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しおりを挟むメンヘラと呼ばれる女子の腕の傷跡を見て、知識を披露するように得意げに言葉にする先輩にも、色々な憶測を交えてよく噂されている女子にも、特別な感情はわかなかった。どうにでもいいことだった。
その女子が何を苦しみ、何をしようと、人に見られる場所にさえしなければなかったことになるのに、どうして他人から見える『そこ』にしているのかという疑問さえ、一瞬で消えるほど。
…というか、それ以上に
優秀で人より上の地位にいる、かつ後輩の指導もするその男の口から出たもの…先入観に基づいた主観的な言葉が意外だった。
仕事のことで相談があると言って、ほぼ放置部屋と化している部屋に来てもらうことにした。
「先輩」
「どうした?何の用――」
声が消える。
塞ぐ。咥えさせる。殴る。
思いつく限りのやり方でひどく、手荒に、先輩を犯した。
休憩室に響く淫音。苦痛。叫び。鈍い音。
下腹部を締める快感に、特別な悦びはない。愛情も、嫌悪もそこには存在しない。ただの動物的な行為。
どうせこの仕事はやめるつもりだった。
だから、最後にこのくらいはしてもいいだろう。
後で面倒なことにならないように写真も撮った。
先輩は股を開き、いつもの澄ました顔をぐちゃぐちゃにして泣いていた。
この写真を見られたらどうなるか、わかってますよね?とかけた声に、頷く以外の選択肢はない。
床に放置して帰ったから、先輩がいつ頃職場を出たのかは知らない。気にもならなかった。
――あれ以来、先輩は人に怯えるようになった。暗くなった。身だしなみを整えなくなった。…そして、日が経つごとに身体の傷跡が増えている。と、元同期の人間から聞いた。
「……せーんぱい」
「っ、」
会社を出てきたところを、腕を掴んで引き留めた。
「そんなに目立つ場所に傷を増やして、…構ってほしいんですか?」
問いかけた言葉に、血の気のない先輩の顔が、悲鳴を上げる寸前に歪んだ。
END
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