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雪華(せつか)
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「ふんふんふん~~~」
がさごそ。
ごそごそ。
口ずさみながら、さっくんと一緒に作ったあれやそれらで山盛りてんこもりの箱の中を漁る。
こわいけど可愛いものとか、かっこよくてキラキラしたものがいっぱいあって、わーって嬉しくなりながらこれを手にとっては置き、それを手にとっては置きと悩むに悩んだ。
数秒の時間をかけて思案し、……よし、これだと決めて立ち上がった。
「ふんふ~、…っ、ぅわ」
久しぶりに自分で地に足をつけたからか、ふらふらする。
と、倒れる前にすぐに身体を受け止められた。
「夏空様、ご機嫌ですね」
「もうすぐ、はろうぃーんあんどくりすますだからな。…というか、別にだっこされなくても動けるぞ」
「ですが、こうしていれば絶対に転んだりしないでしょう?」
受け止めた流れでオレを抱き上げたさっくんの台詞に、…むぅと口を噤む。
この数日熱で寝込んでいたから、絶対にないとはいいきれない。
それに、みんな家ではこうやって家族に抱き上げられて移動してるらしいけど、たまには自分で歩かないと本気で歩けなくなりそうだ。
頑としておろしてくれないから結局オレの指示に従って、今手に持っている飾りを付けたい場所にさっくんがつれていってくれた。
「ハロウィンはわかりますが、クリスマスはまだ二か月も先なのに毎年準備が早いですね」
「……む。べ、別にいいだろ」
「はい。ただ、待ちきれずに目を輝かせて天使の笑顔ではしゃいでいらっしゃる夏空様もとても麗しく…心臓が苦しいほど可愛くて仕方がなくてどうしたらいいかと…」
「っ、ぐ、…そ、そんなに強くぎゅうぎゅうされるとオレの方がくるしいぞ…」
抱き上げてもらったまま、カーテンレースや壁に飾り付けをしている…最中にはぁはぁと変態みたいに興奮おさえきれぬといった感じにぎゅーぎゅーー抱きしめられて、落ちそうになるしくるしいしでさすがに苦言を呈し反抗した。
「あーもう、おりる。自分であるくからな」
「…っ、夏空様、…そんな、一人で歩かれては転んでけがを、」
「いちいち大げさすぎるんだよ。問題ない」
じたばた暴れて、最終的に床に足の裏をつけることに成功する。
裸足がふろーりんぐに触れて、自分の体重をすぐにはコントロールできずにぺたぺたと二歩ほど一瞬無駄に動いてしまう。
少しだけふらつきつつも、なんとか立った。
こんだけ筋力が弱ってるのはさすがにまずいし、これ以上言う通りにはしてやらないとぷいとそっぽを向く。
腕を組んで抵抗の意思を見せれば、……わざとらしくため息を吐く気配がした。
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