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不良と
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しおりを挟む夜の公園に静かに淡々と響く、凛とした声。
(…この、声……)
その方向に顔を向けるよりも早く、また別の声が聞こえた。
「…っ、が…ッ、あ、あ゛ああああ…!!」
今度は、絶叫にも似た、苦痛の混じった悲鳴 で
夜の静かな公園に木霊するその叫び声に、何が起こってるのかわからずに目が声の方に吸い寄せられる。
「…さすがにまーくんがトモダチのためにここまで身体を張るなんて、予想できなかったな」
悲しげに目を伏せる冷たく整った顔。
こっちにゆっくりと歩いてくる姿に驚いて目を見張る。
それは、ここで目にするはずのなかった人物。
「…あお、い?」
本当、に…?
信じられない思いで目を瞬きながら、確かめるようにそう声を零した。
「うん。迎えに来たよ、まーくん」
彼は俺の戸惑いに応えるように頷いて、首に巻いたマフラーを少し下げて微笑む。
(なんで、こんなところに…)
サラサラの黒髪と端整な顔。
制服じゃない。
私服で、上品なコートを着ている。
公園の街灯に照らされた蒼の姿は。
その並外れて優れた容姿と優しい微笑みによって、まるでデートの待ち合わせにでも訪れたのかと誤認してしまいそうなほど絵になっていた。
「……っ、」
でも、そうじゃない。
そのために、来たわけじゃないことは一目瞭然だった。
俺が、目を見張ったのは
息を、呑んだのは
……蒼がここにいるっていうことだけじゃなくて。
「…そ、れ…」
その手に握られている銀色のナイフから、ぽたぽたと赤い色の”何か”が彼の足元に円形のモノを作っていた。
赤い液体が刃の先端から落ちるたびに、水たまりは大きくなっていく。
嫌な予感がして、今蒼が来た方向に目を向けると
………男の一人が倒れていた。
その身体の下の地面には、赤いモノが広がっていて。
「ぁ…あ…」
わなわなと唇が震える。
……………………アレは、『何』だ。
人が、血の海に、倒れて…。
目の前の光景を、状況を、理解することができない。
ぼたぼたと刃から垂れるソレを見た男たちは、ひっと悲鳴のような声を上げて顔を恐怖に歪めた。
「…あ、蒼…様…」
「……(…え?)」
(”蒼様”…?)
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