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涼とお家で隠しごと
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しおりを挟む「……?」
「じゃ、行こうか。夏空の家」
「……うん」
朝霧がドタバタと出ていった後を少し茫然として眺めていると、なんだか楽しそうに笑いながらかけられた言葉。頷き、鞄を持って立ち上がる。
いつもは自分で持って歩かない鞄が、やけにずっしりと重く感じた。
「そういえば、ずっと気になってたんだけどさ」
「何?」
廊下を歩きながら、ぽつりと小さく思い出したように零される。
隣を見れば、なにやら意味深な顔つきでこっちを見ている涼と目が合った。
「夏空って意外に女遊びしてんの?」
「女遊び?」
なんだそれ。と首を傾げれば、純粋培養のお坊ちゃまでも流石に意味くらいわかるだろ、と笑われる。
「セックスしまくってるのかなって。女と」
「…っ、せ、…してない、けど」
その言葉の意味は、別の名称だけど保健体育の教科書で読んだ記憶がある。
どんなことを具体的にするのかは…なんとなくしかわからないけど、でも、それぐらい知ってる、とムっとしつつ、大人びた表情でその直接的な単語をあっさりと口にした涼に戸惑った。
「じゃあ尚更だよ。善くもまぁ過去に告白してきて、今も自分に未練たらたらな女子をあんな誘い方で家に招こうとしたもんだ」
「…なんだよ。別に、家に呼ぶくらい問題ないだろ」
不機嫌になったオレの機嫌取りをしようとしたのかよしよしと頭を撫でてこようとする手を払う。
と、
「問題あるよ」
ばっさりと意見を否定された。
「なんで?」
「……」
戸惑って吐き出した疑問に、涼がはぁーと大げさな溜息を吐く。
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