視界いっぱいに映ったのは、
「ロゼさ、ま?」
いつもと変わらないロゼ様の綺麗な顔だった。
「あれ、わたし……えっと……」
記憶が定まらない。
アリスにいつものようになじられ、ラビンスの歌声が聞こえてきて、それから……。
「大丈夫。俺はどこにも行かないよ、オリビア」
「え?」
意識がはっきりしない中、ロゼ様がにこりと微笑む。
どういう意味?
ふと、自分の手が何かを握り締めていることに気付いた。
それは、とても温かくて……。
おそるおそるそちらを見る。
「も、申し訳ありません!あの、違うんです!」
慌てて手を離そうとしたが、ロゼ様の手は私よりも強く握り締めてくれた。
あぁ、そうだ。
夢を見たんだ。
大好きでたまらなかったお母さんの夢。
夢の中で叫んだ言葉がそのまま現実で口から出てしまったらしい。
「あれ?俺のことじゃなかった?」
「残念、さみしいなぁ」とロゼ様は繋いだ手をそのままに肩をすくめた。
その姿に、きゅうっと胸に甘い痛みが生まれた。
この痛みはなんなのだろう。
心臓がどくどくと脈打つ。
“行かないで”
あの言葉は間違いなくお母さんのことで。
ロゼ様のことでは決してなかったのに。
私は、この人を失いたくないと思ってしまった。
どこにも行かないでほしい、と。
幼い頃、お母さんが教えてくれた。
誰かを愛するということ。
それは、その人を想うだけで胸が苦しくなるのだと。
心臓が痛いくらいに高鳴るのだと。
お母さんのことはもちろん愛していた。
でもこんなの全然違う。
どうしよう。
私はきっとロゼ様を愛してしまっている。
そんなこと許されないのに。
ねぇ、お母さん。分からないよ。
お母さんが言っていたときめくっていう気持ちは、悪いことをしてしまった時のような気持ちなの?
お母さんは誰かを愛する気持ちは幸せなものだって言うけど、私には分からない。
温かいものが頬に触れた。
見れば、ロゼ様が繋いだ手とは逆の手で私の頬に触れていた。
「オリビアが泣いちゃうから」
知らないうちに泣いてしまっていたらしい。
涙を拭ってくれる手が優しい。
「どうして泣いているの?俺に教えて」
あなたを愛してしまっているからです、なんてとても言えない。
それを言えば優しいこの人は受け入れてくれるかもしれない。
体の傷だって受け入れてくれるかもしれない。
でも、だからこそ我慢させたくなかった。
私のせいで、愛する彼に妥協してほしくなかった。
だって、彼は間違いなく素敵な女性と結ばれることができるはずだから。
そのために、私は嘘をつく。
「お母さんの夢を見たんです。それが懐かしくて」
深刻なことかと心配してくれているのに夢を見て泣いてしまったなんて言ったら、呆れられてしまうかもしれない。
そう思っていたのに、ロゼ様の表情は呆れるどこか、どこか嬉しそうだった。
「そっか。お母さんの夢か。それはしょうがないね」
まるで良いことを聞いた子供のように、はにかんだ笑みを見せてくれた。
「懐かしいと思わせるくらい離ればなれにさせてしまっていたね。オリビアのお母さんもそろそろこっちに招待したいんだけど……」
「あの、ロゼ様……実は……」
ロゼ様のせっかくの厚意に報いられないことが、心苦しい。
お母さんはもうこの国へ来ることはできないから。
「お母さんは……母は、もう亡くなっているんです。私が幼い頃に」
ロゼ様の表情ががらりと変わった。
青ざめ、絶望しているような表情。
「亡く、なった?なんで!どうしてっ!」
立ち上がり、握られたままの私の手はさらに強い力で握られる。
声を荒げたロゼ様を見るのは初めてだった。
いつもは穏やかなロゼ様がどうしてここまで……。
「どうしてシェリアさんは亡くなったの!」
驚きで体が震えた。
どうしてその名前を知っているの。
シャリア。
それはお母さんの名前だった。
今ではもう誰もその名前を呼ぶことはなく、最後にその名前を音で聞いたのはいつだったのかも覚えていない。
「母を、知っているんですか?どうして」
私の問いにロゼ様ははっと我に返ったようで、すとんとまた椅子に腰を下ろした。
質問に、質問で返してしまった。
驚いたせいとはいえ、一刻の王様になんて失礼なことを。
「母は……栄養失調で亡くなりました」
まずはロゼ様の質問に答える。
本当のことを言っていいのかと頭をよぎったが、既に言葉を紡いだ後だった。
「栄養失調?なにそれ。だってオリビアとシェリアさんは王宮暮らしだったはずだろ」
エメラルド国での境遇を話せるはずもないのに、馬鹿正直に栄養失調なんて言ってしまった。
ロゼ様の疑問は当然だ。
どう言葉にしていいか分からず悩んでいると、ロゼ様は制止するように手を挙げた。
「いや、無理に言わなくていい。君がこの国へ来た時の様子を見て、少なからず予想はしていたんだ。ただ、実際そうだと聞かされるとショックが大きくて……」
うなだれるロゼ様の手は震えていた。
声も震えていて、泣いているのかと思った。
こういう時、どんな言葉をかけたらいいのだろう。
ロゼ様とお母さんはどういう関係なのか。
何故そこまでお母さんの死を悲しんでくれるのか。
そもそも何故ロゼ様はお母さんのことを知っているのか。
分からないことが多すぎて、かける言葉が見つからない。
ロゼ様は俯いたまま目元辺りを手で拭い、顔を上げた。
その目は少し赤くなっているような気がする。
「俺とオリビアはね、ずっと昔に一度会っているんだよ。シェリアさんも一緒にね」
「え・・・・・・」
「そこで君という人間に救われたんだ」
救った?
私が、ロゼ様を?
全く記憶がない。
「覚えていないのも無理はないよ。君が物心つく前のことだから」
私が物心つく前に、私に救われた?
どういうこと。
そんなことがありえる?
「昔、俺は人間が大嫌いだったんだ。俺たちを魔族だと恐れ、忌み嫌う者たちばかりだったから。まだ俺が王位を継ぐ前の話だけど、王になっても人間と交流なんて絶対ごめんだと思ってた」
また、だ。
また自分が人間ではないような言い方。
「当時俺の父と君のお祖父さんがそれぞれの国を統治していて、とても仲が良かったんだよ。今でこそ戦争するような関係になっちゃったけど」
知らなかった。
エメラルド国とサファイア国が仲が良かったなんて。
だって、父はサファイア国のことを魔の国としか言っていなかったから。
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