140 / 842
修学旅行
4
しおりを挟む
男と男が愛し合うのを見るのが好きだと言っていた。
腐女子とは何か、どこが良いのかを沢山教えてくれたけど、情報量が多すぎて全然頭に入ってこない。
とりあえず、別におれたちは愛し合ってるわけではないんだけど、今みたいにおれが蒼くんにこうされてる状況とか、男同士が肩をかりて寝てるって状態がとてつもなく良かったと話していた。
それに蒼くんも柊くんもすごく綺麗な顔してるからほんと素晴らしいです!と親指を立てられて、返答に困った。
「そ、そうなんだ…」
よくわからないけど、とりあえず頷くことでその場は収まったような気がする。
……いや、収まったことにしよう。
蒼くんがおれなんかと一緒にされて機嫌を損ねてないか心配だったけど、たいして怒っていないようで安心した。
(よかった。蒼くんがおれのせいで、変な風に思われなくて)
………
………………
東京に到着したおれたちは、中華街に行ってご飯を食べた。
大好物の春巻きをもぐもぐと食べていれば「口の端についてる」と可笑しそうに笑みを零した蒼くんがナプキンで拭いてくれて、それを見てまた女子が興奮していた。
「……(なんか、)」
(…なんか蒼くんが、いつにも増してわざとそういうことやってる気がする)
じーっと疑うように見れば何を勘違いしたのか「まーくん、これ食べたいの?」と炒飯をスプーンに入れてあーんってするように差し出してくるので、目を光らせる女子を前にさらにやりづらくて、取り皿に分けてもらうことにした。
さすがに「あーん」は前の一回きりで充分だ。
……思い出したら、自分が恥ずかしくなってきた。
頬が熱くなる。
なんであんなことやったんだろう。
ちょっと、調子に乗ってしまっていたかもしれない。
その後は中華街を回りまくって何か食べたり、タワーにのぼってお土産を買ったり、歩き疲れて近くにあった公園で休憩したりしていた。
意外に皆で色々なところを回るのは楽しくて、すごくはしゃぎ過ぎたようにも思う。
――夜。
「う、うお…」
旅館についたおれは、その大きさに呆気にとられる。
人生初めての旅館に感動した。
内心凄く嬉しくて楽しくて、無意識に目がキラキラとするのがわかった。
「…(ここに泊まるのか)」
期待と不安に胸を躍らされて、「蒼くん、依人!早く行こう」と二人をせかしながら部屋に入る。
蒼くんは呆れたような顔で苦笑してたけど、依人はおれのノリについてきてくれて一緒に「うおー!!!戦じゃーー!おらあああ!!」と興奮して叫んでいた。
部屋番号を聞いて、部屋にまで駆け足で歩く。たどり着いた部屋を見て、目を見張った。
「わ、」
和室だ。畳の部屋に、広い間取り。
木の匂いがする。
木製で出来た障子の向こうには窓があって、外の景色が見えた。
もう日が暮れていて、若干空が赤くて綺麗だった。
1部屋5人なので、他の男子も一緒だけど、それでもこういうのは人数が多ければ多いほど楽しいんだろう。
荷物を置いて、布団が押入れの中にしまってあるのを確認する。
腐女子とは何か、どこが良いのかを沢山教えてくれたけど、情報量が多すぎて全然頭に入ってこない。
とりあえず、別におれたちは愛し合ってるわけではないんだけど、今みたいにおれが蒼くんにこうされてる状況とか、男同士が肩をかりて寝てるって状態がとてつもなく良かったと話していた。
それに蒼くんも柊くんもすごく綺麗な顔してるからほんと素晴らしいです!と親指を立てられて、返答に困った。
「そ、そうなんだ…」
よくわからないけど、とりあえず頷くことでその場は収まったような気がする。
……いや、収まったことにしよう。
蒼くんがおれなんかと一緒にされて機嫌を損ねてないか心配だったけど、たいして怒っていないようで安心した。
(よかった。蒼くんがおれのせいで、変な風に思われなくて)
………
………………
東京に到着したおれたちは、中華街に行ってご飯を食べた。
大好物の春巻きをもぐもぐと食べていれば「口の端についてる」と可笑しそうに笑みを零した蒼くんがナプキンで拭いてくれて、それを見てまた女子が興奮していた。
「……(なんか、)」
(…なんか蒼くんが、いつにも増してわざとそういうことやってる気がする)
じーっと疑うように見れば何を勘違いしたのか「まーくん、これ食べたいの?」と炒飯をスプーンに入れてあーんってするように差し出してくるので、目を光らせる女子を前にさらにやりづらくて、取り皿に分けてもらうことにした。
さすがに「あーん」は前の一回きりで充分だ。
……思い出したら、自分が恥ずかしくなってきた。
頬が熱くなる。
なんであんなことやったんだろう。
ちょっと、調子に乗ってしまっていたかもしれない。
その後は中華街を回りまくって何か食べたり、タワーにのぼってお土産を買ったり、歩き疲れて近くにあった公園で休憩したりしていた。
意外に皆で色々なところを回るのは楽しくて、すごくはしゃぎ過ぎたようにも思う。
――夜。
「う、うお…」
旅館についたおれは、その大きさに呆気にとられる。
人生初めての旅館に感動した。
内心凄く嬉しくて楽しくて、無意識に目がキラキラとするのがわかった。
「…(ここに泊まるのか)」
期待と不安に胸を躍らされて、「蒼くん、依人!早く行こう」と二人をせかしながら部屋に入る。
蒼くんは呆れたような顔で苦笑してたけど、依人はおれのノリについてきてくれて一緒に「うおー!!!戦じゃーー!おらあああ!!」と興奮して叫んでいた。
部屋番号を聞いて、部屋にまで駆け足で歩く。たどり着いた部屋を見て、目を見張った。
「わ、」
和室だ。畳の部屋に、広い間取り。
木の匂いがする。
木製で出来た障子の向こうには窓があって、外の景色が見えた。
もう日が暮れていて、若干空が赤くて綺麗だった。
1部屋5人なので、他の男子も一緒だけど、それでもこういうのは人数が多ければ多いほど楽しいんだろう。
荷物を置いて、布団が押入れの中にしまってあるのを確認する。
41
お気に入りに追加
1,139
あなたにおすすめの小説



久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

ヤンデレだらけの短編集
八
BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。
全8話。1日1話更新(20時)。
□ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡
□ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生
□アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫
□ラベンダー:希死念慮不良とおバカ
□デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち
ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。
かなり昔に書いたもので芸風(?)が違うのですが、楽しんでいただければ嬉しいです!


「じゃあ、別れるか」
万年青二三歳
BL
三十路を過ぎて未だ恋愛経験なし。平凡な御器谷の生活はひとまわり年下の優秀な部下、黒瀬によって破壊される。勤務中のキス、気を失うほどの快楽、甘やかされる週末。もう離れられない、と御器谷は自覚するが、一時の怒りで「じゃあ、別れるか」と言ってしまう。自分を甘やかし、望むことしかしない部下は別れを選ぶのだろうか。
期待の若手×中間管理職。年齢は一回り違い。年の差ラブ。
ケンカップル好きへ捧げます。
ムーンライトノベルズより転載(「多分、じゃない」より改題)。
オメガ修道院〜破戒の繁殖城〜
トマトふぁ之助
BL
某国の最北端に位置する陸の孤島、エゼキエラ修道院。
そこは迫害を受けやすいオメガ性を持つ修道士を保護するための施設であった。修道士たちは互いに助け合いながら厳しい冬越えを行っていたが、ある夜の訪問者によってその平穏な生活は終焉を迎える。
聖なる家で嬲られる哀れな修道士たち。アルファ性の兵士のみで構成された王家の私設部隊が逃げ場のない極寒の城を蹂躙し尽くしていく。その裏に棲まうものの正体とは。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる