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見えない糸の絡まり
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「おはよう」
朝、俊介に挨拶すると「おう、真冬。おはよ」と爽やかな笑顔が返ってくる。
少しは元気になったみたいだけど、やっぱりどこかぎこちない。
俊介が、耳元に口を近づけてきた。
「どうだった?一之瀬にちゃんと今日の帰りのこと、伝えた?」
その俊介の言葉に、なんて返せばいいかわからずに俯いた。
「え、言わなかったのか?!」と驚いて目を見開かれて、慌てて「違う」と言いながらぶんぶん首を横に振った。否定の声を上げる。
「…言った、けど…」
昨日のことを思い出して口ごもった。
前に俊介と出かけた時に俺がメールで伝えたことに怒ったんだと思い出して、結局電話した。
俺から電話したことを、蒼は喜んでくれた。
…最初は普通に楽しく話してたんだけど、放課後の件について話した瞬間に無言になってしまった。
思いのほかその時間が長くて、やっぱり怒ったかなと考えていたら「俊介ってやつ?」って聞かれて。
言葉を濁したら「わかった」と、ひやりとする声とともに通話が切れた。
俊介については触れずに、用事があるって言ったんだけど…見抜かれていたらしい。
その流れをかい摘んで話せば、俊介は苦い顔をして「ごめん。真冬」と何故か謝られた。
「俺の言い方が悪いから蒼を怒らせちゃってるんだと思う」と首を横に振っても、俊介は深刻な顔をしたままだった。
「あと、1つ、俊介に言いたいことがあって」
「んー?」
俊介は、怒るだろうか。
あんなに協力してくれようとしたのに、こんなこと言ったら怒らせてしまうだろうか。
嫌われてしまうだろうか。
「…やっぱり、俺」
蒼から離れることなんて、できないかもしれない。
そう口にしようとした瞬間に教師がクラスに入ってきて、会話はそこまでになった。
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