上 下
5 / 47

4 酩酊状態のままで ★

しおりを挟む
「番承諾書って何それ!?」
「今日から瑠璃さんは俺の番ということになりましたという証明書だよ」
「んむぅ」

 問い返そうとした私の声は晴人さんの口の中へ消えて、また毒を流し込まれてしまう。服がたくし上げられて、頭から抜き取られる時、自力では動かせなかった筈の両腕が簡単に持ち上げられて、頭上で服を両腕に絡めた状態のままにされてしまった。

「んにゃぁ」

 無防備に晒された上半身に羞恥を感じる前に、乳房が冷たい手に包み込まれて身体が跳ねる。
 やはりあの淫夢は現実だったのだと思いながら刺激に耐えていると、先端をヌルリとした温かい物に包み込まれて腰が跳ねる。

「んあぁ、やぁ」

 左の胸だけでなく右の胸も交互に咥えられて、まるで乳首の先からも毒を注ぎ込まれているかのように気持ち良い。
 時折無防備になっている脇まで嘗められて背筋がぞくりとする。未知なる刺激に追い詰められていく。
 このままでは駄目だと思うのに、下半身から下着ごとスウェットを抜き取られても全く抵抗出来なかった。
 両足が晴人さんの大きな手で持ち上げられて、大きく開いた状態で手を離された。私自身は手も足もほとんど動かせないのに、この糸は彼の意図を全てくみ取ってしまうのか、その動きはスムーズだ。
 蛍光灯の明かりが、私の全てを曝け出してしまう。
 
「瑠璃さんのここ、とても綺麗ですよ。いやらしく光ってる」
「いやぁ、見ないでぇ……」

 私は処女では無いから、自分の状態がどうなっているかが分かっていた。
 そこは今すぐ挿れられたとしてもさして痛みも感じないかもしれない程濡れそぼっていることを。蜜壺から零れた液が襞の谷間を流れて、お尻の方まで垂れていっているのを自覚している。
 その光景が、こんな状況でも清廉な雰囲気を纏っている晴人さんの前に晒されているのが恥ずかしくてたまらない。

「もっと、もっと気持ち良くしてあげる。癖になって離れられなくなるくらい」
「ひゃぁんっだめぇ」

 晴人さんが身を屈めて陰部に舌を伸ばすのを信じられない気持ちで見守っていると、最初に触れたのは蜜壺の上に位置する陰核だった。舐めて咥えて時々吸われて、私はその強烈な刺激に頭を左右に振って喘ぐことしか出来なかった。

「あぁっもうやぁっあああああ!!!」

 もう無理と涙まで零して哀願したところで、晴人さんの舌が陰核を押しつぶしたことで溜まっていた快感が弾けて頭が真っ白に染まった。

「はぁはぁ……もうやめ……んあ」

 この期に及んで抵抗を試みている私を無視して、グチュリと酷い音を立てて指が差し込まれた。
 抵抗も無く節くれ立った指を飲み込んでいく私の身体は、久々の刺激に身体が歓喜を覚えているのが分かる。もう理性と本能はバラバラで、指が二本、三本と増やされても、もう抵抗どころかもっともっとと誘い込むように締め付けてしまう。
 処女では無くても長い間使われていなかったそこが、晴人さんの手で開かれてゆく。

「あぁ、あぁぁあああああ……ああ!!」

 狭い部分を擦られたり、奥で指を曲げたり、向きを変えたりとぐちゃぐちゃに刺激されるうちにまたイってしまいそうになった瞬間、指が抜き取られた。
 ポッカリと無防備に晒されたあそこが、男を求めてすすり泣いている。また蜜が溢れて、したたり落ちていく。

 私はもう犯されても良いから早く終わらせて欲しいと思うようになっていた。どうせ初めてではないのだ。こんな美人が相手ならむしろご馳走様と言うべきだろう。 

 投げやりな気持ちになっているのを察したのか、晴人さんの身体が私に覆いかぶさって強く抱きしめられる。
 その、力強い温もりが私の心のどこかを満たすのを感じた。

「好きですよ。瑠璃さん」
「え、ぅあああああ!」

 突然の告白に驚くと同時にいきなり挿入された。絶頂を何度も迎えた私の蜜壺は晴人さんのモノに刺激を受けて更にいやらしく絡みついていく。
 久々だからか、晴人さんが特別なのか、圧迫感が凄くて、隘路が隙間なく満たされていき、奥まで突き当たる。苦しいのに、それだけじゃない、満たされた身体が勝手に喜んでいる。
 私の様子を確認して、私が苦痛だけを感じている訳では無い事を察してしまったのだろう、ズルズルと音が聞こえそうな程ゆっくりと抜き取られてゆき、全てが抜ける前にまた奥へと戻される。

「あぁ、やぁあ……」

 出し入れの度に違う場所が刺激されて、その度にビリビリとした痺れが腰の内側で広がる。

 気持ち良い。

 言ってはいけない言葉が口から零れてしまいそうになる。
 自由を奪われて犯されているという状況を思い出せと私は理性を繋ぎ止めようとしているけれど、齎される凶悪な快感は私の自尊心や尊厳を食い荒らしていく。

「もう、いやぁあっあぁん……あぁ」

 口では否定していても、身体が陥落しているのは明白だった。私の喘ぎ声に後押しされたのか、晴人さんの動きが徐々に速まり、何度も何度も強く中を抉られていく。

「あっくぅっ気持ちいいです。瑠璃さん! 瑠璃さん!!」
「んぐっやあんっはるとさぁんっあんっ」

 身体の中を暴れまわる晴人さんに、私は嵐の中の小舟のように翻弄されて、呻き声みたいな喘ぎ声だけが私の喉から絞り出される。
 私の唇から彼の名前が漏れた瞬間が彼の何かの引き金を引いたのか、更に腰の動きが速まってどんどん私の中の快感も強まっていく。

「あ、もう。くっ」
「あああああああ!!」

 晴人さんが一際強く私の中を突いた瞬間、私はもう何度目か分からない絶頂を迎え、その意識が混濁していくのを感じた。

「愛していますよ。私の蝶。今はまた全てを忘れてお休み」

 意識が混濁していく私に最後に送られたキスは、ブランデーの味がした。





 目を覚ますと、晴人さんのリビングのソファで寝ていた。
 毛布をかぶっていたのがずるりと落ちてしまったので、寝ぼけながら拾って畳む。
 テレビの上に掛けられた壁掛け時計は正午を大きく回っていることを示していた。

 誰も居ないのかと思ったら玄関に通じる扉が開いて、買い物袋を下げた晴人さんが入ってきた。

「あ、起きたんですね。瑠璃さん」
 
 外出着に着替えている晴人さんは買い物をしてきたらしく、カウンタ―テーブルに袋に入った食材を無造作に置いた。

「あれ? 私」
「お仕事でお疲れだったのではないですか? テレビを一緒に見ていたら寝てしまったんですよ」

 うわっ他人様の家で何つー失態。と、慌てて立ち上がろうとして、違和感に顔を顰める。

「ご、ごめんなさいトイレに行ってもいいかしら」
「どうぞ、昨日着替えて貰ったバスルームの隣です」

 慌てて駆け込むと、下着がしとどに濡れていて気持ち悪い状態だった。
 生理かと思ったら違っていたので一先ずホッとする。あの高そうなソファーを血で汚してしまったら大変だ。

「最悪。またあの夢を見ていたのかしら、覚えてないんだけど」

 しかも今回は腰や陰部の辺りが重だるくて、まるで致してしまった直後のようだ。そんな筈無いのに。

「まさか寝ぼけていじったりとかしてないでしょうね……」

 そうならもう二度と晴人さんに会えないわ。恥ずかしくて。
 いつまでもトイレに籠っている訳にもいかないので、早急に帰るべくトイレットペーパーで下着をぬぐいトイレを出る。
 スウェットにもしみていたけどばれませんように。

「ごめんなさい、今日は夕方用事があったのを思い出したの。後日お詫びをするから今日は帰るわ」
「そうですか。少し遅いですがランチをご一緒したかったんですけど」
「本当にごめんなさい。私の服はどこかしら」

 昨日もこの部屋に連れてこられて服を着替えたのだけれど、元々着ていた服はそのまま預けていた筈だ。

「それならバスルームに吊るしておきましたので、シャワーも良かったらどうぞ」
「ありがたくいただくわ」

 スウェットのシミがばれないように晴人さんを正面に置く状態をキープしながら、バスルームに飛び込む。

 ティーシャツでスウェットをくるみ。下着はお風呂場に持ち込んで手洗いしてしっかりと搾り、仕上げに髪と一緒にドライヤーで乾かした。
 何とか帰れる身支度を整えてリビングへ出ると、晴人さんはコーヒーを飲んでくつろいでいるところだった。

「本当にお世話になりました。後日服も洗濯してお返しするわね」
「服なんか洗濯機に放り込んでくれてて良かったのに」
「いえ! 後日! 洗濯してお返しします!」

 昨日いただいたアクセサリーとドレスと、Tシャツとスウェットを、鞄に詰める。予めドレスをくれると聞いていたので旅行で使うような大きなカバンを持ってきていたのが幸いだった。ドレスは来週末の友達の結婚式で着ていく予定だ。レンタルする予定だったので出費が浮いてラッキーだ。ていうか食事やらドレスやら、晴人さんにはお世話になりっぱなしで頭が上がらないな。

 私は送っていくという晴人さんの再三の打診を断り、それならと呼んでもらったタクシーで帰宅した。支払いをしようとしたらお金は預かってますのでおつりをどうぞと逆にお金を渡されてしまい。私は狐につままれたような気持ちで、携帯で晴人さんにお礼と次の約束を取り付けたのだった。



 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

獣人の里の仕置き小屋

真木
恋愛
ある狼獣人の里には、仕置き小屋というところがある。 獣人は愛情深く、その執着ゆえに伴侶が逃げ出すとき、獣人の夫が伴侶に仕置きをするところだ。 今夜もまた一人、里から出ようとして仕置き小屋に連れられてきた少女がいた。 仕置き小屋にあるものを見て、彼女は……。

【本編完結/R18】獣騎士様!私を食べてくださいっ!

天羽
恋愛
閲覧ありがとうございます。 天羽(ソラハネ)です。宜しくお願い致します。 【本編20話完結】 獣騎士団団長(狼獣人)×赤い瞳を持つ娘(人間) 「おおかみさんはあたしをたべるの?」 赤い瞳は魔女の瞳。 その噂のせいで、物心つく前から孤児院で生活する少女……レイラはいつも1人ぼっちだった。 そんなレイラに手を差し伸べてくれたたった1人の存在は……狼獣人で王国獣騎士団のグラン・ジークスだった。 ーー年月が経ち成長したレイラはいつの間にかグランに特別な感情を抱いていた。 「いつになったら私を食べてくれるの?」 直球に思いを伝えてもはぐらかされる毎日……それなのに変わらずグランは優しくレイラを甘やかし、恋心は大きく募っていくばかりーーー。 そんなある日、グランに関する噂を耳にしてーーー。 レイラ(18歳) ・ルビー色の瞳、白い肌 ・胸まである長いブラウンの髪 ・身長は小さく華奢だが、大きめな胸 ・グランが大好きで(性的に)食べて欲しいと思っている グラン・ジークス(35歳) ・狼獣人(獣耳と尻尾が特徴) ・ダークグレーの髪と瞳、屈強な体躯 ・獣騎士団団長 剣術と体術で右に出る者はいない ・強面で冷たい口調だがレイラには優しい ・レイラを溺愛し、自覚は無いがかなりの過保護 ※R18作品です ※2月22日22:00 更新20話で完結致しました。 ※その後のお話を不定期で更新致します。是非お気に入り登録お願い致します! ▷▶▷誤字脱字ありましたら教えて頂けますと幸いです。 ▷▶▷話の流れや登場人物の行動に対しての批判的なコメントはお控え下さい。(かなり落ち込むので……)

オネエなエリート研究者がしつこすぎて困ってます!

まるい丸
恋愛
 獣人と人の割合が6対4という世界で暮らしているマリは25歳になり早く結婚せねばと焦っていた。しかし婚活は20連敗中。そんな連敗続きの彼女に1年前から猛アプローチしてくる国立研究所に勤めるエリート研究者がいた。けれどその人は癖アリで…… 「マリちゃんあたしがお嫁さんにしてあ・げ・る♡」 「早く結婚したいけどあなたとは嫌です!!」 「照れてないで素直になりなさい♡」  果たして彼女の婚活は成功するのか ※全5話完結 ※ムーンライトノベルズでも同タイトルで掲載しています、興味がありましたらそちらもご覧いただけると嬉しいです!

【完結済み】オレ達と番の女は、巣篭もりで愛欲に溺れる。<R-18>

BBやっこ
恋愛
濃厚なやつが書きたい。番との出会いから、強く求め合う男女。その後、くる相棒も巻き込んでのらぶえっちを書けるのか? 『番(つがい)と言われましたが、冒険者として精進してます。』のスピンオフ的位置ー 『捕虜少女の行く先は、番(つがい)の腕の中?』 <別サイトリンク> 全年齢向けでも書いてます。他にも気ままに派生してます。

オオカミの旦那様、もう一度抱いていただけませんか

梅乃なごみ
恋愛
犬族(オオカミ)の第二王子・グレッグと結婚し3年。 猫族のメアリーは可愛い息子を出産した際に獣人から《ヒト》となった。 耳と尻尾以外がなくなって以来、夫はメアリーに触れず、結婚前と同様キス止まりに。 募った想いを胸にひとりでシていたメアリーの元に現れたのは、遠征中で帰ってくるはずのない夫で……!? 《婚前レスの王子に真実の姿をさらけ出す薬を飲ませたら――オオカミだったんですか?》の番外編です。 この話単体でも読めます。 ひたすららぶらぶいちゃいちゃえっちする話。9割えっちしてます。 全8話の完結投稿です。

黒豹の騎士団長様に美味しく食べられました

Adria
恋愛
子供の時に傷を負った獣人であるリグニスを助けてから、彼は事あるごとにクリスティアーナに会いにきた。だが、人の姿の時は会ってくれない。 そのことに不満を感じ、ついにクリスティアーナは別れを切り出した。すると、豹のままの彼に押し倒されて―― イラスト:日室千種様(@ChiguHimu)

獣人姫は逃げまくる~箱入りな魔性獣人姫は初恋の人と初彼と幼馴染と義父に手籠めにされかかって逃げたけどそのうちの一人と番になりました~ R18

鈴田在可
恋愛
獣人は番を得ると、その相手しか異性として見なくなるし、愛さなくなる。獣人は匂いに敏感で、他の異性と交わった相手と身体を重ねることを極端に嫌う。獣人は番を決めたら死ぬまで添い遂げ、他の異性とは交わらない。 獣人の少女ヴィクトリアは、父親である獣人王シドの異常な執着に耐え、孤独に生きていた。唯一心を許せるリュージュの協力を得て逃げ出したが、その先で敵である銃騎士の青年レインに見つかってしまう。 獣人の少女が、貞操の危機や命の危機を脱しながら番を決めるまでの話。 ※マルチエンドでヒーロー(レイン、リュージュ、アルベール、シド)ごとにハッピーエンドとバッドエンド(レイン、リュージュのみ)があります ※⚠要注意⚠ 恋愛方面含む【どんでん返し】や【信頼していた人物からの裏切り行為】が数ヶ所あります ※ムーンライトノベルズにも掲載。R15版が小説家になろうにあります。 ※【SIDE数字】付きの話は今後投稿予定のナディアが主人公の話にも載せます。ほぼ同じ内容ですが、ストーリーをわかりやすくするために載せています。

【R18】おおかみさんは十五年間待てをしました

夕日(夕日凪)
恋愛
狼さんはその日『運命の番』に出会いました。 けれど――運命の番は三歳の幼獣だったのです。 番の成人まで十五年間、激しい我慢を強いられる男盛りの狼獣人ダリウスと、その番ローゼのお話。 10話以内でさっくり終わる予定です。

処理中です...