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貴方の首筋にかぶりつく
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しおりを挟むなんで…?
なんで、なんで、こうなった…?
その疑問だけが脳内をうめつくす。
(…『嫌い』、って言ったから…?)
「…っ、ぅ、ぁ…」
…そんなことで、ここまでするか…?
他に何か悪いことした?オレ、何かさっくんが怒るようなことした?
わかんない。わかんない。…なんでなのか、わからない。
どうしてこんなことになったのか、なんて今この状況で冷静に考えていられるほど呑気でもなかった。
薄く目を開ける。
そうすると、至近距離に余裕がなさそうな表情で瞼を軽く伏せ、舌を擦り合わせながらオレに口づけているさっくんの…艶かしいまでに色気を醸し出してる顔がある。
そして、それは止まることなく、後頭部に回されてる手とは別に…大事な場所を掻き回し、激しくしてくる指。
(……なにかが、怖い、)
さっくんじゃない。
いつもの、さっくんじゃない。
普段なら、もっと優しくしてくれる。褒めてくれる。笑顔で話しかけてくれるのに。
今、オレと肌を触れあわせているさっくんの瞳は…なんだか、知らない人みたいだった。
知らない男の人に、キスされて、身体を触られて、…それだけじゃない、…もっとすごいことをされている。
そう思ったら、一瞬でいやだ、って感情が夥しいほど全身を覆い尽くした。
「、」
「っ゛!!」
思う存分口の中を舐められてる最中、一瞬躊躇って…思いきり歯を閉じた。
ぐにゃっとやわらかいものが歯に当たり、嫌なかんしょくと、ほぼ同時に苦い血の味がする。
舌を噛んで相手が怯んだすきに思い切り突き飛ばす。
「…ぅ、や…、わ…っ」
べちゃっ、
逃げるために、ソファーからおりようとして、
けど、少し下ろされていたズボンが脚に引っかかり、加えてガクッと力の入らなかった膝が折れ、床に崩れ落ちた。
…震える。
ふるえる。
それでも、なんとか逃げないと、逃げないとってそればっかりで、
「…ぁ、」
「っ、ひ、やめろ…ッ、もういやだ…!触るな、もうやだ…ッ、やだ…!」
ぼろぼろ涙を流しながら、動かない手足をふるいたたせて必死に歩こうとしていると、近くに気配を感じて、今度こそ、ぜんしんできょぜつする。
べたり、
汗で濡れ、粘着力を失くして半分ゆらゆらしていた冷えピタがとうとう額から落ちた。
けど、そんなことはどうでもいい。
もしかしたらまた捕まえられて、さっきの続きをされるんじゃないかと思ったら、座りこんでなんていられなかった。
怖いって気持ちを、我慢なんてできなかった。
いやだ、近づくな、いやだ、と嗚咽を漏らして顔を覆い、一所懸命に抜けた腰を放置で、手だけを動かす。
でも、結局ほとんど動けなくて、床にへたりこんだまま頭を床に押し付けた。
すぐに涙が手を伝って床がべちゃべちゃになる。
「…きらい、だ…っ!」
「…っ、」
「さっくんなんかきらいだ、だいっきらい、だいっきらいだ…っ!」
うあぁぁあと声をあげて泣きながら、叫ぶ。
傷ついたっていい。
傷つけばいい。
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