242 / 293
家族ごっこ
15
しおりを挟む***
数日後、少しだけ良くなった身体を動かし、今はソファーで横になっている。
今さっくんはオレが希望したプリンとか、他の食材を買いに外に出かけている。
居間にまで来ているのはさっくんには秘密だ。
本当は危ないからベッドから動くなと言われていた。
この数日間、自分で歩けるって言ったのに、トイレに行くのもお姫様抱っこで連れていかれていたから余計に筋力は皆無に等しい。
「……」
結局、聞けなかった。
さっくんの様子がいつもと違う理由も、何も。
…むぅと唸る。
と、
ピンポーン
家のチャイムが 鳴った。
「え、あ、ど、どうする…」
前に、さっくんが家にいないときは出るなと言われたのを思い出す。
…でも、もし宅配便とか大事な用だったらさっくんが困るもんな。
(変な人そうな感じだったら無視しよう)
そう決めて、こっそりとインターホンを覗く。
「吉野…?」
画面には、見慣れない茶髪の学生服の生徒がいた。
隣の席の、男。
『音海、いるんだろ?ちょっと出て来いよ』
「え、なんで」
というか、何故家がわかったんだ。
教えたことなんかない。
『この前のことで、話がある』
「前?」
何故かオレがここにいるのがわかっているかのように話し続けるから、焦った。
無視するわけにもいかない。ボタンを急いで押す。
前、というと吉野関連は良い思い出がないというか、『ばらされたくないなら抱き付いてみろ』という言葉を思い出して嫌な気持ちになった。
『早く出て来いって』
「出れないんだ。今さっくんがいないから」
『はぁ?』
呆れた声が聞こえるが、仕方がないじゃないかと言いたい。
オレが無断で家を出て危なくならないように、ドアノブに触るだけで電流が走るようになってるから、出ようと思っても出れない。
1
お気に入りに追加
282
あなたにおすすめの小説
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
ヤンデレだらけの短編集
八
BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。
全8話。1日1話更新(20時)。
□ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡
□ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生
□アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫
□ラベンダー:希死念慮不良とおバカ
□デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち
ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。
かなり昔に書いたもので、最近の作品と書き方やテーマが違うと思いますが、楽しんでいただければ嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる