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しおりを挟むそれから綺麗な優しい笑みを浮かべて、よしよしと頭を撫でられる。
「頑張ってるよ」
「…っ、」
その言葉に、大げさなほどびくりと肩が震えて
「まーくんは、頑張ってる」
「…っ、……おれ、がんばってる…?」
震える声で、そう問えば
彼は躊躇うことなく、肯定した。
「うん」
「…っ、」
力強いその声が、髪に触れる手が優しくて視界が滲んだ。
瞼の裏が、熱くなる。
「俺はまーくんをずっと見てたから、わかるよ」
「……ぅ、」
「一生懸命に努力してるってこと、ちゃんとわかってるから」
「…ッ、うっ、う゛あ、あ…っ」
その言葉が嬉しい。
どうしようもなく、嬉しい。
弱った心にじわじわと何かがふわりと沁み込んで、眼球が熱くなって。
おさえようとする間もなく、ぶわあと目から零れた涙がシーツに零れ落ちていった。
なんでこんなに悲しいんだろう。
なんでこんなに嬉しいんだろう。
「…っ、ふ…っ、えっ」
”頑張ってる”
誰かにそう言ってもらえるということは、自分の存在を認めてもらえているようで。
自分が誰かの目にうつっているんだってことを知って、酷く嬉しくて。
生きてていいんだって。
おれは誰かに認められたから、少なくとも認められた今だけは存在してていいんだって。
…そう、言われてるような気がした。
記憶の中にいる知らない”誰か”にお前なんかいなければよかったのに、と言われたことで空っぽだったはずの場所を彼の存在が優しく埋めてくれる。
「―――っ、う…っ、ひ…っ、く…う…っ」
嗚咽が零れる。
子どもみたいに泣きじゃくっていると、蒼がよしよしと頭を撫でてくれるからもっと涙が溢れた。
何もかも分かったうえで、そんな言葉をかけてくれているような彼のことが、
そうやって泣き続けるおれを慰めてくれる、少し寂しげな顔をした彼のことが、
…改めて、…他に代えられないくらい、大好きなんだと思った。
_________
嗚呼…こうやって、彼とずっと一緒にいることができたら。
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