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飼い殺し
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しおりを挟む嫌に決まってるだろ。
嫌じゃないわけない。
苦しい。苦しい。助けて。
ひとりじめにしたい。
誰にもとられたくない。
おれだけ見ててほしい。
好きになってほしい。
……おれだけを 愛して、ほしい。
…………
…………………………
――――夜、
床に力なく尻をつけて障子に額を押し付けたまま、動けないでいた。
「………」
当然、彼は部屋にいない。
今までとはわけが違う。
くーくんは何も言わずに行ってた。
けど、今回はおれが、…おれ自身が、その行動を促した。
本当に、おれをおいていったの。
本当に、おれの気持ちを察して傍にいてくれないの。
もしかしたら、今にでもくーくんが「やめた」って帰ってきてくれるんじゃないかって。
もしかしたら、障子のすぐ向こう側でおれが出てくるのを待ってるんじゃないかって、思って、
けど、
「……ぁ、…ぅ、…」
そこに、いない。
(…今から、嫌だって言えば間に合うかな……)
今更引き留められるはずもないってわかってるのに
使用人の人に、くーくんの場所を聞いた。
わからない、って返答もあると思ったのに呆気なく、居場所を教えてくれた。
……さまようように屋敷内を歩く。
ふいに、もしかしたら、今までのは全部お芝居だったんじゃないかって、思いついた。
木の板の上で歩みを進めながら、そんな気がしてくる。
澪を好きって言ったのも偽りで、行ってみたら……何もしてないんじゃないかと期待を抱き始めた。
ああ、そうだ。
そうだったのかも。
だって、おれと恋人になるって約束したんだから。
他の人とそういう関係になるはずがないんだ。
くーくんは嘘をついていたのかもしれない。
おれに構ってほしいから、あんな冗談を言ったんだ。
「……あはは、」
笑いさえ零して、少し気が楽になる。
にもかかわらず、一秒が一時間に感じるほど、足が震えて重い。
「――――………」
やっとたどりついた部屋の前で、そんな幻想は打ち砕かれた。
……行かなければ良かった。
見なければ 良かった。
「………っ、」
ドクン…ッ、と心臓が鉄パイプで殴られたような衝撃を受ける。
身体の奥深くの大事な部分を鋭利な刃物で突き刺され、グチャグチャにされる。
………まるで、『あの日』の再来のように
微かに開いている障子と
「ぁんっ、ん…っン゛ん゛ッ…っ、ぃ゛、ォ゛ッ、」
その部屋の中で行われている、……愛し合う者同士の情事。
「イ゛…ッ、ぁ゛、お…っ、ぃ゛、ざ、…っ、ァ゛ッ、…ずぎ、ぃ゛…っ、好、ぎ、ぃ…っ、あ゛、ぃ゛、し゛…っ、」
じゅぶっ、ぢゅぶ…っ、ぱんぱん…ッ、
乱れた息遣いも、
布が擦れ、腰がぶつかる度に音を鳴らし、腰を引いたり押し付けたりしてずぶずぶと抜き差しして前後しては見えている結合部も、部屋中に充満する匂いも、すべてが、これは夢じゃないと訴えてくる。
ドクドク、と鼓動が妙に脈打ち、心臓が歪む。
――――、ふいに、目が合った。
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