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涼とお家で隠しごと
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しおりを挟む(”涼が壊れた”って、どういう、意味だ…?)
機械ならまだわかる。言い方に違和感はない。
でも、涼は人間だ。機械みたいに壊れたりしない。
…それに、オレがって、どうして、オレは、何もして、
「こわ、れた…?涼が、?なんで?オレ、」
「無駄ですよ。たとえ貴方が誰を好きになったとしても、…この身体は既に、俺以外には懐かないようにしてありますから」
「…っ、」
微妙に噛み合わない会話。
聞き返そうとしたオレの言葉を遮るように、頭に回った手に軽く寄せられ、そこに柔らかい感触が触れた。
唇で口付けられたのを知って、驚いて小さく震えた。
「嗚呼、可哀そうですね。やっとできた最愛の人を亡くして、壊して…。でも、俺が慰めてあげますから、好きなだけ泣いていいですよ。ずっと傍にいます」
「……」
そのまま後頭部に回された手で、ふわりと抱きしめられる。
濡れた身体。肌越しに感じる鼓動の音。
…よしよしと頭を撫でられながら、
早口で紡がれるその言葉たちに、眉を寄せた。
(…なんでだろう。さっくんは、オレに言ってるはずなのに、何故か全部が違う誰かに向けて放たれているように感じる。)
「…ど、…して……」
戸惑い、思わず零した疑念は掠れていた。
…口を噤み、ほんのわずかに息を吐く。
その身体を押して、遠ざけた。
「…離せ」
触れる程度でしか抱きしめられてなかったからか、いとも簡単に距離ができた。
「オレの気持ちも知らないで、わかったようなことを言うな」
「…っ、」
散々言いたい放題好き放題されてなんだよばか、と内心付け加えて文句を言いつつ、離した相手の顔を見上げて…、やっぱり、と思う。
「さっくん」
「……、…………はい」
名前を呼べば、返事と同時に、ふいと俯き、視線を逸らされた。
「壊れた云々のことはとりあえず置いといて、まずは言いたいことがある」
む、と不機嫌に眉を寄せて、その両頬に、包み込むように手を添える。
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