手足を鎖で縛られる

和泉奏

文字の大きさ
上 下
75 / 842
暗闇の中で

7

しおりを挟む



「…嗚呼、もう」

「ひ、ぐ…ッ、ぁ、お゛、ぃ…ッ…」

「なんでそんなに俺を煽るの」


困ったような、でも欲情した時の上擦った色気のある蒼の低く掠れた声音。
俺だって、煽りたくてこんなことをしてるわけじゃない。

こんなの一方的に遊ばれてるだけじゃないか。
俺の意思じゃなくて、蒼に、蒼の持ってきた玩具に、いいようにされてるだけだ。
そんなの、俺の望んだことじゃないし、それが蒼の興奮材料にもなるわけがない。

手足を縛られ、首輪もつけられ、目隠しもされて、ただ玩具で弄ばれる。

それをやめてほしくて、ただ普通に日常を過ごすだけで許してくれと訴えたくて、服をにぎっただけだ。

…それがどうして蒼を煽ってるってことになるのか。

でも、その言葉は口から出ない。
唇が震える。


「まーくん」


そう嬉しそうに俺の名を呼ぶ蒼に、もう何も考えられなくなって。


「…ッ、」


その絡めた指に力を入れて思いきり引き寄せた。


「…ぁっ、」


それと同時に、彼の驚いた声が聞こえた。
見えない視界でその服を引っ張って手繰り寄せる。

本能に導かれるまま、見えない蒼の背に腕を回そうとして――。



「さっきも言ったけど、だめ」


やんわりと手を掴まれて引き離される。
拒まれたことに多少のショックを受けた。
なんで。


…――なんで。


「――ッ、やだ…っ、やだ…ッ」


まるでお菓子を買ってくれなくて駄々をこねてる子供みたいに首を振る。


しおりを挟む
感想 29

あなたにおすすめの小説

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

後輩が二人がかりで、俺をどんどん責めてくるー快楽地獄だー

天知 カナイ
BL
イケメン後輩二人があやしく先輩に迫って、おいしくいただいちゃう話です。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

ヤンデレだらけの短編集

BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。 全8話。1日1話更新(20時)。 □ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡 □ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生 □アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫 □ラベンダー:希死念慮不良とおバカ □デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。 かなり昔に書いたもので芸風(?)が違うのですが、楽しんでいただければ嬉しいです!

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

ヤンデレBL作品集

みるきぃ
BL
主にヤンデレ攻めを中心としたBL作品集となっています。

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

処理中です...