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俊介と、
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……………
意外に、蒼からは何も聞かれなかった。
怒ってたらどうしよう、嫌われてたらどうしようと不安だったけど、蒼はいつもと変わりなくて。
むしろ俺から「あの、昨日は…っ」と声を挙げれば、「うん、知ってる。青木ってやつと一緒に遊びに行ったんだっけ」と、思い出したように頷いて首を傾げていた。
「楽しかった?」と聞かれて「…う、ん…。たの、しかった」とちょっと、いや…結構、蒼の反応が怖くて恐る恐る頷けば、「なんでそんなに怯えてるの」と苦笑されて、そんな俺を安心させるようによしよしと頭を撫でてくれる。
「まーくんが嬉しそうでよかった」と優しく微笑んでくれる彼とその手に安心して、ほっと肩の力を抜いた。
……怖くない。怒ってなかった。
なんか、同級生なのに下の子どもにやるように頭を撫でてくるから、これって周りから見たらシュールというか、……恥ずかしい。
でも、頭を撫でられるのは嫌いじゃなくてむしろ好きだから、なんだかムズムズしてくすぐったい気持ちになった。
(……俺の思い過ごしだったのかも)
そうだ。
一日俺と帰らなかったくらいでそんなに怒るわけない。
蒼は、昼のあんなことで寂しくなってた俺とは違うんだから。
そうして、すっかり緊張の解けた俺は気が緩んで、聞かれるままにその後にあったことも事細かに蒼に話したのだった。
俊介の弟のこと。
俊介のお母さんのこと。
俊介の家でやったゲームのこと。
身振り手振りを含めてどれだけ楽しくて、すごい良い家庭だったかを表現すると、そっかと相槌を打って頷いてくれる。
そんないつも通りの蒼の反応に、俺も嬉しくなってへへ、と笑った。
…なんか予想以上に怯えすぎて、逆に申し訳なかったな。
「そしたら、そのゲームでさ」
「うん」
「…俊介が、って……ぁ、」
少し落ち込みながら、しばらくそうやって話していると俺の家の前についた。
家に寄っていくか聞こうとして振り返る。
……と、
「あ、蒼…?」
背中に回された腕に抱き締められて、驚く。
「そんなに昨日楽しかったんだ?」
「う、うん、」
戸惑って見上げれば、俺の頬を優しく撫で、彼は綺麗な微笑みを浮かべた。
それは、…いつか見た見惚れるような笑顔で、視線を奪われてしまう。
「まーくん」と呼びかけてくる彼に首を傾げた。
こんな風に家の前で抱きしめられたこともなかったから、余程何か言いたいことがあるんだろう。
…と、
「……っ、?」なんだろう。
わからないけど、何故か彼を怖いと感じて、無意識に足が後ろに下がった。
「痛…っ」
引き留めるように掴まれた手首に、痛みが走る。
「あの、どうし、」
「今日の夜、泊まってもいい?」
別に、その言葉自体は特におかしなことではないはずなのに。
変な汗が滲んで、すぐには返答ができなかった。
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