手足を鎖で縛られる

和泉奏

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修学旅行

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男と男が愛し合うのを見るのが好きだと言っていた。
腐女子とは何か、どこが良いのかを沢山教えてくれたけど、情報量が多すぎて全然頭に入ってこない。

とりあえず、別におれたちは愛し合ってるわけではないんだけど、今みたいにおれが蒼くんにこうされてる状況とか、男同士が肩をかりて寝てるって状態がとてつもなく良かったと話していた。

それに蒼くんも柊くんもすごく綺麗な顔してるからほんと素晴らしいです!と親指を立てられて、返答に困った。


「そ、そうなんだ…」


よくわからないけど、とりあえず頷くことでその場は収まったような気がする。
……いや、収まったことにしよう。

蒼くんがおれなんかと一緒にされて機嫌を損ねてないか心配だったけど、たいして怒っていないようで安心した。


(よかった。蒼くんがおれのせいで、変な風に思われなくて)


………
………………


東京に到着したおれたちは、中華街に行ってご飯を食べた。
大好物の春巻きをもぐもぐと食べていれば「口の端についてる」と可笑しそうに笑みを零した蒼くんがナプキンで拭いてくれて、それを見てまた女子が興奮していた。



「……(なんか、)」


(…なんか蒼くんが、いつにも増してわざとそういうことやってる気がする)


じーっと疑うように見れば何を勘違いしたのか「まーくん、これ食べたいの?」と炒飯をスプーンに入れてあーんってするように差し出してくるので、目を光らせる女子を前にさらにやりづらくて、取り皿に分けてもらうことにした。


さすがに「あーん」は前の一回きりで充分だ。


……思い出したら、自分が恥ずかしくなってきた。


頬が熱くなる。
なんであんなことやったんだろう。
ちょっと、調子に乗ってしまっていたかもしれない。


その後は中華街を回りまくって何か食べたり、タワーにのぼってお土産を買ったり、歩き疲れて近くにあった公園で休憩したりしていた。

意外に皆で色々なところを回るのは楽しくて、すごくはしゃぎ過ぎたようにも思う。






――夜。


「う、うお…」


旅館についたおれは、その大きさに呆気にとられる。
人生初めての旅館に感動した。
内心凄く嬉しくて楽しくて、無意識に目がキラキラとするのがわかった。


「…(ここに泊まるのか)」


期待と不安に胸を躍らされて、「蒼くん、依人!早く行こう」と二人をせかしながら部屋に入る。
蒼くんは呆れたような顔で苦笑してたけど、依人はおれのノリについてきてくれて一緒に「うおー!!!戦じゃーー!おらあああ!!」と興奮して叫んでいた。

部屋番号を聞いて、部屋にまで駆け足で歩く。たどり着いた部屋を見て、目を見張った。


「わ、」


和室だ。畳の部屋に、広い間取り。
木の匂いがする。
木製で出来た障子の向こうには窓があって、外の景色が見えた。


もう日が暮れていて、若干空が赤くて綺麗だった。


1部屋5人なので、他の男子も一緒だけど、それでもこういうのは人数が多ければ多いほど楽しいんだろう。

荷物を置いて、布団が押入れの中にしまってあるのを確認する。

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