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貴方の首筋にかぶりつく
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しおりを挟む(…そうだよな。ずっと、一緒だったもんな…)
確かに逆で考えたら…
もし、さっくんが誰かに何か言われたからって理由でオレから離れたら凄く寂しくなるし、辛いだろうと思う。
…オレ、自分のことばっかりで…さっくんのことをちゃんと考えてなかった。
「……ごめんな」
「…いいえ。そのように純粋で無垢でいらっしゃる夏空様を、俺はお慕い申し上げておりますので」
さっくんの髪を撫でながら謝ると、安堵したような吐息を零した。
身体を離し、微かに笑みを浮かべて、両手を包むように握られる。
「今後もご友人からのお言葉はひとつの考え方としてお受け取り下さい。先ほどの自慰行為や、入浴の件も同様です」
「ふむ。わかった。そうする」
それぞれの家には、それぞれのやり方がある。ってことだな。
ぎゅってオレから抱き付いて、もう一回小さく謝る。
抱きしめ返してくれるその温度にほっとした、その時、
きゅるる~…
「…ぁ、」
「ふふ。丁度お腹の合図もいただきましたので、お食事を再開しましょうか」
「……うん」
ちょっと恥ずかしい。
また最初みたいにさっくんの膝の上に乗っけられて、あーんをしてもらった。
次々に食べて、食後の大好物のバニラアイスも食べ始める。
「…っ、おお…」
いつもと違う感じに作ってくれたらしい。
とろとろでふわふわですごく気に入った。
自然と頬が緩んでにんまりする。
「美味い。流石さっくんだな!」
「有り難き幸せに存じます。夏空様に喜んでいただけることが、他の何よりも嬉しいです」
「…だから大げさなんだって、」
オレのひとつひとつの気軽な言葉で、そこまで幸せそうな顔をされると…なんだかむず痒すぎる。
「…ふん、」
照れ隠しをするように、ぷいとそっぽを向く。
………と、
(…そうだ。いいこと思い付いた)
「貸して」
「…っ…え」
さっくんの手にあるスプーンを奪い、…近くに置いてあったアイスをすくって口に入れた。
ぱくり。
……冷たい。
「……夏空様…?」
特製のバニラアイスは濃厚で、すぐに口の中の体温で溶けそうになる。
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